トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

アメリカ文学

Circe / マデリーン・ミラー:ギリシャ神話から生まれたフェミニズム小説

When I was born, the name for what I was did not exist. They called me nymph, assuming I would be like my mother and aunts and thousand cousins. 私が生まれた時、私を表す名前は存在していなかった。母やおばや何千人もの従姉妹と同じようになるの…

LESS / アンドリュー・ショーン・グリーア:面白うてやがて悲しき

ヴィエト・タン・ウェンに続き、ピューリッツァー賞関連をもう一つ。アンドリュー・ショーン・グリーアによるLessを読んだ。2018年のピューリッツァー賞フィクション部門受賞作。 The Pulitzer Prizes アンドリュー・ショーン・グリーアは初めて読む作家だが…

The Immortalists / Chloe Benjamin(クロエ・ベンジャミン):自分の死ぬ日が分かったら、どう生きる?

ブックカバーが素敵。 ハードカバー発売当初に購入したのだが、しっとりとしてマットな質感の黒の背景に、カバラの「生命の樹」を思わせるような1本の木が描かれていて、周りにゴールドのキラキラが煌めいていて…。語彙力不足でもどかしいけれど、なんとも素…

The Refugees / Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった…。 ピューリッツァー…

The Expatriates / Janice Y. K. Lee:『ビッグ・リトル・ライズ』作者も絶賛。「香港のアメリカ人」を描いた物語

久しぶりに香港に滞在しています。 香港を舞台にした本を読みたいなと思い、今回選んだのはこちら。 2009年に処女作The Piano Teacherがベストセラーとなったジャニス・Y・K・リーの2作目、The Expatriates。 タイトルの通り、香港に暮らす「外国人」・「駐…

『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス:映画化が決定

[The Bell Jar] It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York. それはおかしな、蒸し暑い夏だった。ローゼンバーグ夫妻の死刑が執行された夏で、私は自分がニューヨークで…

Anything is Possible / エリザベス・ストラウト

発売日: 2017年5月4日 ペーパーバック版の発売を待って読み始めたエリザベス・ストラウトの最新作。 むさぼるように読んでしまった。 舞台は前作『私の名前はルーシー・バートン』の主人公ルーシー・バートンの故郷、イリノイ州のアムギャッシュ(架空の町)…

Red Clocks / Leni Zumas:フェミニストSF小説の勢いが止まらない

発売日: 2018年1月16日(レニ・ズーマス) アメリカ・オレゴン州を舞台としたフェミニスト・ディストピア小説である。 本小説におけるアメリカでは、"Personhood Amendment"が施行されている。これはいわゆる「中絶禁止法」で、受精卵にも生きる権利があると…

『誰がために鐘は鳴る』 アーネスト・ヘミングウェイ

[For Whom the Bell Tolls] 新聞記者、特派員として活躍した若きヘミングウェイはパリで小説を書き始める。 1930年代には人民戦線(Frente Popular)を助けるべくスペイン内戦にも参加し、その経験をもとに長編小説を書き上げた。その内の1つが『誰がために…

ジュンパ・ラヒリについて

なんて美しい人。 『停電の夜に』を読み終えて感動の渦の中で静かに漂っていた私は、その著者写真に衝撃を受けた。 ピュリツァー賞を受賞したインド系アメリカ人作家、ジュンパ・ラヒリである。著書も、最新作(エッセイThe Clothing of Books)を除く全てが…

The Gunners / Rebecca Kauffman:自殺した幼馴染が抱えていた秘密とは

発売日: 2018年3月15日 Rebecca Kauffman(レベッカ・カウフマン)の第2作目、The Gunnersを読んだ。 The Gunners: A Novel 作者: Rebecca Kauffman 出版社/メーカー: Counterpoint 発売日: 2018/03/15 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る Esqui…

『わたしの名前はルーシー・バートン』 エリザベス・ストラウト

[My Name is Lucy Barton] 大好きな作家と同じ時代に生きているというのは、なんて幸せなことか。 やきもきしながら新刊を待ち、何日も前からカレンダーを眺めて過ごす。発売されると本屋さんに走ることができるのだから。 そんな、私にとって(そしておそら…

