トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

アメリカ文学

宝塚・雪組公演が決定した『ほんものの魔法使』(ポール・ギャリコ・著、矢川澄子・訳)

[Updated: 2021-04-05] 創元推理文庫で原作が復刊されるとのこと。Amazonの価格も高騰していたようなのでよかったです。 これは朗報!! https://t.co/FLseH8wYgk— トーキョーブックガール (@tokyobookgirl) 2021年3月25日 2020年12月18日、朝美絢さん主演の…

Sansei and Sensibility / カレン・テイ・ヤマシタ: 『三世と多感』、日系三世とジェイン・オースティンから「こんまり」、ボルヘスまで

こちら、珍しくAmazonがすすめてくれて購入した本。「なんか違うんだよね〜」が多かったAmazonのおすすめタイトル、最近妙に精度が上がってきた。長い付き合いを経て、やっとわたしのことを理解してくれるようになった!?(キラキラ)と感激したのも束の間…

『あの本は読まれているか』ラーラ・プレスコット(吉澤康子・訳)

[The Secrets We Kept] なんて幸せなことでしょう。わたしが読んでいるこの本、わたし以外の人はもうみんな読んでいるなんて。世界文学好きも読んでいるし、ミステリ好きも読んでいるという相乗効果(?)で、普段共通の本の話題がない人とも、「あの本」を…

Weather / ジェニー・オフィル: Twitterのような

2019年の驚きといえば、「友人(それも複数名)がマッチングアプリで出会った人と結婚した」ことだろう。 マッチングアプリ!!! 未知の世界すぎて、結婚に至るまでの道のりを根掘り葉掘り聞いてしまった。友人いわく、「今や出会いを求めている人はマッチ…

『快傑ゾロ』 ジョンストン・マッカレー

[The Mark of Zorro] 単純明快なストーリーに浸りたくて、久しぶりに再読。 二年前ほどにイサベル・アジェンデによる怪傑ゾロ・二次創作『ゾロ 伝説の始まり』を読んだ時から、読み返したいと思っていたのだった。 読んだのは創元推理文庫の井上一夫訳バージ…

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…

『10月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ

[The October Country] いつも10月に再読。 10月はたそがれの国 (創元SF文庫) 作者: レイ・ブラッドベリ,宇野利泰 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1965/12/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 147回 この商品を含むブログ (87件) を見る ブラッド…

『ディファレンス・エンジン』ウィリアム・ギブスン & ブルース・スターリング

[The Difference Engine] 黒丸尚さん。漢字にルビをふるという独特のやり方や個性的な文体で、SF翻訳の歴史に名を残した翻訳家である。 去年スチームパンクやサイバーパンクをわりと読んだのだけれど(YA含む)、どれもこれもめちゃくちゃ面白かったので、こ…

『カラーパープル』 アリス・ウォーカー

[The Color Purple] 1985年にスピルバーグによって映画化された『カラーパープル』は2005年ブロードウェイミュージカルにもなった。そしてなんと、このミュージカル版を映画化するというニュースが昨年末に発表された。 プロデューサーは1985年の映画を手が…

『カルメン・ドッグ』 キャロル・エムシュウィラー: SF+フェミニズム+オペラ+犬!

[Carmen Dog] ネビュラ賞を二度受賞し、フェミニズムSFの書き手として知られたキャロル・エムシュウィラーが亡くなった(2019年2月2日)。 こちらは、表紙に描かれた犬(カルメンよろしく、真っ赤な薔薇を口にくわえた白いワンさん)に惹かれて購入した一冊…

The Diamond as Big as the Ritz / F・スコット・フィッツジェラルド

(リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド) 宝塚歌劇団・期待の98期の一人、瑠風輝さんのバウ主演が決定したのが今年の3月。演目はフィッツジェラルド原作の『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』ということでちょっとびっくりした。 フィッツジ…

Dear Ijeawele, or A Feminist Manifesto in Fifteen Suggestions / チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

(フェミニスト・マニフェスト 15の提案) アディーチェといえば、昨年の10月9日にPEN ピンター賞を受け取ったばかり。 Chimamanda Ngozi Adichie accepts PEN Pinter prize with call to speak out | Books | The Guardian 丸の内の丸善でペーパーバックを…

Severance / リン・マー: アポカリプス的オフィス・ノベル

(断絶) [Updated: 2021-01-30] 日本語訳が2021年、発売に。 断絶 (エクス・リブリス) 作者:リン・マー 発売日: 2021/03/25 メディア: 単行本 中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやThe Kirkus Prize*…

『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』ジョイス・キャロル・オーツ

[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…

Hazards of Time Travel / ジョイス・キャロル・オーツ: オーツによる初めてのディストピア小説?

