2018年出版
(ふつうのひと) 2018年のブッカー賞にもノミネートされた、サリー・ルーニーの長編2作目。2020年には映像化もされた(下にApple TVのリンクを貼りました。ドラマもよかったですね〜!)。描かれるのは2011年から2015年にかけて起こったできごと。高校から…
去年に引き続き、インスタでは世界文学読みさんたちが「#koreanmarch」を開催していたので、これ幸いと韓国文学三昧な日々を過ごした。色々な方が読んだ本や積読している本を眺めているだけで、幸せな気分に……。 わたしはといえば、新しいものは購入せずに積…
[피프티 피플] もう本当に面白くて面白くて! どのくらい面白かったかというと、読み終わったあとすぐにチョン・セランの日本語訳が出ている作品すべて購入して、かたっぱしから読んでしまったくらい。 フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり1) 作者…
[سيدات القمر] 2019年のブッカー国際賞を受賞した、オマーン人作家Jokha AlharthiによるCelestial Bodies(Marilyn Booth訳)。平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」という言葉をなんとなく思い出してしまう題名ではないですか。 原題はSayyidat al-q…
ブログでレビューを書いた洋書(このブログでは英語とスペイン語で書かれた本を指します)の日本語訳をまとめました。 2018年のものは2018年と2019年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)にまとめていたのですが、日本語訳を探してこのブログを訪…
[Picnic at Hanging Rock] なんと、50年以上前にオーストラリアで出版された(1967年)この小説が日本語訳されるのはこれが初めてとのこと。すごくいい小説なのにどうして今まで翻訳されなかったのだろうという気もするけれど、何はともあれよかった。 ピク…
(断絶) [Updated: 2021-01-30] 日本語訳が2021年、発売に。 断絶 (エクス・リブリス) 作者:リン・マー 発売日: 2021/03/25 メディア: 単行本 中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやThe Kirkus Prize*…
*この記事は、「ブッカー国際賞」に関するものです。 2019年の「ブッカー賞」ロングリストは、こちらから。 www.tokyobookgirl.com ブッカー国際賞 イギリスの5月21日に発表となったブッカー国際賞、今年受賞したのはJokha AlharthiによるCelestial Bodiesだ…
2019年のWomen's Prize for Fictionショートリストが発表された(イギリス、4月29日)。まだまだと思っていても、あっという間に時が経ってしまうものですね。 Women's Prize for Fictionは何度も名称が変わっていてちょっとややこしいので(オレンジ賞→女性…
[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…
(マイ・シスター、シリアルキラー) ジャケ&タイトル買いしてしまった一冊。 My Sister, the Serial Killer 作者: Oyinkan Braithwaite 出版社/メーカー: Atlantic Books 発売日: 2019/10/03 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 作者のO…
ブッカー国際賞、ショートリストが発表されました。 今年の特徴はなんといっても、6作品中5作品が女性作家によるもので、翻訳者に限って言えば全員が女性なことではないでしょうか。 The New York Timesも、The Guardianもその事実を大きく取り上げている。…
[너무 한낮 의 연애] 『キム・ジヨン』を読んだ時に、次に読みたいなと考えていた小説。結局、購入してから1年近く積んでしまった。 この晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズって、装丁がとても素敵ですね。 CUONの装丁もどれも素敵だし、現代韓国文学…
[Dance of the Happy Shades] マンローのデビュー作ということで、英語圏で出版されたのは、なんと1968年! その事実にびっくりしてしまう。日本語訳が出版されたのが去年なので、ちょうど50年の時を経て発売されたということになるが、翻訳者の小竹由美子さ…
2019年のReading Challengeで「タイムトラベルものを読みたい」と書いたのだけれど、ちょうどぴったりの小説が出版されていた。 ジョイス・キャロル・オーツの新作だ。2018年にはこのHazards of Time Travel(長編)とBeautiful Days(短編集)を出版するな…
