トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2021年 ブッカー賞ロングリスト

7月27日(英国)、ブッカー賞が発表となった。ホームページ(下)ではChair of the 2021 Judgesを務めているマヤ・ジャサノフさんのコメント動画も閲覧できる。 The Booker Prize 2021 | The Booker Prizes 2019年は発売前のマーガレット・アトウッドの『誓…

At Night All Blood is Black / ダヴィッド・ディオプ(アンナ・モスコヴァキス訳)

[Frère d'âme] 今年の国際ブッカー賞を受賞したDavid Diop(ダヴィッド・ディオプ*1)の作品。いや〜とんでもない化け物みたいな本でした。読者を掴んで離さない。 翻訳小説としてはかなり珍しいことに、先日発表されたばかりのオバマ元大統領のサマーリーデ…

宝塚花組の『アウグストゥス』と、ジョン・ウィリアムズの『アウグストゥス』(布施由紀子・訳)

宝塚ファンには、いわゆる駄作を愛でるという文化がある。「出来の悪い子ほどかわいい」気分になるのだ。初回の観劇こそ、「全然よくなかった! ◯◯先生ってば!」と演出家を責めるものの(ごめんなさい)、そのうちに「変すぎ」と思っていた曲やセリフが頭に…

カズオ・イシグロが読んでいた本

そういえば数年前、「イシグロの次の小説はSFだろうな」と思ったことがあったな、なんでだっけな……と考えていて、思い出した。イシグロが読んでいる本に、テクノロジーについての作品があったのだった。The Guardianのお気に入り記事の1つに、作家が読んでい…

サリー・ルーニーの"At the Clinic"とか、その他の短編とか

今年はルーニーの3作目、Beautiful World, Where Are Youが発売される予定。その前にオンラインで読める短編は読んでおきたいなと思っているところ。とりあえず、こちらに備忘録としてまとめてみる(まだ読んでいないのは、また後日アップデート予定です)。…

The Dangers of Smoking in Bed / マリアーナ・エンリケスの原点(Megan McDowell訳)

[Los peligros de fumar en la cama] 国際ブッカー賞のショートリストにノミネートされていた、マリアーナ・エンリケスのThe Dangers of Smoking in Bedを読んだ。エンリケスの初短編集。読みながら何度も、「いいなあ……好きだなあ……」としみじみ思う。何度…

2021年 国際ブッカー賞受賞作はAt Night All Blood is Black

6月2日、国際ブッカー賞の受賞作が発表に。フランス人作家の受賞は初めてとのこと。日本語にも翻訳されるかな? At Night All Blood is Black / David Djop(Anna Moschovakis 訳) フランス語から翻訳 At Night All Blood is Black 作者:Diop, David 発売日…

母と娘の世界文学 20冊

10代のころ、口論になり母を泣かせたことがある。わたしは意地の悪い子どもで、何を言ったら人を傷つけることができるのか、よく心得ていた。今となってはどんな言葉を投げつけたのかさえ、まったく覚えていない。でも、思春期でイライラしたわたしが「決め…

『肉体の悪魔』ラディゲ(中条省平・訳): いつ読んでも印象がまったく変わらない不思議な小説

[Le diable au corps] 僕は愛などなくてもいられるように早く強くなりたかった。そうすれば、自分の欲望をひとつも犠牲にする必要がなくなる。 Je souhaitais d'être assez fort pour me passer d'amour et, ainsi, n'avoir à sacrifier aucun de mes désirs…

『恥さらし』パウリーナ・フローレス(松本健二・訳): こういうラテンアメリカ文学が読みたかったんだよ、わたし

[Qué Vergüenza] 2021年の読みたいリストに入れていた1冊。 恥さらし (エクス・リブリス) 作者:パウリーナ・フローレス 発売日: 2021/01/06 メディア: 単行本 恥さらし。なんて強い言葉。「恥」を「さらす」。 恥さらしと聞いて思い浮かぶのは……寒さの厳しい…

2021年 Women's Prize for Fiction ショートリスト

いよいよゴールデンウィークですね! お休みの方は何を読む予定ですか? わたしはメインのお仕事は休みだけど、サブのお仕事はあるのであまりいつもと変わらないような……だけど、この機会に、4月に入ってからグダグダになっていた今年の目標の1つを仕切り直…

『フィーメール・マン』とか『女の国の門』とか

『フィーメール・マン / Female Man』ジョアナ・ラス(友枝康子訳) 数年前、『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んだときに「あ、あれ再読しよう」と思い、先日ついに発売されたよしながふみの漫画『大奥』の最終巻を読んで「あ、今度こそあれ読もう」と思っ…

2021年 国際ブッカー賞ショートリスト

今日は、全然関係ない話から始めましょう。このページを見てくださっているみなさまは、Chromeユーザーですか? Chromeってすごくおもしろい拡張機能があるんです。わたしがたまたま最近発見しただけで、数年前からあるので、ご存知の方も多いかも。その名も…

『ロミオとジュリエット』シェイクスピア(小田島雄志・訳、松岡和子・訳、宝塚歌劇団星組): 疾走する命

[Romeo and Juliet] このブログには本のことだけ書こうと思っているのですが、東京宝塚劇場での上演が始まったばかりの星組『ロミオとジュリエット』を観劇(&感激……)したところなので、今日は星担による星組礼賛日記になってしまいそう。 さて、宝塚歌劇…