トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

シェイクスピア

夏〜秋に読んだ世界文学

いつの間にか夏が終わり、9月1日からぐっと冷え込み、秋らしい秋を感じることのできないまま11月がやってきた。 我が家では9〜10月、コロナの影響で保育園休園、夫が不調でMRI(問題なしだった、よかった)、わたしは料理中に「彼女の体とその断片……薬指の標…

『ロミオとジュリエット』シェイクスピア(小田島雄志・訳、松岡和子・訳、宝塚歌劇団星組): 疾走する命

[Romeo and Juliet] このブログには本のことだけ書こうと思っているのですが、東京宝塚劇場での上演が始まったばかりの星組『ロミオとジュリエット』を観劇(&感激……)したところなので、今日は星担による星組礼賛日記になってしまいそう。 さて、宝塚歌劇…

『冬物語』 シェイクスピア(The Winter's Tale、小田島雄志・訳、松岡和子・訳)

トーマス・C・フォスターによる『大学教授のように小説を読む方法』(矢倉尚子訳)には、「疑わしきはシェイクスピアと思え……」という章がある。 芝居が好き、登場人物が好き、美しい言葉が好き、追い詰められてもウィットを忘れない台詞が好き。……おそらく…

『ロシュフォールの恋人たち』は『十二夜』(シェイクスピア)から着想を得ているのか

[Twelfth Night] コロナ禍では演劇、ミュージカル、オペラ、バレエが軒並み中止され、どうなってしまうんだろうと思っていたけれど、気を揉んでいるうちに色々と再開の運びとなり、ライブ配信も一般化し、新たな観劇の方法が確立されつつある。とはいえ、い…

『ピガール狂騒曲』から始まるブックリスト

[Frenesie a Pigalle] 新しいものは、いつだって月組からやってくる。 宝塚を観劇していると何度もそう思う。元男役だったちゃぴちゃん(愛希れいか)がトップ娘役になってガンガン踊り、「(トップ娘じゃなくて)トップスター」と呼ばれるようになったり、…

『憂鬱な10か月』 イアン・マキューアン: 生まれるべきか、生まれざるべきか。それが問題だ

[Nutshell] 『波 6月号』の小山田浩子さんによる書評がとても面白かったので、発売日に購入したマキューアンの最新作。ようやく読む時間がとれた。 憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) 作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,村松潔 出版社/メーカー: 新…

Hag-Seed / マーガレット・アトウッド: 現代におけるシェイクスピア

*日本語訳が出版されています。 『獄中シェイクスピア劇団(語りなおしシェイクスピア1 テンペスト)』鴻巣友季子訳 語りなおしシェイクスピア 1 テンペスト 獄中シェイクスピア劇団 (語りなおしシェイクスピア テンペスト) 作者:マーガレット・アトウッド,…

『テンペスト』 シェイクスピア(松岡和子・訳)

[Tempest] シェイクスピアは謎に包まれている。 ストラトフォード・アポン・エイヴォンで革手袋商人の息子として生まれ育ち、18歳の時に26歳の女性アン・ハサウェイと結婚。 その後ロンドンへ出て、空白の数年間ののち、俳優兼劇作家として名をはせるように…