Hunger / ロクサーヌ・ゲイ、そして『スイート・ヴァレー・ツイン』のこと

9-10月の"Our Shared Shelf*1"のお題本はこちら。 ロクサーヌ・ゲイの新作 Hunger: A Memoir of (My) Body 。 Hunger: A Memoir of (My) Body (English Edition) 作者: Roxane Gay 出版社/メーカー: Corsair 発売日: 2017/06/13 メディア: Kindle版 この商品…

『オリーヴ・キタリッジの生活』 エリザベス・ストラウト

[Olive Kitteridge] 静かに、そっと始まる物語。文字を追っているつもりが、いつの間にかメイン州の小さな港町・クロズビー*1に足を踏み入れている。アメリカの北東部、寒く凍った土地。 薬局を見て回り、カウンターの向こう側にいるヘンリーとデニースの何…

『おやすみ、リリー』 スティーヴン・ローリー

[Lily and the Octopus] こんにちは、トーキョーブックガールです。ずいぶん涼しくなってきましたね! さて、今日はジャケ買いしてしまったこの本の感想を。 おやすみ、リリー 作者: スティーヴン・ローリー,越前敏弥 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ …

The Clothing of Books / ジュンパ・ラヒリ

こんにちは、トーキョーブックガールです。 大好きな作家の一人、ジュンパ・ラヒリ。新作が出たら必ず読みます。 『停電の夜に』を初めて読んだときの衝撃は今も忘れられない。 淡々とした文章は一見アメリカ的にからりとしているようで、どこかアジア的な湿…

美の神話とは: The Beauty Myth / Naomi Wolf

こんにちは! すっかり日常に戻りましたが、先週までの夏休みのことを思い出してぼんやりしているトーキョーブックガールです。 どうでもいい話なのですけれど、、、旅行先のホテルの部屋に支配人からのお手紙があって、末尾に「オーム・シャンティ・シャン…

エッセイストによる爆笑日記:Theft by finding / David Sedaris

発売されてすぐに購入し毎日少しずつ読んだこの本!のお話を今日は書きます。 David Sedarisの Theft by Finding: Diaries 1977-2002 。 Theft by Finding: Diaries (1977-2002) 作者: David Sedaris 出版社/メーカー: Little, Brown and Company 発売日: 20…

『ラスト・タイクーン』 F・スコット・フィッツジェラルド

[The Last Tycoon] またまたフィッツジェラルドのお話だが、ちょうどスカイステージで'97年花組の『失われた楽園〜ハリウッド・バビロン〜』を見たので、いい機会だと思い『ラスト・タイクーン』について書いてみる。 宝塚の『失われた楽園〜ハリウッド・バ…

『ねじの回転』 ヘンリー・ジェイムズ

いよいよ暑くなってきましたね! 今年は夏休みを早めに取ることにしたので、今のうちにとお仕事を頑張っているトーキョーブックガールです。 ちょっと涼しくなるようなお話を読みたくなり、 『ねじの回転』を手に取りました。いわゆるゴシックロマンの先駆け…

『風と共に去りぬ』 マーガレット・ミッチェル

[Gone with the Wind] 宝塚の『風と共に去りぬ』 原作『風と共に去りぬ』 ヴィヴィアン・リーの美貌 Recommended for... 宝塚の『風と共に去りぬ』 私が初めて『風と共に去りぬ』を知ったのはまだ小さい子供だった頃。 当時神戸では、宝塚歌劇の舞台を生中継…

This Side of Paradise (楽園のこちら側) / F・スコット・フィッツジェラルド

唐突ですが…私には好きな本が沢山あって、お気に入りの作家も沢山いる。 大学ではスペイン/イスパノアメリカ文学を副専攻にしていたこともあり、ボルヘス、ガルシア・マルケス、イサベル・アジェンデが大好き。 オースティンやモームやカポーティー、サガン…