日本語未訳
(ふつうのひと) 2018年のブッカー賞にもノミネートされた、サリー・ルーニーの長編2作目。2020年には『ふつうの人々』として映像化された(下にApple TVのリンクを貼りました。ドラマもよかったですね〜!)。描かれるのは2011年から2015年にかけて起こっ…
最近、恋愛小説が読みたくてたまらない。けれんみのない恋愛小説を心が求めている。どうしてだろう……と考えをめぐらせ、はたと気づく。これって、バブルの狂騒の時代に吉本ばななの小説が大ヒットしたのと同じ原理なのでは? 物質主義的な時代に辟易した人々…
The Happy Readerなんて、素晴らしすぎるタイトル。この記事を読んでくださっているあなたもわたしも、きっとa happy readerですよね。 これ、ペンギン・クラシックス(Penguin Classics)とFantastic Manが共同で出版している「Bookish Magazine」である。…
こちら、珍しくAmazonがすすめてくれて購入した本。「なんか違うんだよね〜」が多かったAmazonのおすすめタイトル、最近妙に精度が上がってきた。長い付き合いを経て、やっとわたしのことを理解してくれるようになった!?(キラキラ)と感激したのも束の間…
みなさまが「つい買ってしまう」(小説の)テーマやモチーフってなんですか? 『文藝 2020年春夏号』の「源氏! 源氏! 源氏!」特集で、江國香織さんが「姉妹ものが好きで、姉妹と見るとつい買ってしまう」というような発言をされていた。読みながら、「わ…
英語訳のタイトルがとてもいい。"I spy with my little eyes..."のLittle Eyes。 そしておそらく、"big brother"をも意識しているのだろうと思われる。『一九八四年』でジョージ・オーウェルが描いた監視社会を、シュウェブリンも描こうとしているから。しか…
最初の数ページを読んだだけで、はっと驚き、早くもこの小説のとりこになる。 Amma is walking along the promenade of the waterway that bisects her city, a few early morning barges cruise slowly by to her left is the nautical-themed footbridge w…
ノンフィクションなのだけれど、いろいろな小説を思い起こさせる1冊だったのでブログに投稿しておく。 2017年に逮捕され、2019年に裁判が行われた、「ソーホーのペテン師」アンナ・ソロキン(アンナ・デルヴィー)について書かれた1冊。 My Friend Anna: The…
2019年の驚きといえば、「友人(それも複数名)がマッチングアプリで出会った人と結婚した」ことだろう。 マッチングアプリ!!! 未知の世界すぎて、結婚に至るまでの道のりを根掘り葉掘り聞いてしまった。友人いわく、「今や出会いを求めている人はマッチ…
(春) アリ・スミスのSeasonal Quartetも、ついに3冊目。残すは今夏出版予定のSummerのみ。ここまで読み進めて、ようやくアリ・スミスの素晴らしさを実感した! すごい、すごい、すごい。なんて面白いの。 Spring (Seasonal Quartet) 作者: Ali Smith 出版…
[سيدات القمر] 2019年のブッカー国際賞を受賞した、オマーン人作家Jokha AlharthiによるCelestial Bodies(Marilyn Booth訳)。平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」という言葉をなんとなく思い出してしまう題名ではないですか。 原題はSayyidat al-q…
(二匹のかたつむりの会話) なぜわざわざ英語で……という感じがしなくもないが、以前ブログに書いた文庫サイズのPenguin Modernシリーズからロルカの作品集が出ていたので衝動買いしてしまった。 衝動買いしたくもなるよ、この値段なら(イギリスでは1ポンド…
(断絶) [Updated: 2021-01-30] 日本語訳が2021年、発売に。 断絶 (エクス・リブリス) 作者:リン・マー 発売日: 2021/03/25 メディア: 単行本 中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやThe Kirkus Prize*…
(オン・ザ・カムアップ) 去年はYAをたくさん読んだけれど、ダントツで面白かったのがアメリカにおける黒人差別とともにゲットーで生まれ育った少女の精神的成長を描いた『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』だった。 ともすれば重くなりがちなトピックスを、90年代…
2019年のReading Challengeで「タイムトラベルものを読みたい」と書いたのだけれど、ちょうどぴったりの小説が出版されていた。 ジョイス・キャロル・オーツの新作だ。2018年にはこのHazards of Time Travel(長編)とBeautiful Days(短編集)を出版するな…