[מצרפי המקרים] 出張先の本屋さんで見つけて、「おっ!」となった作品。 このタイトルと、著者のユダヤ系の名前を見て思い出したのです。もう10年近く前にイスラエル系の友人(村上春樹好き、初めて読んだ村上作品はNorwegian Wood)からこの本が面白いと聞…
*この記事は、「2019年のブッカー国際賞」に関する記事です。 2020年のブッカー国際賞のショートリストはこちらをどうぞ。 www.tokyobookgirl.com あっという間にこの時期がきてしまった。 2005年に創設され、著者と英語への翻訳者が共同受賞するブッカー国…
[Désorientale] 内容紹介をちらりと読んで、絶対に面白い&好みだぞ!と思って購入した一冊。 作者はパリ在住のイラン系移民(十一歳の時にフランスに移住)で、これがデビュー作とのこと。 Disoriental (English Edition) 作者: Négar Djavadi 出版社/メー…
[82년생 김지영] 『VERY』 1月号を読んでいて、「色々と話題になりそうだな」と思った記事があった。 「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」と将来息子がパートナーに言わないために今からできること、VERY1月号の記事が話題に - Togetter 案の定Twi…
[Conversación en La Catedral] 「ラテンアメリカの文学」シリーズで1984年に出版されていたリョサの『ラ・カテドラルでの対話』。2018年にめでたく岩波文庫から新訳が登場した。ということで、年末年始はこの一冊と濃密な時間を過ごすことができて満足して…
(友だち) 今年の全米図書賞受賞作品(フィクション部門)。 長年の友人が自殺した。残された妻(三人目の妻である)と会うと、犬を引き取ってほしいとお願いされる。もともと友人が拾ってきた犬で、犬好きでない妻は世話をしきれないのだという。それも、…
[El fuego en el que aldo] 先日Frankenstein in Baghdadの記事をあげたら、Twitterで作者のAhmed Saadawiさんがリツイートしてくださって、びっくりした(Twitter、あまり見ないのだけれど、記事アップだけはブログと連携させている)。アラビア語で執筆さ…
(バグダードのフランケンシュタイン) 大人になってから初めて『フランケンシュタイン』を読み返した。 子供の頃は、この話について、まあなんと理解できていなかったことか! 今だって理解できているのかと言われれば疑問が残るが、幼い時分はどこまでも追…
[Spinning] ワルツジャンプ 最初に習ったジャンプのひとつ 片足を振りあげた勢いで 体が持ち上がる感覚を今でも覚えている 女子ロッカー室に充満する汗や香水の匂い、スケートリンクのひんやりとした空気とどこまでも続く氷の静けさが目の前に広がるかのよう…
[Идиот] この秋は、日本中に『白痴』を読んでいる人がいるのだろうなあと思いを馳せずにはいられない! 光文社古典新訳文庫で『白痴』の1巻が出てからはや数年、ついに最終巻が発売になったのだから。 光文社の亀山郁夫さんによる『カラマーゾフの兄弟』を読…
すっかり遅くなってしまったけれど、11月19日に発表されたカナダの文学賞・ギラー賞を受賞したのはEsi EdugyanによるWashington Blackでした。まだハードカバーしか出版されていおらず、ペーパーバックは予約受付中(来年の4月)。 Washington Black: Shortl…
備忘録として。 全米図書賞はあまりチェックしたことがなく、受賞作もほとんど読んだことがないのだけれど、今年は30数年ぶりに翻訳文学部門(Translated Literature)が復活! ということで楽しみにしていた。 11月14日に発表されたNational Book Awards 20…
2018年のギラー賞(受賞作品の発表は11月19日!)にノミネートされていて、読みたくなったシェイラ・ヘティのMotherhood。一風変わったユーモラスな語り口が心地よくて、これまた数多の積ん読を差し置いて、一晩で読んでしまった。 2018年のギラー賞ショート…
(丸い地球の幻想上の四隅) [Updated: 2020-12-13] 2021年に日本語訳が出版されるようです。表題作となっているのは、原書では2つ目に収録されている、蛇にまつわるお話みたい。翻訳者は『運命と復讐』の光野多惠子さん。楽しみです! 丸い地球の幻想上の四…
[吹竹節的鬼] 「鹿港(ルーガン)では昔、どの通りでもお化けが出たもの」 家にあった『世界x現在x文学ー作家ファイル』の李昂(リー・アン)のページの見出しに確かそんな言葉が書いてあって、「この作家の作品は面白そうだな」と子供ながらに思ったものだ…