トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2022年 国際ブッカー賞ロングリスト

 あっという間に3月。国際ブッカー賞のロングリスト(Women's Prize for Fictionも〜)も発表されました。

thebookerprizes.com

 ロングリスト入りしたのは13冊。今年はアジア圏の小説が5作品とかなり増えているのが特徴的(去年は残雪のみ、一昨年は小川洋子のみ)。うち2作品は韓国文学で、すでに日本語訳が出版されている韓国文学『大都会の愛し方』もノミネートされている。

 あとは、2017年に国際ブッカー賞を受賞したイスラエルのデイヴィッド・グロスマンや、2018年に受賞したポーランドのオルガ・トカルチュクの作品も。どちらも、もっと邦訳してほしい……。

 

 

Paradais / フェルナンダ・メルチョール(Sophie Hughes訳)スペイン語

Paradais

Paradais

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 2020年にHurricane Seasonがロングリスト入りしていたメキシコ出身の作家、フェルナンダ・メルチョール。訳者も同じくSophie Hughes。孤独でぽっちゃり体型、ポルノ中毒のFrancoと、威圧的な母や麻薬を中心に回る村から逃げ出したいと考えているPoloという2人のティーンエイジャーが企てる無謀な計画とは。

 英訳は、まだ日本のAmazonでは購入できないけれど、原書はKindleにもあります。

Páradais (Spanish Edition)

Páradais (Spanish Edition)

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『ヘヴン』Heaven / 川上未映子(Samuel Bett & David Boyd訳)日本語

Heaven

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 『夏物語』も訳した2人の翻訳者による英訳。昨年の夏、川上さんと3人で登壇していたピッツバーグ国際文芸フェスティバルの作家&翻訳家セッション(ちょうど本作が英訳出版されたタイミングだった)も、とても面白かった。『ヘヴン』は出版当初読んで以来読み返していなくて、でもずっと手元に置いているので久しぶりに開いてみたいと思う。あの頃読んだときも辛かったけれど、その何百倍も読み進めるのが辛いはずだ、母となった今は。でもこの世界を生きている子どもが確かに存在していて、大人になった私にできることは小説を通してでも状況を理解することなのだと強く思う。

 

『大都会の愛し方』Love in the Big City / パク・サンヨン(Anton Hur訳)韓国語

 日本語訳が2020年に出版されている作品。訳者はオ・ヨンアさん。

 

Happy Stories, Mostly / Norman Erikson Pasaribu(Tiffany Tsao訳)インドネシア語

 インドネシア人作家による作品。アジア圏の作品を多く出版しているTilted Axis Press(ハン・ガンの『菜食主義者』を英訳したデボラ・スミスが2015年に創設)より。

 

Elena Knows / Claudia Piñeiro(Frances Riddle訳)スペイン語

 面白いラテンアメリカ文学を多く英訳しているCharco Pressより、アルゼンチン人作家の作品。かなり色々な国の文学賞を受賞している。

 

The Book of Mother / Violaine Huisman(Leslie Camhi訳)フランス語

 愛煙家でスピード狂でカリスマ性にあふれる「ママン」が大好きなヴィオレーヌ(Violaine)。ところが、ママンは3度目の離婚後、鬱状態に陥り入院してしまう。ヴィオレーヌは退院を待ち侘びるが、戻ってきたママンは感情をコントロールできない恐ろしい人物と化していた。

 

More Than I Love My Life / デイヴィッド・グロスマン(Jessica Cohen訳)ヘブライ語

 

Phenotypes / Paulo Scott(Daniel Hahn訳)ポルトガル語

Phenotypes

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 ブラジル人作家による作品。

 

A New Name: Septology VI-VII / John Fosse(Damion Searles訳)ノルウェー語

A New Name: Septology VI-VII

A New Name: Septology VI-VII

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 こちらは、2020年のロングリストにノミネートされていたI-IIの続編。

 ノルウェーの南西に位置する海沿いの町で暮らす画家のAsleは、歳を重ねやもめとなり、自身の人生を振り返る。彼の数少ない友人Beyerはベルゲンに住んでいるのだが、そこにはもう一人のAsleが暮らしていた。こちらのAsleも画家で、孤独を抱え酒に溺れている。ドッペルゲンガーともいうべき二人のAsleを通して人生、死、愛、光と影、希望と絶望が描き出される。

 

After the Sun / Jonas Eika(Sherilyn Hellberg)デンマーク語

After the Sun

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Tomb of Sand / Geetanjali Shree(Daisy Rockwell)ヒンドゥー語

Tomb of Sand

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 こちらもTilted Axis Pressより出版された、インド人作家の作品。作者はマニプリ出身。739ページと分厚く、国際ブッカー賞のホームページの写真でも、下のトカルチュクの作品とともに異彩を放っている。近年どの国でも200ページに満たない作品が多くなってきていて(これはソーシャルメディアによる人類の集中力低下とも関係があるのだろうか)、国際ブッカー賞もほとんどが100〜200ページなので、なんだか目立つ。

 

The Book of Jacob / オルガ・トカルチュク(Jennifer Croft訳)ポーランド語

The Books of Jacob

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 トカルチュクのノミネートは3度目(2018年には『逃亡派』のJennifer Croftによる英訳が受賞)。この本、なんと991ページ。すごいボリューム! 訳者のJennifer Croftはエッセイも出版していて、こちらも気になる。

Homesick

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Cursed Bunny / Bora Chung(Anton Hur訳)韓国語

Cursed Bunny

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 こちらも訳者はAnton Hurさん。邦訳は出版されていないのかな? 予定はあるのかな? 作家のBora Chungは東欧文学を韓国語に翻訳もしているとのこと。

 

トーキョーブックガールの読みたいリスト

 『大都会の愛し方』(は日本語訳)とElena Knows、どちらも積んでいるのでショートリスト発表までに読みたい。そして今月は #koreanmarch にかこつけて、韓国の作品を読んでいるので、Cursed Bunnyもリストに加えたい。これはInstagramで本当によく見かける(絶賛されている)。それからインドネシアの作品も気になるんだけど、Kinidle化されていないので無料サンプルを読めないのが残念。The Book of Motherも気になる。母娘文学。2020年のブッカー賞にノミネートされていたアヴニ・ドーシの『母を燃やす』(Burnt Sugar)に似た感じかな?

 毎年のことですが、積読がどんどん増えていってしまいますね。

 

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