タイトルと装丁に惹かれて購入(2019年のto be readリストに入れていた作品)。 バンコク、大好きです。遊びに行くのも好きだし、仕事でも何度か行ったけれど同僚もクライアントも素敵な方ばかりだし、ごはんも美味しいし(川魚って苦手なんだけれどタイ料理…
[El espíritu de la ciencia-ficción] 読みたい2019年新刊リストには入れていなかったのだけれど、Kindleで試し読みをしたらめちゃくちゃ面白くて、即購入してしまった一冊。 ボラーニョが1984年に執筆した作品で、スペイン語で出版されたのが2016年、英語訳…
[Désorientale] 内容紹介をちらりと読んで、絶対に面白い&好みだぞ!と思って購入した一冊。 作者はパリ在住のイラン系移民(十一歳の時にフランスに移住)で、これがデビュー作とのこと。 Disoriental (English Edition) 作者: Négar Djavadi 出版社/メー…
(エンジェル・キャットバード) 『侍女の物語』の続編となるThe Testamentsだが、ついにAmazon上でも装丁を見ることができるようになった。侍女のシンボルカラー・赤ではなく、紺に明るい緑を効かせたデザイン。 The Testaments (The Handmaid’s Tale) 作者…
いただきものの、こちらの本。Pushkin Collection(Pushkin Press)から発売予定のカフカの短編集だ(発売日は2019年3月5日)。ドイツ語→英語の新訳。 The Unhappiness of Being a Single Man: Essential Stories (Pushkin Collection) 作者: Franz Kafka,Al…
(コルタサル) ずっと読みたかったグラフィックノベル。フリオ・コルタサルの人生を描いた作品。Amazon.esでもGoodreadsでも驚くほど高評価がつけられていて、楽しみに積んでいた。そろそろ二巡目の『石蹴り遊び』をしようと思うので、手始めにこちらを読ん…
(冬) アリ・スミスのSeasonal Quartet、二作目。イギリスを含んだ多くの国では一年の始まりが秋からだから、このシリーズも秋から始まったのだろう。 Winter: from the Man Booker Prize-shortlisted author (Seasonal Quartet) 作者: Ali Smith 出版社/メ…
(小さな手) 最近、アンドレス・バルバ(Andrés Barba)にはまっている。 なんと、先日のヨーロッパ文芸フェスティバルで来日していたのですね。しかもヨーロッパハウスで講演していたのか〜! どのみち、この日は行けなかったのだけれど、是非話を聞いてみ…
2018年のギラー賞(受賞作品の発表は11月19日!)にノミネートされていて、読みたくなったシェイラ・ヘティのMotherhood。一風変わったユーモラスな語り口が心地よくて、これまた数多の積ん読を差し置いて、一晩で読んでしまった。 2018年のギラー賞ショート…
表紙に一目惚れして(下記Amazonリンクに表示されている方ではなくて、白地にタイトルと著者名が赤と青で印刷されていて、むっとした表情の一家のイラストが描いてある方。かわいい……)購入。今年度のギラー賞にもノミネートされているパトリック・デウィッ…
(女の子は明るく燃える) 7歳の時インドからアメリカに移住したという新人作家Shobha Rao初の長編小説。タイトルに惹かれて購入。 Girls Burn Brighter 作者: Shobha Rao 出版社/メーカー: Flatiron Books 発売日: 2019/03/05 メディア: ペーパーバック こ…
(マッドアダム) 近未来を描いたディストピア、アトウッドの「マッドアダム・シリーズ」完結編。 MaddAddam 作者: Margaret Atwood 出版社/メーカー: Virago Press Ltd 発売日: 2014/08/07 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る Paramount …
(黄金の軍鶏) フアン・ルルフォのEl Gallo de Oroを読んだ。 二冊の本を出版した後、フィクションの執筆はやめてしまったルルフォだが、その後は映画やテレビの脚本を手がけるようになる。本作はルルフォ作の映画用プロット(原案)で、映画化の際にはカル…
2018年のブッカー賞ロングリストにはディストピア小説が複数ノミネートされていて、興味を持ったのがこちら。 ジャンルでいうとフェミニスト・ディストピアで、『侍女の物語』やHot Milkのファンには特におすすめという触れ込みだった。 The Water Cure: LON…
(フロード) ディストピア小説が盛り上がりをみせるとともに、YA小説も再びディストピアをテーマにしたものが増えてきている。 これが面白いものばかり。こちらは、2016年に発売され、ディストピアYAの先駆けとなったもいえるセシリア・アハーンの作品。 Fl…