トーキョーブックガール

海外文学・世界文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

これ読みたいな 2019年の新刊(海外文学)

みなさま、あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします。

早速ですが、今年の新刊で読みたいなと考えている作品をピックアップ。個人的なTBR(to be read)リストです。発売日順。

 

洋書(英語)

Unmarriageable / Soniah Kamal

Unmarriageable (English Edition)

Unmarriageable (English Edition)

 

現代のパキスタンを舞台とした『高慢と偏見』という宣伝文句がirresistibleすぎる。とあるゴシップのせいで女性としての価値が著しく下がり、結婚の見込みがなくなってしまったBinat家の姉妹。どうにか娘たちを片付けようとやっきになる母親がどうにか独身男性を見つけてくるのだが……。

 

Black Leopard, Red Wolf (The Dark Star Trilogy Book 1) / マーロン・ジェームズ 

Black Leopard, Red Wolf (The Dark Star Trilogy Book 1) (English Edition)

Black Leopard, Red Wolf (The Dark Star Trilogy Book 1) (English Edition)

 

ネコ科の大型動物が表紙になった小説を見かけたら必ず買うという呪いがかけられている私(これについては別途書きたい)としては、放っておけない一冊。 

2015年に著書A Brief History of Seven Killingsがブッカー賞を受賞したジャマイカ出身の作家マーロン・ジェームズによるファンタジー小説で、トリロジー(The Dark Star Trilogy)のBook 1とのこと! 前作が政治的・歴史的フィクション(ボブ・マーリーの暗殺に関する物語)だっただけに、内容も想像がつかず、本当に楽しみ。

ちなみにA Brief History of Seven Killingsも、今年日本語訳が出版されるようす。

 

Bangkok Wakes to Rain / Pitchaya Sudbanthad 

BANGKOK WAKES TO RAIN MR-EXP

BANGKOK WAKES TO RAIN MR-EXP

 

バンコクを舞台に、幽霊を前にして演奏を続ける音楽家、恋人に刺される学生、女性の整形を手がける医師などが紡ぐ物語。ブルックリンとバンコクを行き来して暮らしているという作家のデビュー作。

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A Wonderful Stroke of Luck / アン・ビーティー 

A Wonderful Stroke of Luck: A Novel

A Wonderful Stroke of Luck: A Novel

 

こちらもネコ科大型動物表紙の法則が発動したけれど、決してそれだけではない、アン・ビーティーの新作(21作目)。

舞台はニューハンプシャーの寄宿学校。Benという生徒は、Pierre LaVerdereというカリスマ性にあふれた教師と出会い、人生の意味について考えるようになる。卒業し、ニューヨークで暮らすようになったBenの生活に再びLaVerdereが現れ……。という少年の苦悩と成長を描いた物語。

  

Lost and Wanted / Nell Freudenberger

Lost and Wanted: A novel (English Edition)

Lost and Wanted: A novel (English Edition)

 

Nell Freudenbergerは2003年にLucky Girlsという短編集でデビューした作家で、そのタイトルにかけて本人が"too young, too pretty, too successful"ともてはやされていたのが記憶に新しい。華やかななかに、様々な国を旅した彼女だからこそ描き出せる旅人の持つ孤独が見え隠れする文体が絶妙だった。

そんな彼女の新作は物理学者を主人公に据えた物語。大学で無二の親友を得た彼女は、その後の人生で恋愛、結婚、子育てなど、様々な局面をお互いに支えあいながら乗り越えてきた。しかし離れて暮らす二人は徐々に連絡を取らないようになり……。

 

The Affair of Falcóns / Melissa Rivero 

The Affairs of the Falcóns: A Novel (English Edition)

The Affairs of the Falcóns: A Novel (English Edition)

 

ジャケ買いしてしまいそうな一冊。1990年代にアメリカ・ニューヨークへ移住したペルー人の物語ということで、現在読んでいるバルガス=リョサの『ラ・カテドラルでの対話』とも照らし合わせて読みたい。 

 

Machines Like Me / イアン・マキューアン 

MACHINES LIKE ME

MACHINES LIKE ME

 

マキューアンの新作が、4月に発売予定。日本では昨年『憂鬱な10ヶ月』が出版されたばかり。こちらもマキューアンらしいピリリとウィットの効いた作品だったので、新作も待ちきれない。

Machines Like Meは「もう一つの」1980年代ロンドンを描いた作品。この世界では、イギリスはフォークランド戦争に負け、マーガレット・サッチャーとトニー・ベンが首相の座をかけて争い、アラン・チューリングが人工知能で世界を一変させていた。

主人公はチャーリーとミランダというカップル。大金を手に入れたチャーリーは、アダムという人工人間を購入する。チャーリーとミランダは一緒にアダムの性格を作り上げるのだが、この完璧な「人間」にミランダは魅了されてしまい……。

SF風味の物語で、これまた一味違うマキューアンが楽しめそう。

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Her Royal Highness (Royals Book 2) / レイチェル・ホーキンズ 

Her Royal Highness (Royals Book 2) (English Edition)

Her Royal Highness (Royals Book 2) (English Edition)

 

