トーキョーブックガール

海外文学・世界文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

映画化

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…

『第三の男』グレアム・グリーン

[The Third Man] 例えば飛行機や新幹線の移動、カフェでの時間つぶし、あるいは予定のない土曜日。 ぱっと数時間で読了できて、ストーリーも面白く、かつ文学的な小説が読みたいと思う日がある。変に感情移入してしまい泣いたり笑ったりしたくない、ただただ…

『カラーパープル』 アリス・ウォーカー

[The Color Purple] 1985年にスピルバーグによって映画化された『カラーパープル』は2005年ブロードウェイミュージカルにもなった。そしてなんと、このミュージカル版を映画化するというニュースが昨年末に発表された。 プロデューサーは1985年の映画を手が…

『ヴェネツィアに死す』トーマス・マン: 美しいものを見ることには価値がある

[Der Tod in Venedig] 「美しいものを見つめることは、魂に作用する」と言ったのはミケランジェロ。 「美しいものを見ることには価値がある」と言ったのは上田久美子先生(宝塚歌劇団)。 『ヴェネツィアに死す』(もしくは『ヴェニスに死す』)というタイト…

On The Come Up / アンジー・トーマス: 『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』作者による待望の第二作目

去年はYAをたくさん読んだけれど、ダントツで面白かったのがアメリカにおける黒人差別とともにゲットーで生まれ育った少女の精神的成長を描いた『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』だった。 ともすれば重くなりがちなトピックスを、90年代のブラックカルチャーやティ…

My Sister, the Serial Killer / Oyinkan Braithwaite

ジャケ&タイトル買いしてしまった一冊。 My Sister, the Serial Killer 作者: Oyinkan Braithwaite 出版社/メーカー: Atlantic Books 発売日: 2019/10/03 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 作者のOyinkan Braithwaite(オインカーン・…

The Coincidence Makers(偶然仕掛け人) / ヨアブ・ブルーム

[מצרפי המקרים] 出張先の本屋さんで見つけて、「おっ!」となった作品。 このタイトルと、著者のユダヤ系の名前を見て思い出したのです。もう10年近く前にイスラエル系の友人(村上春樹好き、初めて読んだ村上作品はNorwegian Wood)からこの本が面白いと聞…

『オペラ座の怪人』 ガストン・ルルー

[Le Fantôme de l'Opéra] 私はミュージカルが大好き。 生まれて初めて観たミュージカルは確かThe Wizard of Oz(オズの魔法使い)で、生まれて初めて「これ、好きだな!」と思ったミュージカルはAnything Goesだったと記憶している。だからなのか、大人にな…

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ

[82년생 김지영] 『VERY』 1月号を読んでいて、「色々と話題になりそうだな」と思った記事があった。 「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」と将来息子がパートナーに言わないために今からできること、VERY1月号の記事が話題に - Togetter 案の定Twi…

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリィ・ジャクスン

[We Have Always Lived in a Castle] 恐怖小説の女帝的存在のシャーリィ・ジャクソンによる『ずっとお城で暮らしてる』が、映画化(アメリカでは2019年5月公開予定)ということで、原作を再読した。 ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫) 作者: シャーリィ…

『フランケンシュタイン』と『メアリーの総て』とFrankenstein in Baghdad

(バグダッドのフランケンシュタイン) 大人になってから初めて『フランケンシュタイン』を読み返した。 子供の頃は、この話について、まあなんと理解できていなかったことか! 今だって理解できているのかと言われれば疑問が残るが、幼い時分はどこまでも追…

マルジャン・サトラピが大好き

ブッカー賞で初めてグラフィックノベル(ニック・ドルナソのSabrina)がノミネートされたりと、2018年はますますバンド・デシネ*1やグラフィックノベル*2に注目が集まる年だった気がする。 さて、私にとってバンド・デシネへの扉を開けてくれた、思い出の作…

『傾城の恋 / 封鎖』 張愛玲

[傾城之恋] ・張愛玲の『色、戒』*1が好き。 ・映画化された『ラスト、コーション』や香港映画『花様年華』にはまった。 ・『高慢と偏見』や『細雪』など、お見合い・結婚についてのドタバタ劇が好き。 ・『風と共に去りぬ』のスカーレットとレッド・バトラ…

『美しさと哀しみと』 川端康成

このブログは「海外文学&洋書レビュー」と銘打って始めたので、日本文学のことは書くつもりはなかったのだけれど、本作は「ガーディアンの1000冊」にも選ばれた1冊なので特別に。 1000 novels everyone must read: the definitive list | Books | The Guard…

『失われた時を求めて スワン家のほうへ』 マルセル・プルースト

[À la recherche du temps perdu] というわけで、今夏も読み返した『失われた時を求めて スワン家のほうへ』の感想を。ちょうどいいタイミングで、9月15日にBSで映画『スワンの恋』も放送されたのです。この話も後ほど。 スワンの恋 [DVD] 出版社/メーカー: …

