トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2020年 国際ブッカー賞受賞作はThe Discomfort of Evening

更新が滞ってしまいました。みなさまはお元気ですか? わたしはとっても元気! 今年は仕事と育児に加えて、勉強も(コロナの影響で仕事に余裕が出るんじゃないかと踏んでいた……勘違いだった)と、頭と体をフル回転させています。なかなかブログ(やInstagram…

ギラー賞 歴代の受賞作品

もともと別の記事にくっつけていたのですが、自分が探しにくかったので、こちらに。歴代の受賞作品は以下のとおり。意外と日本語に訳されていない。 歴代の受賞作品(1994年〜2019年) 2019年: Reproduction / Ian Williams(イアン・ウィリアムズ) 2018年:…

『フィフティ・ピープル』チョン・セラン: とにかく面白くて!

[피프티 피플] もう本当に面白くて面白くて! どのくらい面白かったかというと、読み終わったあとすぐにチョン・セランの日本語訳が出ている作品すべて購入して、かたっぱしから読んでしまったくらい。 フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり1) 作者…

タカラジェンヌと読書

コロナウイルスの影響で、観劇できなくなって久しい。春から夏にかけて観る予定だった演劇、ミュージカル、オペラなどなどがすべて払い戻しされた上に、予定していた散財(主に靴とバッグ)を取りやめたので、なんとカードの残高がマイナスになっていた。マ…

トーキョーブックガールの読みたいリスト 2020年の新刊

1年のはじめ、1月に更新しようと思っていた読みたい「今年の新刊」リスト(世界文学・翻訳文学)。今年はこんなに遅くなってしまったけれど、better late than neverだと思って投稿してみる。 去年のものは、こちら。 www.tokyobookgirl.com 別のジャンルの…

Girl, Woman, Other / Bernardine Evaristo: 2019年を代表する1冊

最初の数ページを読んだだけで、はっと驚き、早くもこの小説のとりこになる。 Amma is walking along the promenade of the waterway that bisects her city, a few early morning barges cruise slowly by to her left is the nautical-themed footbridge w…

My Friend Anna / Rachel DeLoache Williams: アンナ・デルビー、「ソーホーのペテン師」と嘘まみれの人生

ノンフィクションなのだけれど、いろいろな小説を思い起こさせる1冊だったのでブログに投稿しておく。 2017年に逮捕され、2019年に裁判が行われた、「ソーホーのペテン師」アンナ・ソロキン(アンナ・デルビー)について書かれた1冊。 My Friend Anna: The …

『俺の歯の話』バレリア・ルイセリ: おはなし なあに?

[The Story of My Teeth / La Historia de Mis Dientes] てっきり最初に英語が出版されたのだと思っていた、『俺の歯の話』。スペイン語だった。 作者のバレリア・ルイセリはメキシコ人だが父の仕事(NGOに勤務したのち外交官になる)の影響で、米国、コスタ…

Weather / ジェニー・オフィル: Twitterのような

2019年の驚きといえば、「友人(それも複数名)がマッチングアプリで出会った人と結婚した」ことだろう。 マッチングアプリ!!! 未知の世界すぎて、結婚に至るまでの道のりを根掘り葉掘り聞いてしまった。友人いわく、「今や出会いを求めている人はマッチ…

Spring / アリ・スミス: 悲しみを和らげてくれた1冊

(春) アリ・スミスのSeasonal Quartetも、ついに3冊目。残すは今夏出版予定のSummerのみ。ここまで読み進めて、ようやくアリ・スミスの素晴らしさを実感した! すごい、すごい、すごい。なんて面白いの。 Spring (Seasonal Quartet) 作者: Ali Smith 出版…

Book Haul: 4月に電子書籍のセールで購入した10冊(世界文学)

緊急事態宣言が延長され、外出自粛体制が続く今日この頃、みなさまは毎日どうお過ごしでしょうか。我が家のquarantine lifeはしばらく続く予定だけれど、ようやく明るく暖かくなってきたことがせめてもの救い。気分が滅入る時は太陽を浴びて、ビタミンDを摂…

Celestial Bodies / Jokha Alharthi: 変わりゆくオマーンの女性たち、男性たち

[سيدات القمر] 2019年のブッカー国際賞を受賞した、オマーン人作家Jokha AlharthiによるCelestial Bodies(Marilyn Booth訳)。平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」という言葉をなんとなく思い出してしまう題名ではないですか。 原題はSayyidat al-q…

『ダイヤモンド広場』マルセー・ルドゥレダ: ガルシア=マルケスいわく「内戦後にスペインで出版された最も美しい小説」

[La plaça del Diamant] この文庫の帯にも使用されている、ガルシア=マルケスによる賛美の言葉を使わずに、この小説の素晴らしさを伝えたいけれど、「内戦後にスペインで出版された最も美しい小説」、これ以上にぴったりとくる言葉はないとも感じる。 祖母…

2020年 Women's Prize for Fiction ショートリスト

Women's Prize for Fictionのショートリストが発表されたものの、受賞作品の発表は6月から9月へと延期に(新型コロナウイルスの影響)。国際ブッカー賞の発表も遅れ、書籍関連のイベントはキャンセルも相次いでいるし、これからどうなるのか……。 本屋さんも…

