さて、今年もリーディングチャレンジを振り返る時がやってきました!
今年は簡単な目標を設定していたので、珍しいことに全部達成できていた。ちなみに毎年1ヶ月に1つを目安に、12個チャレンジを作っている。
2018年のReading Challenge
舞台や映画の原作を読む ○
今年公開の映画だと『メアリーの総て』予習のために『フランケンシュタイン』を再読。
『フランケンシュタイン』と『メアリーの総て』とFrankenstein in Baghdad - トーキョーブックガール
日本未公開のものだと、『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』、『ずっとお城で暮らしてる』、『ベル・ジャー』、Flawed。
『ずっとお城で暮らしてる』シャーリィ・ジャクスン - トーキョーブックガール
『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス:映画化が決定 - トーキョーブックガール
Flawed / セシリア・アハーン:『緋文字』× ディストピア × YA - トーキョーブックガール
ドラマ化されたものだと『またの名をグレイス』、『オリクスとクレイク』(未公開)など。
『オリクスとクレイク』(マッドアダム・シリーズ) マーガレット・アトウッド - トーキョーブックガール
『またの名をグレイス』 マーガレット・アトウッド - トーキョーブックガール
舞台だと『ドクトル・ジヴァゴ』、『オペラ座の怪人(ファントム)』など。
ボリス・パステルナークの『ドクトル・ジバゴ / Doctor Zhivago』が宝塚にぴったりな理由 - トーキョーブックガール
未公開のものは公開されたら見に行く予定。楽しみ!
同じ本を繰り返し読む ○
今年はかなり再読の多い年だった。「2018年出版」以外の本は、ほとんど再読だったんじゃないかな?
大好きなラテンアメリカ文学も、原点に立ち帰るつもりで読み返した。コルタサルは今年日本語訳されて新発売された短編集もあって、この作家の何がこんなに好きなのか再確認できるいい機会となった。
本当に、いい本は何百回読んでも面白い。
「ガーディアンの1000冊」のそれぞれのジャンルで、①イギリス人以外もしくは②白人男性以外によって書かれた小説を読む ○
「ガーディアンの1000冊」中、読んだ本は今年で133冊になった。
意識してリストの本を読んでいるわけではないので、一生かけても1000冊全てを読破することはないだろう……とは思いつつ。
Comedy, Crime, Family and Self, Love, SF and Fantasy, State of the Nation, War and Travelと6つのジャンルに分かれているので、自分の読書の傾向がわかるのも楽しい。
ちなみにフランス文学で育った私は圧倒的にLoveの読書量が多く、ミステリーはほとんど読まないためCrimeが少ない。
1000 novels everyone must read: the definitive list | Books | The Guardian
下記は日本語版のリスト。作成されたYuriLさんは、読書メーターで「ガーディアンの1000冊を読む」コミュニティも運営していらっしゃいます。
英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊 – iREAD @ YuriL
素晴らしいリストではあるものの、イギリスの雑誌がイギリス人読者のために選んだものなのでイギリス人作家による本が大半を占めていて、かなり偏りがある。
例えば、日本人作家による本は7冊と結構多いのだが(『ねじまき鳥クロニクル』、『ノルウェイの森』、『美しさと哀しみと』、『沈黙』、『瘋癲老人日記』、『他人の顔』、『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』)、中国文学はゼロ。ラテンアメリカ文学に至ってはガルシア=マルケスとボラーニョ、カルペンティエルのみ(『百年の孤独』、『コレラの時代の愛』、『野生の探偵たち』、『この世の王国』)。
一方でディケンズなんて8冊、オースティンも全作品入っている。
これだけ偏っている中で選択されている①イギリス人以外、もしくは②白人男性以外の作家によって書かれた本というのは傑作に違いないと思うので、積極的にそちらを読み進めている。
