トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

アイルランド文学

『Small Things Like These』(クレア・キーガン)、『Treacle Walker』(アラン・ガーナー)と2022年のブッカー賞ショートリスト

2022年のブッカー賞ショートリストにノミネートされた2冊を読んだ。 Small Things Like These / クレア・キーガン 『マグダレンの祈り』 『青い野を歩く』 Treacle Walker / アラン・ガーナー 『時間は存在しない』 『ふくろう模様の皿』 Oh William! / エリ…

夏〜秋に読んだ世界文学

いつの間にか夏が終わり、9月1日からぐっと冷え込み、秋らしい秋を感じることのできないまま11月がやってきた。 我が家では9〜10月、コロナの影響で保育園休園、夫が不調でMRI(問題なしだった、よかった)、わたしは料理中に「彼女の体とその断片……薬指の標…

オスカー・ワイルドの『An Ideal Husband / 理想の結婚 / 理想の夫』と、宝塚歌劇団星組の『ザ・ジェントル・ライアー』

少し前に発表された宝塚歌劇団・星組の東上公演は、オスカー・ワイルドの戯曲『An Ideal Husband(角川文庫では『理想の結婚』)』をもとにした『ザ・ジェントル・ライアー』。もうそろそろ配役が出る頃ですね。 kageki.hankyu.co.jp 角川文庫版は絶版になっ…

サリー・ルーニーの"At the Clinic"とか、その他の短編とか

今年はルーニーの3作目、Beautiful World, Where Are Youが発売される予定。その前にオンラインで読める短編は読んでおきたいなと思っているところ。とりあえず、こちらに備忘録としてまとめてみる。 Beautiful World, Where Are You: from the internationa…

Normal People / サリー・ルーニー: フツーのひとって、どんなひと

(ふつうのひと) 2018年のブッカー賞にもノミネートされた、サリー・ルーニーの長編2作目。2020年には映像化もされた(下にApple TVのリンクを貼りました。ドラマもよかったですね〜!)。描かれるのは2011年から2015年にかけて起こったできごと。高校から…

Conversations with Friends / サリー・ルーニー: 現代の『夜はやさし』

(カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ) 当ブログでも、キーワード検索される方が一際多いアイルランドの新星、サリー・ルーニー。2017年には、カズオ・イシグロが「色々な人から、素晴らしい作家が現れたと聞いたから。本当にそうなのか、読んで確かめて…

『密会』 ウィリアム・トレヴァー

[A Bit on the Side] ウィリアム・トレヴァーの短編集。 密会 (新潮クレスト・ブックス) 作者: ウィリアムトレヴァー,William Trevor,中野恵津子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/03/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 32回 この商品を含むブロ…

2018年のブッカー賞はアンナ・バーンズのMilkman

イギリスの10月16日に発表になった2018年のマン・ブッカー賞。受賞したのはアンナ・バーンズのMilkmanだった。北アイルランド出身の作家がブッカー賞を受賞するのは初めてとのこと! ちなみに女性作家が受賞するのは2013年のエレノア・カットン以来5年ぶり。…

Milkman / アンナ・バーンズ

(ミルクマン) [Updated: 2020-12-09] 日本語訳が発売されています! 翻訳は栩木玲子さん。ジョイス・キャロル・オーツやトマス・ピンチョンを訳されている翻訳家さんです。 ミルクマン 作者:バーンズ,アンナ 発売日: 2020/12/01 メディア: 単行本 今年のブ…