トーキョーブックガール

海外文学・世界文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

[The Secret Life of Walter Mitty and Other Stories] 完全にジャケ買い。サーバー自身によるイラストがかわいい。表題作が『LIFE!』として数年前に映画化されていた短編集だが、この映画は観ていない。 虹をつかむ男 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジェイムズ・…

『狭き門』 アンドレ・ジッド

[La porte étroite] 力を尽して狭き門より入れ。 『ルカ伝福音書』第一三章二四節 子供の頃は祖母や母の影響で、フランス文学を読むことがすごく多かった。 特に『狭き門』は二人のお気に入りだったと記憶している。 光文社古典新訳文庫で出ているのを発見し…

2019年 ギラー賞ショートリスト

ギラー賞ロングリストについて書こうと思っていたら、もうショートリスト発表の時期になっていた。 あっという間に10月。 相変わらず毎日があっという間で、積ん読が一向に減らないので今年はあまり本を買っていません。 物欲の秋だというのにお買い物すらあ…

『十月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ

[The October Country] いつも10月に再読。 10月はたそがれの国 (創元SF文庫) 作者: レイ・ブラッドベリ,宇野利泰 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1965/12/24 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 147回 この商品を含むブログ (87件) を見る ブラッド…

『ブルーは熱い色』ジュリー・マロ

[Le bleu est une couleur chaude] わたし、レア・セドゥが大好きなんです。 『クレーヴの奥方』の現代版として撮影された映画『美しいひと』を観て、その魅力のとりこになってしまいました。 ルイ・ガレルのファンなので観ることにした映画なのに、気がつい…

ブログで紹介した洋書の日本語訳 出版情報

ブログで紹介した洋書(ここでは英語とスペイン語)の日本語訳をまとめました。 2018年のものは2018年と2019年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)にまとめていたのですが、日本語訳を探してこのブログを訪問してくださる方が増えているようなの…

『わたしの修業時代』 コレット

[Mes Apprentissages] 二十歳のころには、法外な贈り物も、王侯のごとく平然とうけとってしまうものなのだ。 表紙からして素敵なデザインで見とれてしまう、コレットの回想録。 わたしの修業時代 (ちくま文庫) 作者: シドニー=ガブリエルコレット,Sidonie‐Ga…

2019年 ブッカー賞ショートリスト

えっもうそんな時期!? と、驚いてしまう。 今年もあっという間にブッカー賞のショートリストの発表日がやってきた。 ロングリストはこちらから。 www.tokyobookgirl.com ロングリストにノミネートされた13作品のうち、ショートリストに残ったのはこちら。 …

『ディファレンス・エンジン』ウィリアム・ギブスン & ブルース・スターリング

[The Difference Engine] 黒丸尚さん。 SFに詳しいわけではない私でも、漢字にルビをふるという独特のやり方や個性的な文体で、SF翻訳の歴史に名を残した翻訳者さんということは存じ上げている。 去年スチームパンクやサイバーパンクをわりと読んだのだけれ…

『オルノーコ / 美しい浮気女』 アフラ・ペイン

[Oroonoko] ガーディアンの1000冊("State of the Nation"部門)に選ばれている『オルノーコ』を読んだ。『美しい浮気女』と同時収録されている岩波文庫で。 1988年出版でもう絶版になっているのだけれど、数年前に神保町から連れて帰ったのだった。積ん読の…

『第三の男』グレアム・グリーン

[The Third Man] 例えば飛行機や新幹線の移動、カフェでの時間つぶし、あるいは予定のない土曜日。 ぱっと数時間で読了できて、ストーリーも面白く、かつ文学的な小説が読みたいと思う日がある。変に感情移入してしまい泣いたり笑ったりしたくない、ただただ…

『カラーパープル』 アリス・ウォーカー

[The Color Purple] 1985年にスピルバーグによって映画化された『カラーパープル』は2005年ブロードウェイミュージカルにもなった。そしてなんと、このミュージカル版を映画化するというニュースが昨年末に発表された。 プロデューサーは1985年の映画を手が…

2019年 ブッカー賞ロングリスト

【Update: 2019-09-07】 9月に発表となったショートリストはこちら。 www.tokyobookgirl.com ついにやってきた7月24日。今年のブッカー賞ロングリストが発表された。 https://thebookerprizes.com/booker-prize/news/2019-booker-prize-longlist-announced …

『グルブ消息不明』エデゥアルド・メンドサ: すごく奇妙で、夏のバルセロナを感じる一冊

[Sin noticias de Gurb] この本を読むのにおすすめなのは ・うだるように暑い夏 ・とにかく何も考えたくない日 ・一人でゆるりと過ごしながら、時折えへえへと笑いたい時 です。 グルブ消息不明 (はじめて出逢う世界のおはなし―スペイン編) 作者: エドゥアル…

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー

[Picnic at Hanging Rock] なんと、50年以上前にオーストラリアで出版された(1967年)この小説が日本語訳されるのはこれが初めてとのこと。すごくいい小説なのにどうして今まで翻訳されなかったのだろうという気もするけれど、何はともあれよかった。 ピク…

The Dialogue of Two Snails / フェデリコ・ガルシーア・ロルカ

(二匹のかたつむりの会話) なぜわざわざ英語で……という感じがしなくもないが、以前ブログに書いた文庫サイズのPenguin Modernシリーズからロルカの作品集が出ていたので衝動買いしてしまった。 衝動買いしたくもなるよ、この値段なら(イギリスでは1ポンド…