『サマルカンド年代記』アミン・マアルーフ - トーキョーブックガール
2018年に出版された本を読む ○
ブログに書かなかったものも含めて、2018年出版の本はたくさん読んだ。日本語、英語、スペイン語それぞれ読めて、満足。
このあたりが特によかった。
Warlight / マイケル・オンダーチェ - トーキョーブックガール
Florida / ローレン・グロフ - トーキョーブックガール
Washington Black / Esi Edugyan(エシー・エドゥージャン) - トーキョーブックガール
『燃える平原』 フアン・ルルフォ - トーキョーブックガール
『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス - トーキョーブックガール
『ボルヘス怪奇譚集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス / アドルフォ・ビオイ=カサーレス - トーキョーブックガール
家族や友人からお薦めされた本を読む ○
ブログには載せていない本がほとんどだが、たくさんおすすめしてもらって、たくさん読んだ。
今年の旅行先を舞台にした本を読む ○
今まで訪れた国は24カ国。夫婦ともにどちらかというと「お気に入りの場所を繰り返し訪れる」ことが好きなので、ここ数年新しい国には行っておらず。
でもどこへ行っても、その国を舞台にした小説を読むようにしている。
タヒチとか。
これは香港に行った時の。
The Expatriates / Janice Y. K. Lee:『ビッグ・リトル・ライズ』作者も絶賛。「香港のアメリカ人」を描いた物語 - トーキョーブックガール
ブッカー賞にノミネートされた本を読む ○
2018年ブッカー賞のリストの中から、興味を持った5冊を読んだ。
受賞したのはMilkman。
Warlight / マイケル・オンダーチェ - トーキョーブックガール
Washington Black / Esi Edugyan(エシー・エドゥージャン) - トーキョーブックガール
Milkman / アンナ・バーンズ - トーキョーブックガール
The Water Cure / ソフィー・マッキントッシュ - トーキョーブックガール
Sabrina / ニック・ドルナソ - トーキョーブックガール
新しいお気に入り作家を見つける ○
たくさん見つかった!
日付や月がタイトル、もしくは中身に登場する本を読む ○
光文社新訳文庫から出た『八月の光』を読むつもりだったのに、読めず。代わりにいくつか再読した。
アントニオ・タブッキの『レクイエム』と『ポルトガルの海』:7月最後の日曜日には、この本を読もう - トーキョーブックガール
『失われた時を求めて』を読み進める ○
今年は「ソドムとゴモラ」を読了。
『失われた時を求めて ソドムとゴモラ』 マルセル・プルースト:LGBTQ文学の先駆け - トーキョーブックガール
行ったことのない国出身の作家の本を読む ○
二つ以上の国を故郷としていたりと国境をまたいだ作家や文学がものすごい勢いで増える中、小説を「○○(国の名前)文学」と定義するのはもはや時代遅れかなとも思い、チャレンジは作家の「出身」国に絞ってみた。
今年読んだ「行ったことのない国」はウクライナ、ポーランド、アイルランド、ナイジェリア、イラン、イラク、パキスタン、インド、アルゼンチン、チリ、メキシコ、ペルー。
『戦争は女の顔をしていない』と、終戦の日に読みたい本たち - トーキョーブックガール
Yo Era una Mujer Casada / セサル・アイラ:支離滅裂でめちゃくちゃ、なのにとんでもなく面白い - トーキョーブックガール
Our Shared Shelfのお題本(フェミニズム関連)を読む ○
今年読んだYA小説の中で一番好きかもしれない『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』、Milk and Honeyなど。
『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』 アンジー・トーマス - トーキョーブックガール
Milk and Honey / ルピ・クーア - トーキョーブックガール