『密やかな結晶』小川洋子

(The Memory Police) 今年は日本文学の「当たり年」だと主張する、英語圏の記事やInstagram/Twitter投稿を多く見かけた2020年初頭。あまり話題にならなかった(らしい)2019年とは打って変わって、今年は初めて英語に翻訳される日本人作家の作品も多く、と…

Machines Like Me / イアン・マキューアン: ぼくみたいな機械と、あなたたちみたいな人間と

2019年の読みたいリストに入れていた、イアン・マキューアンの新作を読んだ。 SF風味ではあるものの恋愛に焦点を当てた作品だ。 Machines Like Me 作者: Ian McEwan 出版社/メーカー: Jonathan Cape 発売日: 2019/04/18 メディア: ペーパーバック この商品を…

2020年 国際ブッカー賞ショートリスト

[Update: 2020-04-21] 新型コロナウイルスの影響により、国際ブッカー賞*1の受賞作品発表が、当初予定されていた5月から8月26日まで延期となりました。 ちなみにWomen's Prize for Fictionの受賞作発表も9月に延期が決定。残念ですが、公式Twitterアカウント…

2020年 Women's Prize for Fiction ロングリスト

[Update: 2020-04-21] 新型コロナウイルスの影響により、Women's Prize for Fictionの受賞作品発表が、6月から9月に延期となりました。 ちなみに国際ブッカー賞の受賞作発表も5月から夏に延期が決定。残念ですが、ブッカー賞公式Twitterアカウントの言う通り…

With the Beatles / 村上春樹: 翻訳文学の面白さ

(ウィズ・ザ・ビートルズ) 子供の頃から翻訳小説を読むのが好きだった。 ちょっとした言い回しや文章に、翻訳される前のその国の言葉が透けて見える気がして、その独特の「感じ」にいつもわくわくした。 今でもよく覚えているのは、スペイン語から日本語に…

2020年 国際ブッカー賞ロングリスト

2月27日がやってきました。 今年国際ブッカー賞*1のロングリストにノミネートされたのは、この13作品。 審査員には、2018年ブッカー国際賞を受賞したオルガ・トカルチュクの『逃亡派』の翻訳者ジェニファー・クロフト(Jennifer Croft)や、『俺の歯の話』の…

The Testaments / マーガレット・アトウッド: 東洋のギレアデで『侍女の物語』の続編を読む

2019年の目玉(個人的に)、ようやく読むことができた。 読書がままならない日々が続いたので、砂漠で水を得てごくごくと飲み干すように、活字をむさぼった。 ああ幸せ。 *No Spoilers/ネタバレはありません 30年を経て発表された続編 ギレアデの女性たちの…

2019年のWomen's Prize、ピューリッツァー賞、ブッカー賞、ギラー賞、全米図書賞

全然ブログ投稿できないまま2019年が終わってしまったので、簡単にまとめ。 2019年 Women's Prize for Fiction An American Marriage / Tayari Jones 2019年 ピューリッツァー賞 『オーバーストーリー』/ リチャード・パワーズ 2019年 ブッカー賞 The Testam…

2019年と2020年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)

みなさま、こんにちは! とてもお久しぶりになってしまいましたが、お元気ですか? 更新が滞っていたにもかかわらず、いつもアクセスしていただき本当にありがとうございます♡ やっぱりリーディングチャレンジだけでも書いておこうと思って、かなり久々に(…

『チリ夜想曲』 ロベルト・ボラーニョ

[Nocturno de Chile] 白水社から出ているボラーニョ・コレクション最後の一冊。 そのタイトル通り、チリという国、そして語り手のセバスティアン=ウルティア=ラクロワというチリ人神父にとっての「夜」、死にゆく心中を描き出した物語だ。 チリ夜想曲 (ボ…

『快傑ゾロ』 ジョンストン・マッカレー

[The Mark of Zorro] 単純明快なストーリーに浸りたくて、久しぶりに再読。 二年前ほどにイサベル・アジェンデによる怪傑ゾロ・二次創作『ゾロ 伝説の始まり』を読んだ時から、読み返したいと思っていたのだった。 読んだのは創元推理文庫の井上一夫訳バージ…

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…

『狭き門』 アンドレ・ジッド

[La porte étroite] 力を尽して狭き門より入れ。 『ルカ伝福音書』第一三章二四節 子供の頃は祖母や母の影響で、フランス文学を読むことがすごく多かった。 特に『狭き門』は二人のお気に入りだったと記憶している。 光文社古典新訳文庫で出ているのを発見し…

2019年 ギラー賞ショートリスト

ギラー賞ロングリストについて書こうと思っていたら、もうショートリスト発表の時期になっていた。 あっという間に10月。 相変わらず毎日があっという間で、積ん読が一向に減らないので今年はあまり本を買っていません。 物欲の秋だというのにお買い物すらあ…

『10月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ

[The October Country] いつも10月に再読。 10月はたそがれの国 (創元SF文庫) 作者: レイ・ブラッドベリ,宇野利泰 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1965/12/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 147回 この商品を含むブログ (87件) を見る ブラッド…

『ブルーは熱い色』ジュリー・マロ

[Le bleu est une couleur chaude] わたし、レア・セドゥが大好きなんです。 『クレーヴの奥方』の現代版として撮影された映画『美しいひと』を観て、その魅力のとりこになってしまいました。 ルイ・ガレルのファンなので観ることにした映画なのに、気がつい…