トーキョーブックガール

海外文学・世界文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2018年出版

ブログで紹介した洋書の日本語訳 出版情報

ブログで紹介した洋書(ここでは英語とスペイン語)の日本語訳をまとめました。 2018年のものは2018年と2019年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)にまとめていたのですが、日本語訳を探してこのブログを訪問してくださる方が増えているようなの…

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー

[Picnic at Hanging Rock] なんと、50年以上前にオーストラリアで出版された(1967年)この小説が日本語訳されるのはこれが初めてとのこと。すごくいい小説なのにどうして今まで翻訳されなかったのだろうという気もするけれど、何はともあれよかった。 ピク…

Severance / Ling Ma(リン・マー): アポカリプス的オフィス・ノベル

中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやKirkus Review Prize*1を受賞し、2019年のPENヘミングウェイ賞のショートリストやNYPLのYoung Lions Fiction Awardにノミネートされた話題作。 Severance: A Nove…

2019年のブッカー国際賞はJokha AlharthiのCelestial Bodies / Best Translated Book AwardのShortlistのこと

*この記事は、「ブッカー国際賞」に関するものです。 2019年の「ブッカー賞」ロングリストは、こちらから。 www.tokyobookgirl.com ブッカー国際賞 イギリスの5月21日に発表となったブッカー国際賞、今年受賞したのはJokha AlharthiによるCelestial Bodiesだ…

Women's Prize for Fiction ショートリスト

2019年のWomen's Prize for Fictionショートリストが発表された(イギリス、4月29日)。まだまだと思っていても、あっという間に時が経ってしまうものですね。 Women's Prize for Fictionは何度も名称が変わっていてちょっとややこしいので(オレンジ賞→女性…

『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』ジョイス・キャロル・オーツ

[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…

My Sister, the Serial Killer / Oyinkan Braithwaite

ジャケ&タイトル買いしてしまった一冊。 My Sister, the Serial Killer 作者: Oyinkan Braithwaite 出版社/メーカー: Atlantic Books 発売日: 2019/10/03 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 作者のOyinkan Braithwaite(オインカーン・…

2019年 ブッカー国際賞ショートリスト

ブッカー国際賞、ショートリストが発表されました。 今年の特徴はなんといっても、6作品中5作品が女性作家によるもので、翻訳者に限って言えば全員が女性なことではないでしょうか。 The New York Timesも、The Guardianもその事実を大きく取り上げている。…

『あまりにも真昼の恋愛』 キム・グミ

[너무 한낮 의 연애] 『キム・ジヨン』を読んだ時に、次に読みたいなと考えていた小説。結局、購入してから1年近く積んでしまった。 この晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズって、装丁がとても素敵ですね。 CUONの装丁もどれも素敵だし、現代韓国文学…

『ピアノ・レッスン』 アリス・マンロー: 断筆宣言済み作家のデビュー作は50年の時を経てもみずみずしい

[Dance of the Happy Shades] マンローのデビュー作ということで、英語圏で出版されたのは、なんと1968年! その事実にびっくりしてしまう。日本語訳が出版されたのが去年なので、ちょうど50年の時を経て発売されたということになるが、翻訳者の小竹由美子さ…

Hazards of Time Travel / ジョイス・キャロル・オーツ: オーツによる初めてのディストピア小説?

2019年のReading Challengeで「タイムトラベルものを読みたい」と書いたのだけれど、ちょうどぴったりの小説が出版されていた。 ジョイス・キャロル・オーツの新作だ。2018年にはこのHazards of Time Travel(長編)とBeautiful Days(短編集)を出版するな…

The Coincidence Makers(偶然仕掛け人) / ヨアブ・ブルーム

[מצרפי המקרים] 出張先の本屋さんで見つけて、「おっ!」となった作品。 このタイトルと、著者のユダヤ系の名前を見て思い出したのです。もう10年近く前にイスラエル系の友人(村上春樹好き、初めて読んだ村上作品はNorwegian Wood)からこの本が面白いと聞…

2019年 ブッカー国際賞ロングリスト

*この記事は、「ブッカー国際賞」に関する記事です。 9月3日に発表された、2019年の「ブッカー賞」ショートリストは、こちらから。 www.tokyobookgirl.com あっという間にこの時期がきてしまった。 2005年に創設され、著者と英語への翻訳者が共同受賞するブ…

Disoriental / Négar Djavadi: マザンダランの陰謀渦巻くハーレムから、パリの不妊治療クリニックまで

[Désorientale] 内容紹介をちらりと読んで、絶対に面白い&好みだぞ!と思って購入した一冊。 作者はパリ在住のイラン系移民(十一歳の時にフランスに移住)で、これがデビュー作とのこと。 Disoriental (English Edition) 作者: Négar Djavadi 出版社/メー…

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ

[82년생 김지영] 『VERY』 1月号を読んでいて、「色々と話題になりそうだな」と思った記事があった。 「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」と将来息子がパートナーに言わないために今からできること、VERY1月号の記事が話題に - Togetter 案の定Twi…

『ラ・カテドラルでの対話』マリオ・バルガス=リョサ: 実験的な長編小説

[Conversación en La Catedral] 「ラテンアメリカの文学」シリーズで1984年に出版されていたリョサの『ラ・カテドラルでの対話』。2018年にめでたく岩波文庫から新訳が登場した。ということで、年末年始はこの一冊と濃密な時間を過ごすことができて満足して…

