トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

世界文学、1万円分

 この夏は仕事のスケジュールをゆったりめに組んでいるのと、いつのまにやらいただきものの図書券とか商品券とかAmazonギフトカードとかがめちゃくちゃ溜まっていた!ので、まとめて本を買う楽しい遊びをしました。「夏っぽい本(表紙が海、タイトルに「夏」が入る)1万円分」、「科学書1万円分」、「図鑑1万円分」などなど。

「世界文学1万円分」は5月に買ったのだけれど、

・単行本コーナー、それも新刊の陳列をさっと見ただけでほぼ終了してしまった

・図書券を使い忘れてカードで買った

ので、今月リベンジしようかなとも思う……「図書券とかで買う」のを目的に本屋さんに来ているのに、手元のスマホで1万円超えないように!と必死になって計算してるとそれに気を取られて結局カードで支払っちゃった、っていうのはやらかしがちなミス。今回も2度やってしまった(ただの散財になっちゃった)。

 

 

🇭🇰『辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿』莫理斯(トレヴァー モリス)著、舩山 むつみ訳

 ミステリーをあまりチェックしていないことが多いので、本屋さんに行って見つけることができてよかったー!な1冊。以下、紹介文より。

19世紀の偉大なる名探偵シャーロック・ホームズがもし、ビクトリア朝時代の英国人ではなく、清末の時代に生きた中国人だったとしたら……。

そして、彼が奇妙な事件を次々に解決したのが大英帝国の首都ロンドンではなく、東の果ての植民地香港だったら……。

ホームズとワトソンを彼らとまったく同じ時代に生きた中国人、福邇(フー・アル)と華笙(ホア・ション)とし、物語の舞台を香港にした極上のパスティーシュ作品。正典ホームズ・シリーズからの換骨奪胎ぶりが絶妙だ。

1880年代の香港の様子が生き生きと描かれ、ミステリーであると同時に、歴史小説としても読み応え十分。

 めちゃくちゃ面白そう!! しかも作者のトレヴァー・モリスさんってどんな人?と思ってググったら、文藝春秋さんのYouTubeが出てきて、なんと「法律学の博士、映像プロデューサーでもある多才な人物。そして、女優で歌手のカレン・モク(莫文蔚)さん実兄としても知られる」とのこと。えーびっくり! わたし、カレン・モクさん大好き!! 読むのが楽しみ。

『辮髪のシャーロック・ホームズ』著者・莫理斯(トレヴァー・モリス)さんが自ら語る、作品の魅力と創作秘話。 - YouTube

 

🇺🇸『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短編集』シルヴィア・プラス著、柴田元幸訳

 "Mary Ventura and the Ninth Kingdom"は、2019年にFaber StoriesというFaber & Faber社の短編コレクションで出版されていて積んでいたのを、柴田元幸さんの日本語訳が出ると知り、慌てて読んだ(感想はInstagramにて↓)。

 続いて日本語訳も。とてもとてもよかった。擦りむいたばかりの肌みたいなヒリヒリとした少女〜若い女性の刹那的な気持ちが伝わってくる訳も素晴らしかった。

 
 
 
 
 
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🇺🇸『すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集』ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳

 購入直後に母(エリザベス・ストラウトやグレイス・ペイリーをこよなく愛する)から電話があり、「ルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』読んだ! すっっっごくよかった!」とのことだった。そうだった! ルシア・ベルリンこそ我が母が耽溺するであろう作家なのに、早くおすすめすべきだった&貸すべきだった(離れて暮らしているけれど、頻繁に本をおすすめし合い、郵送で貸し借りしているんです)と後悔しつつ、こちらをササっと読んですぐさま送りました。夏の間にじっくり読みたいから自分の分、買い直さなければ。

『A Manual for Cleaning Women』という短編集を2つに分けて出版、となると先に出版された『掃除婦のための手引き書』の方が面白かったりするんじゃ!?と邪推してしまうのだが、まったくそんなことはないのが驚き。なによりこの2冊の佇まいがなんだか少しずつ異なっていて、どういうふうに分けたんだろうと気になってしまった(訳者の岸本さんや編集者さんがすでにお話されているかも?)。

「エル・ティム」で語り手の教師(手元にないから名前がわからない……)が最後の最後にありのままの自分で生徒と対話する様子、剥き出しの気持ちを差し出す様子に、エル・ティムと同じように心を動かされる。これがどの物語にも共通するルシア・ベルリンという書き手らしさで、心底いいなと思うポイントなのだ。

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 ここで、新刊コーナーから離れて単行本の方へ。

🇬🇧『ある人生の門出』アニータ・ブルックナー著、小野寺健訳

 これは学生のとき、図書館で誰かを待っているときだか勉強の合間にだか、近くにあったのを開いて読んで、おもしろーいと思いつつそれきりになってしまっていた本! 40ページほど読んだだろうか。多分、そのあと卒論書き始めたりして忙しくなって、それきりに……。なんだかふっと思い出して、日本語訳があるはずだと思って探したらありました。

 ところで学生のときに読んで感銘を受け、付箋を貼りまくった本を今開いてみると、なぜそこを覚えていたいと思ったのか、なぜいいなと思ったのかがまったく思い出せないのが不思議。細胞は数年で入れ替わるから別の人間になったようなものだっていうのはさもありなんだと感じてしまう。

 

 残り600円であることに気づき、文庫へ移動。

🇪🇸『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』会田由訳

 アニータ・ブルックナーを見て学生時代に思いを馳せていたからか、文庫コーナーでも学生時代に格闘した本にばかり目が行ってしまい、ラサリーリョを購入。16世紀のスペインのピカレスク小説(著者不明)。『ある人生の門出』とは180度違い、こちらは当時何がいいのかまったくわからなかった作品。今読んだら、すごく面白いのでは……という予感がして。

 

 ブログから随分遠ざかっていますが、今月は何回か更新できたらいいな。みなさまもtake care and happy reading!