2019年のReading Challengeで「タイムトラベルものを読みたい」と書いたのだけれど、ちょうどぴったりの小説が出版されていた。 ジョイス・キャロル・オーツの新作だ。2018年にはこのHazards of Time Travel(長編)とBeautiful Days(短編集)を出版するな…

Bangkok Wakes to Rain / Pitchaya Sudbanthad: 早くも個人的ベスト・オブ・2019の予感

タイトルと装丁に惹かれて購入(2019年のto be readリストに入れていた作品)。 バンコク、大好きです。遊びに行くのも好きだし、仕事でも何度か行ったけれど同僚もクライアントも素敵な方ばかりだし、ごはんも美味しいし(川魚って苦手なんだけれどタイ料理…

『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グィン

[The Left Hand of Darkness] アーシュラ・K・ル・グィンの作品といえば、なんといっても「映像化にことごとく失敗している」ことが思い浮かぶ。 「失敗」の定義は色々あるので、あくまで私の個人的意見だが ・興行的に振るわない ・作者自身に酷評されてい…

The Early Stories / トルーマン・カポーティ

(ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短編集) その名の通り、カポーティの初期の作品が収録された短編集。ニューヨーク公共図書館のアーカイブの中から発見され出版の運びとなったらしい。初期とはカポーティが10〜20代前半の頃を指すそうで…

The Friend(『友だち』) / シーグリッド・ヌーネス

(友だち) 今年の全米図書賞受賞作品(フィクション部門)。 長年の友人が自殺した。残された妻(三人目の妻である)と会うと、犬を引き取ってほしいとお願いされる。もともと友人が拾ってきた犬で、犬好きでない妻は世話をしきれないのだという。それも、…

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン(市田泉・訳)

[We Have Always Lived in a Castle] 恐怖小説の女帝的存在のシャーリイ・ジャクスンによる『ずっとお城で暮らしてる』が、映画化(アメリカでは2019年5月公開予定)ということで、原作を再読した。 ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫) 作者: シャーリィ…

Lincoln in the Bardo / ジョージ・ソーンダーズ

(リンカーンとさまよえる霊魂たち) Lincoln in the Bardo: A Novel 作者: George Saunders 出版社/メーカー: Random House 発売日: 2017/10/16 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る この作品が出版された時、空見でタイトルをLincoln in …

2018年の全米図書賞(National Book Awards)

備忘録として。 全米図書賞はあまりチェックしたことがなく、受賞作もほとんど読んだことがないのだけれど、今年は30数年ぶりに翻訳文学部門(Translated Literature)が復活! ということで楽しみにしていた。 11月14日に発表されたNational Book Awards 20…

Florida / ローレン・グロフ

(丸い地球の幻想上の四隅) [Updated: 2020-12-13] 2021年に日本語訳が出版されるようです。表題作となっているのは、原書では2つ目に収録されている、蛇にまつわるお話みたい。翻訳者は『運命と復讐』の光野多惠子さん。楽しみです! 丸い地球の幻想上の四…

『マンゴー通り、ときどきさよなら』 サンドラ・シスネロス: 出ていきたいと願っていたあの場所のことばかり思い出す

[The House on Mango Street] 白水社の新書として今年生まれ変わった『マンゴー通り、ときどきさよなら』。やっと読めた。 マンゴー通り、ときどきさよなら (白水Uブックス) 作者: サンドラ・シスネロス,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/…

Girls Burn Brighter / Shobha Rao

(女の子は明るく燃える) 7歳の時インドからアメリカに移住したという新人作家Shobha Rao初の長編小説。タイトルに惹かれて購入。 Girls Burn Brighter 作者: Shobha Rao 出版社/メーカー: Flatiron Books 発売日: 2019/03/05 メディア: ペーパーバック こ…

Roman Fever(ローマ熱)/ イーディス・ウォートン

(ローマ熱) “I was just thinking,” she said slowly, “what different things Rome stands for to each generation of travelers. To our grandmothers, Roman fever; to our mothers, sentimental dangers—how we used to be guarded!—to our daughters,…

Circe / マデリン・ミラー: ギリシャ神話から生まれたフェミニズム小説

(キルケ) [UPDATED: 2021-03-29] 日本語訳が出版されるようです。 キルケ 作者:マデリン・ミラー 発売日: 2021/04/30 メディア: 単行本 When I was born, the name for what I was did not exist. They called me nymph, assuming I would be like my moth…

LESS(レス) / アンドリュー・ショーン・グリア: 面白うてやがて悲しき

(レス) ヴィエト・タン・ウェンに続き、ピューリッツァー賞関連をもう一つ。アンドリュー・ショーン・グリアによるLessを読んだ。2018年のピューリッツァー賞フィクション部門受賞作。 The Pulitzer Prizes アンドリュー・ショーン・グリアは初めて読む作…

The Immortalists / Chloe Benjamin(クロエ・ベンジャミン): 自分の死ぬ日が分かったら、どう生きる?

(不滅の子どもたち) [Updated: 2021-03-29] 日本語訳が出版されるようです。 不滅の子どもたち 作者:クロエ・ベンジャミン,鈴木 潤 発売日: 2021/04/26 メディア: 単行本 装丁が素敵。 ハードカバー発売当初に購入したのだが、しっとりとしてマットな質感…

The Refugees / Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった。 ピューリッツァー賞…