『シェリの最後』 コレット

[La Fin de Chéri] 以前『シェリ』を読んだらとても面白かったので、次々にコレットの作品を購入してしまった。『シェリの最後』はタイトル通り、『シェリ』の続編。 結婚してから6年後、30歳を迎えようとするシェリが主人公だ。 シェリの最後 (岩波文庫) 作…

『ダロウェイ夫人』 ヴァージニア・ウルフ

[Mrs Dalloway] どんな本も、出会うタイミングというものがあるのだなと最近とみに感じる。 昨年『100分で名著』で、『赤毛のアン』を紹介していた茂木健一郎さんの話を聞いていてそれを実感したのだった。茂木さんは、11歳の時に図書館で『赤毛のアン』と出…

『カルメン・ドッグ』 キャロル・エムシュウィラー: SF+フェミニズム+オペラ+犬!

[Carmen Dog] ネビュラ賞を二度受賞し、フェミニズムSFの書き手として知られたキャロル・エムシュウィラーが亡くなった(2019年2月2日)。 こちらは、表紙に描かれた犬(カルメンよろしく、真っ赤な薔薇を口にくわえた白いワンさん)に惹かれて購入した一冊…

The Diamond as Big as the Ritz / F・スコット・フィッツジェラルド

(リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド) 宝塚歌劇団・期待の98期の一人、瑠風輝さんのバウ主演が決定したのが今年の3月。演目はフィッツジェラルド原作の『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』ということでちょっとびっくりした。 フィッツジ…

Dear Ijeawele, or A Feminist Manifesto in Fifteen Suggestions / チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

(フェミニスト・マニフェスト 15の提案) アディーチェといえば、昨年の10月9日にPEN ピンター賞を受け取ったばかり。 Chimamanda Ngozi Adichie accepts PEN Pinter prize with call to speak out | Books | The Guardian 丸の内の丸善でペーパーバックを…

Severance / Ling Ma(リン・マー): アポカリプス的オフィス・ノベル

中国系アメリカ人作家リン・マーのデビュー作Severanceを読んだ。 2018年に出版されるやいなやKirkus Review Prize*1を受賞し、2019年のPENヘミングウェイ賞のショートリストやNYPLのYoung Lions Fiction Awardにノミネートされた話題作。 Severance: A Nove…

2019年のブッカー国際賞はJokha AlharthiのCelestial Bodies / Best Translated Book AwardのShortlistのこと

*この記事は、「ブッカー国際賞」に関するものです。 2019年の「ブッカー賞」ロングリストは、こちらから。 www.tokyobookgirl.com ブッカー国際賞 イギリスの5月21日に発表となったブッカー国際賞、今年受賞したのはJokha AlharthiによるCelestial Bodiesだ…

表紙がネコ科大型動物の小説にハズレはない説(海外文学)

本をジャケ買いしてしまいがちだという皆様、ツボはなんですか? 私は表紙にトラやヒョウといったネコ科の大きな動物が描いてある本が好きで、見かけたらついついコレクションに加えてしまうという癖がある。一生のほとんどを犬と暮らしているし、どちらかと…

『ヴェネツィアに死す』トーマス・マン: 美しいものを見ることには価値がある

[Der Tod in Venedig] 「美しいものを見つめることは、魂に作用する」と言ったのはミケランジェロ。 「美しいものを見ることには価値がある」と言ったのは上田久美子先生(宝塚歌劇団)。 『ヴェネツィアに死す』(もしくは『ヴェニスに死す』)というタイト…

On The Come Up / アンジー・トーマス: 『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』作者による待望の第二作目

去年はYAをたくさん読んだけれど、ダントツで面白かったのがアメリカにおける黒人差別とともにゲットーで生まれ育った少女の精神的成長を描いた『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』だった。 ともすれば重くなりがちなトピックスを、90年代のブラックカルチャーやティ…

『黄昏の彼女たち』サラ・ウォーターズ

[The Paying Guests] なんだかとっても久しぶりの恋愛小説。 いまだにThe Night Watchを積んでいるというのに、比較的新しいこちらの作品を手に取ってしまった。 黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫) 作者: サラ・ウォーターズ,中村有希 出版社/メーカー: …

Women's Prize for Fiction ショートリスト

2019年のWomen's Prize for Fictionショートリストが発表された(イギリス、4月29日)。まだまだと思っていても、あっという間に時が経ってしまうものですね。 Women's Prize for Fictionは何度も名称が変わっていてちょっとややこしいので(オレンジ賞→女性…

『牝猫』コレット

[La Chatte] 学生の頃『青い麦』を読んでもピンとこなかったのに、『シェリ』に開眼して以来次々に読んでいるコレット。 『牝猫』は五月頃から八月までの一夏の物語で、24歳のアランと19歳のカミーユの儚い新婚生活をアランの視点から描いた作品である。 牝…

『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』ジョイス・キャロル・オーツ

[The Corn Maiden and Other Nightmares] Hazards of Time Travelを読んでこちらも読みたくなり、去年出版された河出文庫版を購入。 オーツの短編の日本語訳は、アンソロジーにちょろっと入っている程度だという認識だったので、こうしてまとまって本になっ…