振り返り:2018年に日本語訳が出版された本
今後読みたいので、自分のための備忘録として。
以前洋書レビュー(英語&スペイン語)を書いたものの中から、今年日本語訳が出版された本はこちら。
『なにもない』カルメン・ラフォレット
内戦後に登場し、スペイン文学界に新しい風を吹き込んだ作家のデビュー作。大学生になり田舎からバルセロナへ引っ越し、孤独と落胆を経験しつつも成長する少女の物語。文章の美しさがいつまでも心に残る。
2018年12月出版。原題はNadaで、翻訳者は木村裕美さん。
『何があってもおかしくない』エリザベス・ストラウト
『私の名前はルーシー・バートン』に引き続き、ルーシーと彼女の出身地の人々が登場する短編集。よくここまで架空の土地や人の裏の裏までも描き出せるものだとストラウトの手腕に思わず唸る。
2018年12月出版。原題はAnything is Possibleで、翻訳家は変わらず小川高義さん。
『洪水の年』マーガレット・アトウッド
ドラマ化が決定し、話題を呼んでいる「マッドアダム」シリーズ。三部作の二作目にあたるこちらは女性二人を語り手に据え、アトウッドらしさが一番感じられる物語だった。
2018年9月出版。原題はThe Year of the Flood。訳者は『またの名をグレイス』も翻訳された佐藤アヤ子さん。
『クレイジー・リッチ・アジアンズ』ケビン・クワン
映画化もされた本作品は、夏休みに旅行先で読むのがぴったりなラブコメ。
2018年8月出版。訳者は山縣みどりさん。
2019年のリーディングチャレンジ
2019年度版はこちら。
1. これから行きたい国を舞台にした小説を読む(コスタリカなど)。
2019年はあまり旅行出来そうにないため、来年以降行きたい国を舞台にした作品を。
2. 『失われた時を求めて』を読み終える。
3. 積ん読ファースト。
解消する、とまではいわないまでも、今100冊超積んだままになっているので。
今年は新しく買わず、積ん読優先。
4. 自分の子供に読んでほしい絵本や児童文学を揃える。
5. 9月に発売となるアトウッドの新作The Testamentsを読む!
アトウッドが、『侍女の物語』の続編となるThe Testamentsを執筆中とのこと。
発売は9月。もう指折り数えて待っています!
6. 日本文学の新しい作品を読み、お気に入り作家を見つける。
日本人作家による新しい作品をあまり読んでいないことに気づいたため。
7. 古典の再読&現代を舞台としたリテリングを読む。
たとえば『ハワーズ・エンド』と『美について』、『風と共に去りぬ』と『言い寄る』、『高慢と偏見』とUnmarriageableなど。
8. 東南アジア出身作家による作品を読む。
しょっちゅう行くのに意外と読めていない。
9. ウェイリー版『源氏物語』を読む。
1巻を買って、引き込まれてしまったウェイリー版の日本語訳。
10. 今まであまり読んだことのないジャンルを読む。
2018年は、普段あまり読まないSF、特にスチームパンク・サイバーパンクを読むことができて、独特の世界観を楽しんだので。
SFだと今後ウェルズの『タイムトラベル』や、カナダ人作家Thea LimのAn Ocean of Minutesといったタイムトラベルものも読みたい。
11. 読んだ小説に登場した小説を読む。
A book mentioned in another book.
12. ブックリレーをする。
1ヶ月間くらい、「つながっていく読書」を意識的にしたい。
舞台となった都市つながりや、『椿姫』・『マノン・レスコー』・『ナナ』というファム・ファタルシリーズみたいな。
今年も1年間、おつきあいいただいてありがとうございました♡ ブログ開始当初は、こんなに沢山の方に読んでいただけるとは思ってもみなかったので、びっくりするやら嬉しいやらです。来年はフィクションがなかなか読めなくなりそうですが、引き続きマイペースに自分の言葉で、「読んでよかった」「時間を使う価値があった」と思える本のレビューだけを書く予定です。
2019年も皆様にとって充実した幸せな1年でありますように!
*去年のリーディングチャレンジはこちら。
2017年と2018年のReading Challenge(リーディングチャレンジ) - トーキョーブックガール
Reading challenge(リーディングチャレンジ)のススメ - トーキョーブックガール