アメリカ文学
ここ数週間、やたらと出版社さんのSNSでネラ・ラーセンのPassingを見かけるので、???と思っていたら、Netflixで映画化されていたのだった。 www.netflix.com いい機会だから読んでみようと購入した原作も短めだし、映画も1時間半ちょっとと短めなので、さ…
いつの間にか夏が終わり、9月1日からぐっと冷え込み、秋らしい秋を感じることのできないまま11月がやってきた。 我が家では9〜10月、コロナの影響で保育園休園、夫が不調でMRI(問題なしだった、よかった)、わたしは料理中に「彼女の体とその断片……薬指の標…
いよいよ8月も最終日。皆様はどんな読書の夏を過ごしましたか? わたしは実に4年ぶりに、読書に没頭できる夏休みを堪能しました。いろんな方と本の話をする機会もあり、readathonにも挑戦したりして、それはそれは楽しい夏でした! さらに8月はwomen in tran…
『文藝』2021年夏号(もふもふ〜)でカミラ・グルドーヴァの「ねずみの女王」を翻訳された上田麻由子さんが「人間が動物に変身する話」が近頃かなり多くみられると解題に書いていらしたのだが、読みながらこくこくとうなずいてしまった。本当〜〜〜に多い。…
宝塚ファンには、いわゆる駄作を愛でるという文化がある。「出来の悪い子ほどかわいい」気分になるのだ。初回の観劇こそ、「全然よくなかった! ◯◯先生ってば!」と演出家を責めるものの(ごめんなさい)、そのうちに「変すぎ」と思っていた曲やセリフが頭に…
『フィーメール・マン / Female Man』ジョアナ・ラス(友枝康子訳) 数年前、『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んだときに「あ、あれ再読しよう」と思い、先日ついに発売されたよしながふみの漫画『大奥』の最終巻を読んで「あ、今度こそあれ読もう」と思っ…
*創元推理文庫で、5月に原作が復刊されるとのこと。Amazonの価格も高騰していたのでよかったです。 ほんものの魔法使 (創元推理文庫) 作者:ポール・ギャリコ 発売日: 2021/05/10 メディア: 文庫 【お知らせ】創元推理文庫5月刊のポール・ギャリコ/矢川澄子…
こちら、珍しくAmazonがすすめてくれて購入した本。「なんか違うんだよね〜」が多かったAmazonのおすすめタイトル、最近妙に精度が上がってきた。長い付き合いを経て、やっとわたしのことを理解してくれるようになった!?(キラキラ)と感激したのも束の間…
[The Secrets We Kept] なんて幸せなことでしょう。わたしが読んでいるこの本、わたし以外の人はもうみんな読んでいるなんて。世界文学好きも読んでいるし、ミステリ好きも読んでいるという相乗効果(?)で、普段共通の本の話題がない人とも、「あの本」を…
2019年の驚きといえば、「友人(それも複数名)がマッチングアプリで出会った人と結婚した」ことだろう。 マッチングアプリ!!! 未知の世界すぎて、結婚に至るまでの道のりを根掘り葉掘り聞いてしまった。友人いわく、「今や出会いを求めている人はマッチ…
[The Mark of Zorro] 単純明快なストーリーに浸りたくて、久しぶりに再読。 二年前ほどにイサベル・アジェンデによる怪傑ゾロ・二次創作『ゾロ 伝説の始まり』を読んだ時から、読み返したいと思っていたのだった。 読んだのは創元推理文庫の井上一夫訳バージ…
[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…
[The October Country] いつも10月に再読。 10月はたそがれの国 (創元SF文庫) 作者: レイ・ブラッドベリ,宇野利泰 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1965/12/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 147回 この商品を含むブログ (87件) を見る ブラッド…
[The Difference Engine] 黒丸尚さん。漢字にルビをふるという独特のやり方や個性的な文体で、SF翻訳の歴史に名を残した翻訳家である。 去年スチームパンクやサイバーパンクをわりと読んだのだけれど(YA含む)、どれもこれもめちゃくちゃ面白かったので、こ…
[The Color Purple] 1985年にスピルバーグによって映画化された『カラーパープル』は2005年ブロードウェイミュージカルにもなった。そしてなんと、このミュージカル版を映画化するというニュースが昨年末に発表された。 プロデューサーは1985年の映画を手が…
[Carmen Dog] ネビュラ賞を二度受賞し、フェミニズムSFの書き手として知られたキャロル・エムシュウィラーが亡くなった(2019年2月2日)。 こちらは、表紙に描かれた犬(カルメンよろしく、真っ赤な薔薇を口にくわえた白いワンさん)に惹かれて購入した一冊…
(リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド) 宝塚歌劇団・期待の98期の一人、瑠風輝さんのバウ主演が決定したのが今年の3月。演目はフィッツジェラルド原作の『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』ということでちょっとびっくりした。 フィッツジ…
(フェミニスト・マニフェスト 15の提案) アディーチェといえば、昨年の10月9日にPEN ピンター賞を受け取ったばかり。 Chimamanda Ngozi Adichie accepts PEN Pinter prize with call to speak out | Books | The Guardian 丸の内の丸善でペーパーバックを…
(断絶) [Updated: 2021-01-30] 日本語訳が2021年、発売に。 断絶 (エクス・リブリス) 作者:リン・マー 発売日: 2021/03/25 メディア: 単行本 中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやThe Kirkus Prize*…
[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…
2019年のReading Challengeで「タイムトラベルものを読みたい」と書いたのだけれど、ちょうどぴったりの小説が出版されていた。 ジョイス・キャロル・オーツの新作だ。2018年にはこのHazards of Time Travel(長編)とBeautiful Days(短編集)を出版するな…
タイトルと装丁に惹かれて購入(2019年のto be readリストに入れていた作品)。 バンコク、大好きです。遊びに行くのも好きだし、仕事でも何度か行ったけれど同僚もクライアントも素敵な方ばかりだし、ごはんも美味しいし(川魚って苦手なんだけれどタイ料理…
[The Left Hand of Darkness] アーシュラ・K・ル・グィンの作品といえば、なんといっても「映像化にことごとく失敗している」ことが思い浮かぶ。 「失敗」の定義は色々あるので、あくまで私の個人的意見だが ・興行的に振るわない ・作者自身に酷評されてい…
(ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短編集) その名の通り、カポーティの初期の作品が収録された短編集。ニューヨーク公共図書館のアーカイブの中から発見され出版の運びとなったらしい。初期とはカポーティが10〜20代前半の頃を指すそうで…
(友だち) 今年の全米図書賞受賞作品(フィクション部門)。 長年の友人が自殺した。残された妻(三人目の妻である)と会うと、犬を引き取ってほしいとお願いされる。もともと友人が拾ってきた犬で、犬好きでない妻は世話をしきれないのだという。それも、…
[We Have Always Lived in a Castle] 恐怖小説の女帝的存在のシャーリイ・ジャクスンによる『ずっとお城で暮らしてる』が、映画化(アメリカでは2019年5月公開予定)ということで、原作を再読した。 ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫) 作者: シャーリィ…
(リンカーンとさまよえる霊魂たち) Lincoln in the Bardo: A Novel 作者: George Saunders 出版社/メーカー: Random House 発売日: 2017/10/16 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る この作品が出版された時、空見でタイトルをLincoln in …
備忘録として。 全米図書賞はあまりチェックしたことがなく、受賞作もほとんど読んだことがないのだけれど、今年は30数年ぶりに翻訳文学部門(Translated Literature)が復活! ということで楽しみにしていた。 11月14日に発表されたNational Book Awards 20…
(丸い地球の幻想上の四隅) [Updated: 2020-12-13] 2021年に日本語訳が出版されるようです。表題作となっているのは、原書では2つ目に収録されている、蛇にまつわるお話みたい。翻訳者は『運命と復讐』の光野多惠子さん。楽しみです! 丸い地球の幻想上の四…
[The House on Mango Street] 白水社の新書として今年生まれ変わった『マンゴー通り、ときどきさよなら』。やっと読めた。 マンゴー通り、ときどきさよなら (白水Uブックス) 作者: サンドラ・シスネロス,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/…