トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

短編集

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…

『10月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ

[The October Country] いつも10月に再読。 10月はたそがれの国 (創元SF文庫) 作者: レイ・ブラッドベリ,宇野利泰 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1965/12/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 147回 この商品を含むブログ (87件) を見る ブラッド…

The Diamond as Big as the Ritz / F・スコット・フィッツジェラルド

(リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド) 宝塚歌劇団・期待の98期の一人、瑠風輝さんのバウ主演が決定したのが今年の3月。演目はフィッツジェラルド原作の『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』ということでちょっとびっくりした。 フィッツジ…

『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』ジョイス・キャロル・オーツ

[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…

『あまりにも真昼の恋愛』 キム・グミ

[너무 한낮 의 연애] 『キム・ジヨン』を読んだ時に、次に読みたいなと考えていた小説。結局、購入してから1年近く積んでしまった。 この晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズって、装丁がとても素敵ですね。 CUONの装丁もどれも素敵だし、現代韓国文学…

『ピアノ・レッスン』 アリス・マンロー: 断筆宣言済み作家のデビュー作は50年の時を経てもみずみずしい

[Dance of the Happy Shades] マンローのデビュー作ということで、英語圏で出版されたのは、なんと1968年! その事実にびっくりしてしまう。日本語訳が出版されたのが去年なので、ちょうど50年の時を経て発売されたということになるが、翻訳者の小竹由美子さ…

『20世紀ラテンアメリカ短篇選』 野谷文昭 編訳

楽しみに待っていた岩波文庫の『20世紀ラテンアメリカ短篇選』。表紙からしてディエゴ・リベラで、気持ちが高まる。 20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫 赤 793-1) 作者: 野谷文昭 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/03/16 メディア: 文庫 この商品…

『密会』 ウィリアム・トレヴァー

[A Bit on the Side] ウィリアム・トレヴァーの短編集。 密会 (新潮クレスト・ブックス) 作者: ウィリアムトレヴァー,William Trevor,中野恵津子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/03/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 32回 この商品を含むブロ…

The Unhappiness of Being a Single Man / フランツ・カフカ

いただきものの、こちらの本。Pushkin Collection(Pushkin Press)から発売予定のカフカの短編集だ(発売日は2019年3月5日)。ドイツ語→英語の新訳。 The Unhappiness of Being a Single Man: Essential Stories (Pushkin Collection) 作者: Franz Kafka,Al…

The Early Stories / トルーマン・カポーティ

(ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短編集) その名の通り、カポーティの初期の作品が収録された短編集。ニューヨーク公共図書館のアーカイブの中から発見され出版の運びとなったらしい。初期とはカポーティが10〜20代前半の頃を指すそうで…

Florida / ローレン・グロフ

(フロリダ) 初夏に出版された、ローレン・グロフの短編集Florida。作家自身が暮らすフロリダを舞台とし、むせかえるような暑さと湿気、ハリケーン、南の地域ならではの草花や動物、女性の生き方や家族についての物語を集めたもの。今年のNational Book Awa…

『海峡を渡る幽霊』 李昂(リー・アン)

[吹竹節的鬼] 「鹿港(ルーガン)では昔、どの通りでもお化けが出たもの」 昔家にあった『世界x現在x文学ー作家ファイル』の李昂(リー・アン)のページの見出しに確かそんな言葉が書いてあって、「この作家の作品は面白そうだな」と子供ながらに思ったもの…

『遊戯の終わり』 フリオ・コルタサル

[Final del Juego] コルタサルの最初の短編集『遊戯の終わり』を再読した。 遊戯の終わり (岩波文庫) 作者: コルタサル,木村榮一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2012/06/16 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 30回 この商品を含むブログ (23件) を見…

Roman Fever(ローマ熱)/ イーディス・ウォートン

(ローマ熱) “I was just thinking,” she said slowly, “what different things Rome stands for to each generation of travelers. To our grandmothers, Roman fever; to our mothers, sentimental dangers—how we used to be guarded!—to our daughters,…

『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス

[Las cosas que perdimos en el fuego] 良作、英語訳も売れに売れていると評判を聞いていて、スペイン語で読もうか英語で読もうか迷っていたら、なんと本屋さんで日本語訳を発見した! どこに行っても海外文学のコーナーで平積みになっているから、注目され…

『ラテンアメリカ怪談集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス他(鼓直 編)

最近、絶版してしまったモダンクラシックな作品の復刊が相次いでいて嬉しい。 『ラテンアメリカ怪談集』は、1990年代に河出文庫にて発売されていたそうなのだけれど、私が読みたいと思った頃にはすでに絶版となって久しかった。 Amazonで古本を探してみても…

『ボルヘス怪奇譚集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス / アドルフォ・ビオイ=カサーレス