Flawed / セシリア・アハーン: 『緋文字』× ディストピア × YA

(フロード) ディストピア小説が盛り上がりをみせるとともに、YA小説も再びディストピアをテーマにしたものが増えてきている。 これが面白いものばかり。こちらは、2016年に発売され、ディストピアYAの先駆けとなったもいえるセシリア・アハーンの作品。 Fl…

『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』 アンジー・トーマス

[The Hate U Give] メンバーの投票で決定した2018年5-6月のOur Shared Shelf(エマ・ワトソン主催のブッククラブ)お題本は2冊あるのだけれど、1冊目は『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』というYA小説! そろそろ読み始めようかなと思った頃、偶然書店で日本語訳を…

『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス: 映画化が決定

[The Bell Jar] It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York. それはおかしな、蒸し暑い夏だった。ローゼンバーグ夫妻の死刑が執行された夏で、私は自分がニューヨークで…

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か? 『菜食主義者』とThe Vegetarianを読んでみた

[채식주의자] 不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か? みなさんはどちらがお好みですか? もちろん、翻訳の話です。 上記はロシア語の同時通訳者だった米原万里の著書のタイトルで、「美しいけれども原文からはかけ離れた文章(美女)をとるか、原文に忠実だが…

ボリス・パステルナークの『ドクトル・ジバゴ / Doctor Zhivago』が宝塚にぴったりな理由

[Доктор Живаго] I also think that Russia is destined to become the first realm of socialism since the existence of the world. When that happens, it will stun us for a long time, and, coming to our senses, we will no longer get back the mem…

『蜘蛛女のキス』 マヌエル・プイグ

[El Beso de la Mujer Arana] 人が見た映画や、読んだ小説の話を聞くのが大好きである。 人の記憶の中の映画や小説はとんでもなく面白く感じられる。その後話題に上がった映画を見たり小説を読んだりしても、話を聞いている時ほど面白く感じない。その人の主…

『侍女の物語』 マーガレット・アトウッド: 結婚して初めて分かったこと

[The Handmaid's Tale] マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』を初めて読んだのはまだ10代の頃だった。 その後大学の授業でも読んだし、社会人になってからも読み返した。 繰り返し読んだので思い入れのある作品ではあるが、どこか自分からは遠い架空の…

『三銃士』 アレクサンドル・デュマ

[Les Trois Mousquetaires] こんにちは、トーキョーブックガールです。 色々な方の感想をすでにインターネット上で拝見していますが、私はまだ『All for One』を観ていません! 今月末観劇予定なので楽しみ♡ ということで……今月は予習も兼ねて、デュマの『三…

Rosaura a las diez / Marco Denevi: 10時のロサウラ

先日もちらっと書いた Rosaura a Las Diez*1。「10時のロサウラ」。 1955年に出版された、Marco Denevi(マルコ・デネヴィ)の処女作。 舞台やドラマ、映画化もされた大ヒット作である。 かなり昔の作品だが、日本のAmazonでもペーパーバックを良心的な価格…

『ベラミ』 モーパッサン: 史上最強の色男

[Bel Ami] 100スーの銀貨を出した釣りを勘定台の女から受け取ると、ジョルジュ・デュロワはレストランの外へ出た。 押出の立派なこの男は、生まれつきと退役下士官のくせでぐっとそり身になったかと思うと、慣れた軍人式の手つきで口髭をひねり、それからま…

『高慢と偏見』はインスピレーションの泉

[Pride and Prejudice] こんにちは、トーキョーブックガールです。 さて、21世紀に生きる私たちをもとりこにするジェーン・オースティン作品。 もちろん最も有名なのは『高慢と偏見』だろう。 何度となく映画化&ドラマ化され、その度に人気を博している。 …

『テンペスト』 シェイクスピア

[Tempest] シェイクスピアは謎に包まれている。 ストラトフォード・アポン・エイヴォンで革手袋商人の息子として生まれ育ち、18歳の時に26歳の女性アン・ハサウェイと結婚。 その後ロンドンへ出て、空白の数年間ののち、俳優兼劇作家として名をはせるように…

『アリーテ姫の冒険』 ダイアナ・コールス

[The Clever Princess] Beauty Mythについて書きながら、この本を思い出したので今日はアリーテ姫について書いてみたいと思います。 物心つくかつかないかという頃から本が大好きだった私。 でも、読書に対する情熱を絶やすことなく今まで生きてきたのは、い…

Crazy Rich Asians 映画化についてあれやこれや 【追記あり 2018-04-25】

クレイジー・リッチ!(字幕版) 発売日: 2018/11/16 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る さて、前回書いた通り映画化が決定しているCrazy Rich Asians(クレイジー・リッチ・アジアンズ)。 オールアジアンキャストでやるということも決まって…

Crazy Rich Asians / Kevin Kwan

ここ何年か忙しく働き通しで、久しぶりに取れた1ヶ月間の夏休み。 NYで同棲しているボーイフレンドが、「親友の結婚式があるから一緒にシンガポールへ行こうよ」と誘ってきた。 シンガポールは彼の故郷。ということは、彼のご両親にも会えるのかな? 初めて…