トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

The Year of The Flood『洪水の年』(マッドアダム・シリーズ) / マーガレット・アトウッド

(洪水の年) *2018年9月22日、岩波書店から日本語訳が発売されるそうです。 洪水の年(上) 作者: マーガレット・アトウッド,佐藤アヤ子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/09/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 洪水の年(下) 作者: マー…

『わたしたちが孤児だったころ』 カズオ・イシグロ

[When We Were Orphans] 最近『わたしたちが孤児だったころ』を読んだばかりの母と話した。 私が読んだのはかなり前で、上海が舞台の探偵小説風小説ということ以外思い出せず、まるで読んだことのない本のあらすじや感想を聞く気分で聞いていたのだけれど、…

LESS(レス) / アンドリュー・ショーン・グリア: 面白うてやがて悲しき

(レス) ヴィエト・タン・ウェンに続き、ピューリッツァー賞関連をもう一つ。アンドリュー・ショーン・グリアによるLessを読んだ。2018年のピューリッツァー賞フィクション部門受賞作。 The Pulitzer Prizes アンドリュー・ショーン・グリアは初めて読む作…

『奪われた家 / 天国の扉 動物寓話集』 フリオ・コルタサル

[Bestiario] 大阪で大きい地震がありました。本ブログは基本的に自動更新なので反応が遅く恐縮ですが、関西の皆様ご無事でしたでしょうか。雨が続き心も晴れないですね……安全第一、気をつけてお過ごし下さい。 今日は、大好きなコルタサルの新刊が光文社文庫…

The Immortalists / Chloe Benjamin(クロエ・ベンジャミン): 自分の死ぬ日が分かったら、どう生きる?

(不滅の子どもたち) [Updated: 2021-03-29] 日本語訳が出版されるようです。 不滅の子どもたち 作者:クロエ・ベンジャミン,鈴木 潤 発売日: 2021/04/26 メディア: 単行本 装丁が素敵。 ハードカバー発売当初に購入したのだが、しっとりとしてマットな質感…

『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』 アンジー・トーマス

[The Hate U Give] メンバーの投票で決定した2018年5-6月のOur Shared Shelf(エマ・ワトソン主催のブッククラブ)お題本は2冊あるのだけれど、1冊目は『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』というYA小説! そろそろ読み始めようかなと思った頃、偶然書店で日本語訳を…

The Refugees / Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった。 ピューリッツァー賞…

Exit West / モーシン・ハミッド: イスラム文化圏の難民事情・ミーツ・村上春樹なのか

(西への出口) 2017年のブッカー賞にノミネートされていた、この小説。 読んでみたいと書いてから半年経ってしまったが、ようやく読んだ。Penguinのカバーも素敵。オレンジのイスラム建築のドアの向こうに西洋の都市(ロンドン)が見えるというもので、まさ…

The Expatriates / Janice Y. K. Lee: 『ビッグ・リトル・ライズ』作者も絶賛。「香港のアメリカ人」を描いた物語

久しぶりに香港に滞在している。香港を舞台にした本を読みたいなと思い、今回選んだのはこちら。2009年にデビュー作The Piano Teacherがベストセラーとなったジャニス・Y・K・リーの2作目、The Expatriates。タイトルの通り、香港に暮らす「外国人」・「駐在…

『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス: 映画化が決定

[The Bell Jar] It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York. 10代の頃の自分の読書ログを眺めていたら、The Bell Jarについて「ここ数年読んだ本の中で一番好き」とだけ…

『口のなかの小鳥たち』 サマンタ・シュウェブリン

[Pájaros en la boca] 最近ラテアメ文学の再読ばかりしていて気がついた。邦訳されているイスパノアメリカ文学は圧倒的に男性作家ばかりだなと。 もちろんラテンアメリカには男性作家しかいないのかというとそんなわけはなく、大学の頃授業で学んだ作品は男…

『アメリカにいる、きみ』 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

[Collected Stories] 著書が全て日本語に翻訳されている大人気作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。 こちらは2007年に出版されているので、邦訳第1作目のはず。 アディーチェの翻訳をすべて手がけているくぼたのぞみさんが、こちらも翻訳している。その…

『わたしの物語』 セサル・アイラ: タイトルや表紙に騙されることなかれ

[Como Me Hice Monja] セサル・アイラの『わたしの物語』は、読者が裏切られ続ける物語。 とにかくやられた感がすごいのだ。 わたしの物語 (創造するラテンアメリカ) 作者: セサル・アイラ,柳原孝敦 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2012/07/27 メディア: …

雨の日に読む海外文学 14冊

先日、しとしとと一日中雨が降る日に『情事の終り』を再読した。 ロンドンを舞台にしたこの物語、最初の場面は主人公モーリスがかつての不倫相手の夫と偶然出会うところから始まる。 その夜は激しい雨が降っている。心の芯まで冷え込んでしまうような雨だ。…