[Cuentos Breves y Extraordinarios] あらゆる人食い鬼がセイロンに棲み、彼らの存在すべてがただ一個のレモンのなかにはいっていることは、よく知られている。盲人がそのレモンを切り刻むと、人食い鬼は残らず死ぬ。 ー『インドの好古家』第1巻(1872)より…

『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』 カズオ・イシグロ

[Nocturnes] これも、『わたしたちが孤児だったころ』とともに読み返した一冊。 イシグロ唯一の短編集で、注目すべきは「短編集を書くと決意して書かれた」作品ということ。フィッツジェラルドのように金を稼ぐため書き散らしたわけでもなければ(既にブッカ…

『奪われた家 / 天国の扉 動物寓話集』 フリオ・コルタサル

[Bestiario] 大阪で大きい地震がありました。本ブログは基本的に自動更新なので反応が遅く恐縮ですが、関西の皆様ご無事でしたでしょうか。 雨が続き心も晴れないですね……安全第一、気をつけてお過ごし下さい。 今日は、大好きなコルタサルの新刊が光文社文…

The Refugees / Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった。 ピューリッツァー賞…

『口のなかの小鳥たち』 サマンタ・シュウェブリン

[Pájaros en la boca] 最近ラテアメ文学の再読ばかりしていて気がついた。邦訳されているイスパノアメリカ文学は圧倒的に男性作家ばかりだなと。 もちろんラテンアメリカには男性作家しかいないのかというとそんなわけはなく、大学の頃授業で学んだ作品は男…

『アメリカにいる、きみ』 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

[Collected Stories] 著書が全て日本語に翻訳されている大人気作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。 こちらは2007年に出版されているので、邦訳第1作目のはず。 アディーチェの翻訳をすべて手がけているくぼたのぞみさんが、こちらも翻訳している。その…

「シルヴィ」 ジェラール・ド・ネルヴァル(火の娘たち)

[Sylvie] 「シルヴィ」を読んだ。 プルーストが『失われた時を求めて』を書くきっかけになった小説とどこかで読んで以来、読みたかったのだ。 *2020-04-19 岩波文庫からも発売に。 火の娘たち (岩波文庫) 作者:ネルヴァル 発売日: 2020/03/17 メディア: 文庫…

『通話』 ロベルト・ボラーニョ

[Llamadas Telefónicas] ボラーニョの短編集『通話』を読んだ。 昔売っていたものと若干表紙が変わったなと思ったら、改訳バージョンらしい。 2009年に出たものが改訳されて2014年に再発売なんて、売れに売れているのだろうな。収録されているのは全部で14作…

『島とクジラと女をめぐる断片』 アントニオ・タブッキ

[Donna di Porto Pim] 真夏日が続いている。 こんなに暑くなると、なんだかタブッキが読みたくなりますねえ。 イタリアの作家と言えばタブッキとカルヴィーノが頭に浮かぶのだけれど、タブッキは夏、カルヴィーノは冬を連想させる作家(個人的に)なのが面白…

『燃える平原』 フアン・ルルフォ

[El Llano en Llamas] とても久しぶりに『燃える平原』を再読した。日本語で読むのは初めて。 絶版になっている水声社の単行本を買おうかなどうしようかな、と考えていた時に岩波文庫として出版されるというニュースを聞いたので5月まで楽しみに待っていたの…

『エレンディラ』 ガブリエル・ガルシア=マルケス

[Eréndira] 私にとって初めてのガルシア=マルケスは『百年の孤独』で、その一冊で「ガルシア=マルケスの沼」に真っ逆さまに落ちていってしまったのだけれど、もしこれからガルシア=マルケスを読む友人がいるとすれば『エレンディラ』を最初に読むように薦…

『アウラ・純な魂』 カルロス・フエンテス

[Aura y otros cuentos] 「これ、知っている」というのが、フエンテスを初めて読んだ時の感想だった。ちなみに初めて読んだのはラテンアメリカ文学の授業で、「女王人形」と「純な魂」だったと思う。 フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫) 作…

『すべての火は火』 フリオ・コルタサル

[Todos los Fuegos el Fuego] 『すべての火は火』を初めて知ったのは、ティーンエイジャーだった頃。 国語(Literature)の先生とコロンビア出身の友人と話しているときに「今読んでいる本」の話になって、友人が「All Fires the Fireというコルタサルの本を…

Far Eastern Tales / サマセット・モーム

極東とは、東アジア、東北アジアと東南アジアの一部を指す言葉*1。 ということで、この夏の旅行のお供はサマセット・モームのFar Eastern Talesだった。Vintage Classicsの表紙もどことなくオリエンタル。 Far Eastern Tales 作者: W. Somerset Maugham 出版…