The Friend / シークリット・ヌーネス

今年の全米図書賞受賞作品(フィクション部門)。 長年の友人が自殺した。残された妻(三人目の妻である)と会うと、犬を引き取ってほしいとお願いされる。もともと友人が拾ってきた犬で、犬好きでない妻は世話をしきれないのだという。それも、ただの犬では…

『ぼくを燃やす炎』マイク・ライトウッド

[El fuego en el que aldo] 先日Frankenstein in Baghdadの記事をあげたら、Twitterで作者のAhmed Saadawiさんがリツイートしてくださって、びっくりした(Twitter、あまり見ないのだけれど、記事アップだけはブログと連携させている)。アラビア語で執筆さ…

『フランケンシュタイン』と『メアリーの総て』とFrankenstein in Baghdad

(バグダッドのフランケンシュタイン) 大人になってから初めて『フランケンシュタイン』を読み返した。 子供の頃は、この話について、まあなんと理解できていなかったことか! 今だって理解できているのかと言われれば疑問が残るが、幼い時分はどこまでも追…

『スピン』 ティリー・ウォルデン

[Spinning] ワルツジャンプ 最初に習ったジャンプのひとつ 片足を振りあげた勢いで 体が持ち上がる感覚を今でも覚えている 女子ロッカー室に充満する汗や香水の匂い、スケートリンクのひんやりとした空気とどこまでも続く氷の静けさが目の前に広がるかのよう…

『白痴』ドストエフスキー

[Идиот] この秋は、日本中に『白痴』を読んでいる人がいるのだろうなあと思いを馳せずにはいられない! 光文社古典新訳文庫で『白痴』の1巻が出てからはや数年、ついに最終巻が発売になったのだから。 光文社の亀山郁夫さんによる『カラマーゾフの兄弟』を読…

2018年のギラー賞はWashington Black

すっかり遅くなってしまったけれど、11月19日に発表されたカナダの文学賞・ギラー賞を受賞したのはEsi EdugyanによるWashington Blackでした。 まだハードカバーしか出版されていおらず、ペーパーバックは予約受付中(来年の4月)。 Washington Black: Short…

2018年の全米図書賞(National Book Awards)

備忘録として。 全米図書賞はあまりチェックしたことがなく、受賞作もほとんど読んだことがないのだけれど、今年は30数年ぶりに翻訳文学部門(Translated Literature)が復活! ということで楽しみにしていた。 11月14日に発表されたNational Book Awards 20…

Motherhood / シェイラ・ヘティ: 産むの? 産まないの? どうする私

2018年のギラー賞(受賞作品の発表は11月19日!)にノミネートされていて、読みたくなったシェイラ・ヘティのMotherhood。一風変わったユーモラスな語り口が心地よくて、これまた数多の積ん読を差し置いて、一晩で読んでしまった。 2018年のギラー賞ショート…

Florida / ローレン・グロフ

(フロリダ) 初夏に出版された、ローレン・グロフの短編集Florida。作家自身が暮らすフロリダを舞台とし、むせかえるような暑さと湿気、ハリケーン、南の地域ならではの草花や動物、女性の生き方や家族についての物語を集めたもの。今年のNational Book Awa…

『海峡を渡る幽霊』 李昂(リー・アン)

[吹竹節的鬼] 「鹿港(ルーガン)では昔、どの通りでもお化けが出たもの」 昔家にあった『世界x現在x文学ー作家ファイル』の李昂(リー・アン)のページの見出しに確かそんな言葉が書いてあって、「この作家の作品は面白そうだな」と子供ながらに思ったもの…

French Exit / パトリック・デウィット: 全てを失った大富豪未亡人はパリへ

表紙に一目惚れして(下記Amazonリンクに表示されている方ではなくて、白地にタイトルと著者名が赤と青で印刷されていて、むっとした表情の一家のイラストが描いてある方。かわいい……)購入。今年度のギラー賞にもノミネートされているパトリック・デウィッ…

『マンゴー通り、ときどきさよなら』 サンドラ・シスネロス: 出ていきたいと願っていたあの場所のことばかり思い出す

[The House on Mango Street] 白水社の新書として今年生まれ変わった『マンゴー通り、ときどきさよなら』。やっと読めた。 マンゴー通り、ときどきさよなら (白水Uブックス) 作者: サンドラ・シスネロス,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/…

Girls Burn Brighter / Shobha Rao

(女の子は明るく燃える) 7歳の時インドからアメリカに移住したという新人作家Shobha Rao初の長編小説。タイトルに惹かれて購入。 Girls Burn Brighter 作者: Shobha Rao 出版社/メーカー: Flatiron Books 発売日: 2019/03/05 メディア: ペーパーバック こ…

『傾城の恋 / 封鎖』 張愛玲

[傾城之恋] ・張愛玲の『色、戒』*1が好き。 ・映画化された『ラスト、コーション』や香港映画『花様年華』にはまった。 ・『高慢と偏見』や『細雪』など、お見合い・結婚についてのドタバタ劇が好き。 ・『風と共に去りぬ』のスカーレットとレッド・バトラ…