YAは世界の移り変わりを、他のどのジャンルよりも早く映し出している。今年もたくさんYAを読みたいと考えているところ。

こちらはRoyals Bookというシリーズの2作目で、LGBTQ(主人公がレズビアンの女の子)もの。アメリカ人のミリーは失恋を経験した後、スコットランドの名門学校に入学する。なんと、ミリーの寮でのルームメイト・フローラはスコットランドの王女だということが判明し……。 

 

Orange World / カレン・ラッセル 

Orange World

Orange World

 

2012年のピューリッツァー賞にノミネートされた『スワンプランディア!』や『レモン畑の吸血鬼』の著者、カレン・ラッセルによる短編集。

奇想天外な話を生み出すことにかけて定評のある作家だけに、期待が膨らむ。前作は「レモン」、今回は「オレンジ」と柑橘類好きにはたまらないタイトル。前作のカバーも素敵だったので、新作の表紙も早く見てみたい。

 

Inland / テア・オブレヒト 

Inland: A Novel (English Edition)

Inland: A Novel (English Edition)

 

タイガーズ・ワイフ』の著者オブレヒトによる新作。舞台は1893年のアリゾナ。メキシコとの国境近くに暮らす女性ノラ(Nora)を描く。 

 

The Testaments / マーガレット・アトウッド 

The Testaments: A Novel

The Testaments: A Novel

 

アトウッドが突如Twitterで『侍女の物語』続編を執筆中であることを明かし、大騒ぎになった昨年末。それがこちら、The Testaments。 

ドラマの『ハンドメイズ・テイル』とは全く違う、アトウッドの頭の中の「その後の世界」を描いているという発言もあり、アトウッドファンとしては今年一番のご褒美!

正直、映画・小説の「続編」はもとより、何十年も経ってから描かれる続編に満足した記憶は一度もないものの、この作家だからこその新しい世界を見せてくれるのではないだろうか。 

 

ちなみに

英語圏の「2019年の出版が楽しみな本リスト*1」を見ていると、サマンタ・シュウェブリンのMouthful of BirdsPájaros en la Boca /『口のなかの小鳥たち 』)が取り上げられているのが目に付く。 

www.penguinrandomhouse.com

英語圏では2017年に出版されたアルゼンチンの「ホラープリンセス」ことマリアナ・エンリケスのThings We Lost in the FireLas Cosas que Perdimos en el Fuego / 『わたしたちが火の中で失くしたもの』)がすこぶる好調だと聞いたことがあるので、その影響かなと思ったり。

Things We Lost in the Fire: Stories

Things We Lost in the Fire: Stories

 

 

洋書(スペイン語)

スペイン語圏の新刊、去年はエンタメ・ロマンス系ばかり読んでいてブログには書かなかったので、今年は色々読んで大いに書きたい。

本のリンクはAmazon España(日本にも配送してくれますよ)。

La Isla de los Consejos / Elvira Navarro

www.amazon.es

スペインの若手女性作家による短編集で、亡くなった母親の幽霊がFacebookアカウントを作成し娘に友達申請する話だとか、パリで消えた恋人たちとか、ホラー風味の「奇妙な物語」ばかりのようす。

Libros: Los libros que llegan en 2019: 15 títulos que esperamos con uñas y dientes

 

La Hija de la Española / Karina Sainz Borgo

www.amazon.es

 ベネズエラのカラカスに暮らす38歳のアデライダ(Adelaida)。母を失ったアデライダは家までも失い、激動の時代を駆け抜ける国で孤独と喪失を経験する。生き続けることについて書かれた物語。

 

ちなみに

スペイン語圏での「2019年の出版が楽しみなリスト」はウェルベック(Serotonin)と村上春樹(『騎士団長殺し』)が軒並みランクインしている印象。ウェルベックの方はさすがにラテン語圏で翻訳が早い。 

 

海外文学の日本語訳

『ミドルマーチ』ジョージ・エリオット 

ミドルマーチ1 (光文社古典翻訳文庫)

ミドルマーチ1 (光文社古典翻訳文庫)

 

ついに光文社古典新訳文庫から『ミドルマーチ』が! 早くも予約してしまった。 

 

『イヴの娘』バルザック

イヴの娘

イヴの娘

 

 嬉しい復刊。

 

『美しく呪われた人たち』F・スコット・フィッツジェラルド

作品社|近刊案内

わー、何年も原書を積ん読にしている間に、ついに日本語訳が出版の運びとなっている。作品社から3月に刊行予定とのこと。さっさと英語版は読んでしまおう。

 

ちなみに

日本語訳だと、バルガス=リョサの新作Cinco Esquinas(2016年)の日本語訳が出るとか! これは読みたいと考えている。

それから翻訳者の原田勝さんがパブロ・ネルーダの少年時代?を描いた小説を翻訳しているとイベントでお話されていたそうで、本当ならこれも楽しみ。少なくともネルーダの詩は今年読み返したい。去年出版されていた『大いなる歌』も読みたい。

 (こちらでした)

夢見る人

夢見る人

  • 作者: パム・ムニョス・ライアン,ピーター・シス,原田勝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/02/28
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

今年も、素敵な本との出会いがいくつもありますように! みなさま、happy reading! 

www.tokyobookgirl.com