トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2023年・国際ブッカー賞(ロングリスト)の関連本(?)いろいろ

今年の国際ブッカー賞のロングリストにノミネートされたのは13冊。 Permafrostの著者、Eva BaltasarのBoulderとか、初めてノミネートされたブルガリア語&タミル語からの翻訳作品とか、気になる作品がたくさん。 thebookerprizes.com 『鯨』チョン・ミョング…

宝塚・花組『うたかたの恋』観劇前に読んだ本

正直なところ、『うたかたの恋』は上演が発表されて大喜びしちゃうような作品ではない。心中というテーマが古めかしいだけでなく、歌も昭和の香りがして仰々しいと思っている。 それに、マリーというヒロインは娘役にとってかなり危険な役ではないだろうか。…

マーガレット・アトウッドの短編とエッセイとBurning Questions

2021〜22年に発表されたマーガレット・アトウッドの短編とエッセイを読みました。思えば2012年からナオミ・オルダーマンとOnline Onlyのwattpadで"The Happy Zombie Sunrise Home"という短編を共著していたりと、インターネット媒体を活用することも非常に多…

2022年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)ふりかえり

今年のリーディングチャレンジをふりかえります。 いつもふりかえりと次の年の分をまとめて載せているのだけれど、なかなか時間がとれなくなってしまったので。 2022年のリーディングチャレンジ 今年デビューする作家の本を読む。⭕️ すでにおすすめされた本…

秋の海で読みたかった本

夫と2人で旅行していた頃、スーツケースには何冊も本を入れていったものだ。飛行機や電車で「読むものがなくなった」と言うことの多い夫のために、彼が好きそうなエッセイまで見繕って持っていった。 いつの間にやら犬と赤ちゃん(ヒト)が家族に加わり、今…

最近読んだ「犬」小説

どうやら、犬を飼うDNAというものがあるらしい。犬とヒトとの共存の秘密は、遺伝子に刻まれているらしい(英国とスウェーデンの研究による)。 人生の大半を犬と暮らしている人間としては、わかるわかるーと頷いてしまう。家族の古いアルバムを開けば、父方…

『Small Things Like These』(クレア・キーガン)、『Treacle Walker』(アラン・ガーナー)と2022年のブッカー賞ショートリスト

2022年のブッカー賞ショートリストにノミネートされた2冊を読んだ。 Small Things Like These / クレア・キーガン 『マグダレンの祈り』 『青い野を歩く』 Treacle Walker / アラン・ガーナー 『時間は存在しない』 『ふくろう模様の皿』 Oh William! / エリ…

月組の『グレート・ギャツビー』を観劇する前に読んだ&観た作品

月組『ギャツビー』も、後数日。千秋楽を観るのも楽しみにしています。 観劇前に読んだ&観た作品、いろいろ。 The Great Gatsbyと『グレート・ギャツビー(ギャッツビー)』(野崎孝、大貫三郎、村上春樹、小川高義・訳) The Chosen and the Beautiful / N…

『グレート・ギャツビー』のリテリング2作品:Beautiful Little Fools と The Chosen and the Beautiful

現在公演中の宝塚歌劇団・月組による『グレート・ギャツビー』。 トップスターでギャツビーを演じる月城かなとさんは、類い稀な美貌を誇るタカラジェンヌの中でも一際美しい人。 ところが、公演中はその美貌がまったく話題にならないほど、巧みな演技力に話…

エリザベス・ストラウトの『Oh William!』と、2022年のブッカー賞ロングリスト

Oh William! 2022年ブッカー賞ロングリスト Oh William! 今日はブッカー賞のショートリストの発表日だ。今年読んだロングリストノミネート作品は、もともと積んでいたエリザベス・ストラウトの Oh William! だけ。「ルーシー・バートン」シリーズ(?)の3作…

わたしのサマーリーディング(世界文学編)

もう8月が終わりに近づいているとは、信じられない気持ち。毎年夏以外の季節は、夏に恋焦がれ、到来を待ち望んでいるのに、夏はやってきたと思うとすぐに去ってしまう……。 こちらは、この夏に読んだ本&夏の読書にぴったりだと思った本、いろいろ。 ノルウェ…

宝塚歌劇団上演作品の原作いろいろ(2022後半〜)

コロナの影響により、宝塚で大物海外ミュージカルが上演されなくなって久しいけれど、その分小説や漫画をもとにしたオリジナル脚本の作品がかなり増えて、すごく嬉しい。と同時に、原作を読んでから舞台を見たい派としては俄然忙しくなって焦る。 2022年後半…

世界文学、1万円分

この夏は仕事のスケジュールをゆったりめに組んでいるのと、いつのまにやらいただきものの図書券とか商品券とかAmazonギフトカードとかがめちゃくちゃ溜まっていた!ので、まとめて本を買う楽しい遊びをしました。「夏っぽい本(表紙が海、タイトルに「夏」…

2022年 国際ブッカー賞受賞作は『Tomb of Sand』

*2022-05-29: 作者の出身地について、赤字で修正しています。 2022年5月26日(英国)、国際ブッカー賞受賞作が発表されました。受賞したのはTomb of Sand(Geetanjali Shree著、Daisy Rockwell訳)! インドの言語で執筆され、翻訳された作品が国際ブッカー…