トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2020年と2021年のリーディングチャレンジ

 待ちに待ったお休みがやってきた! 思いっきり読んで、思いっきりブログも書くぞ! 2020年中に読み終えたい本が5冊はある。どこまで読めるかな。

 

 本当にあっという間に12月がやってきてしまった。2020年、体感5分だった。

 寝る間も惜しんで仕事と家事と育児と勉強に勤しみ、いつもどおり愛犬に癒され、苦しくも楽しく幸せな1年だった。

 いくつもの夢が叶った1年でもあった。そして、何度も思い出したのが、敬愛してやまない安蘭けいさんが宝塚歌劇団・星組のトップスターになったときのコメント*1(←何が書きたかったのか、もはやわからなくなったが、愛を込めて注釈を書いたので、見てください!)。

夢は見るだけではなく叶えるものです。でも、たとえ叶えられなくても、夢に向かって努力するその道程が夢なのです。

 夢が叶った瞬間というのが明確にあるのだけれど、実際にはその地点に向かって何年も努力してきたから、その瞬間が特別に嬉しく感じられるわけではなくて、今までの道程を何よりも愛おしく思ったのだった。

 ずっとかなりの男性社会で働いてきたものの、突然女性とのお仕事が増え、今までのキャリア人生では考えられないくらい、同性との絆に支えられた1年でもありました。出会った方々が示してくださった勇気、知恵、ユーモア、理念に心からの敬意と愛を。

 2021年も、このページを読んでくださっている方がlots of happiness and success and loveに包まれる1年でありますようにと、念力(?)を飛ばしつつリーディングチャレンジを振り返ります!

 

 

2020年のリーディングチャレンジ 

 さて、今年のリーディングチャレンジです。あまり本を読めないことはわかっていたので、志を低く低くして設定した12項目。

 

1. ブックガイドでおすすめされていた本を読む。⭕️

 どなたかがおすすめされている本を読んでみたくて、今年は『BOOKMARK』が凝縮されたブックガイドから、ウェストール(原田勝訳)の『弟の戦争』と、スーザン・プライス(金原瑞人訳)の『ゴーストドラム』を読んだ。

 どちらも素晴らしかった! なぜか子ども時代はあまり縁がないままだったウェストール、「こういう作品を書くのか……」と感服。

 『ゴーストドラム』はドラムの響きもさることながら金原瑞人さんの翻訳のリズムがすてきで、児童文学なのに血も凍るような厳しさがあるところに感動して、一気にシリーズ3冊とも読んでしまった。 

翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK

 

 

2. 2020年に出版された本を読む。⭕️

 意外とたくさん読みました。ただし、このブログで紹介しているジャンル外のものが多め。 

 あとは、まだまだ12月中に読んでおきたいものもある! 

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3. 興味を持っている分野で話題になりそうな新刊を読む(ノンフィクション)⭕️

 今現在本業とは別に興味を持っている分野がいくつかあるため。最新情報をインプットする目的。

 よいインスピレーション源となった。

 

4. 2019年に購入し積んだままの本を読む。⭕️

 2019年の読みたいリストからは、このあたりを楽しく読んだ。 

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5. 『俺の歯の話』を読む。⭕️ 

俺の歯の話

俺の歯の話

 

 想像以上に奇妙奇天烈でよかった。Lost Children Archiveも積んでいる。バレリア・ルイセリはぜひ追いかけたい作家の一人。

 そして松本健二さんが訳す作品も楽しみなものばかりで、追いかけている翻訳者さんの一人。サマンタ・シュウェブリンも再び訳してほしいな。Little Eyes(スペイン語原題はKentukis)がめっっちゃくちゃよかったから、これはぜひとも(ブログには別途感想を書きます)!

 そういえば、『大いなる歌』も高い……と思って手を出していなかったけど、思い切って買っちゃった。

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5. 長編を読む。❌

 今読んでいる長編はウェイリー版の『源氏物語』、岩波(吉川一義訳)の『失われた時を求めて』、『ミドルマーチ』(これは古典新訳文庫版)。『ミドルマーチ』は2021年ついに翻訳も完結かな!? どれも読み終えることができなかったので、来年こそ!

ミドルマーチ1 (光文社古典新訳文庫)

ミドルマーチ1 (光文社古典新訳文庫)

 

 

6. 夏休みらしい本を読む。❌

 夏に読みたい本……バカンスを描いた小説、海や田舎を舞台にした長編、成長物語など。もちろん夏休みに読みたい(今年は夏休みを秋や冬ではなくきちんと夏に取得したい)と思っていたものの、今年も夏休みはほとんどなかった。

 『ナポリの物語』シリーズはずっと読みかけで積んでしまっているので、このあたりを読みたかった。 

リラとわたし (ナポリの物語(1))

リラとわたし (ナポリの物語(1))

 

 

7. トーキョーを舞台にした本を読む。⭕️

 新潮の『波』で連載されているバリー・ユアグローの『オヤジギャグの華』(柴田元幸訳)がとにかく最高に面白くて! これだけは欠かさずに毎月読んでいる。こういう感じの、東京奇譚が読んでみたい。とはいえ、今の時点ではユアグロー以上の作品が思いつかないけれど。

 今年はヨーロッパやアメリカから家族と旧友が東京に遊びに来るので、私もいつもとは違う視点でトーキョーを眺めてみたいと思う。

 ……とか書いていた2019年、数か月後にはそんなこと言ってる場合じゃない事態になるなんて知る由もなく。

 旅行は行く予定だったのも、来る予定だった人もすべてキャンセル、夢のまた夢となってしまった。でも、SFなど近未来の「トーキョー」について読んで、楽しんだ。

 

8. 装丁買いした本を読む。⭕️

 My Friend Annaは完全にジャケ買い。もちろん中身も良かった。映像化が待たれる。 

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9. 食わず嫌いしている作家の本を読む。⭕️

 いつも読まないジャンル、意味もなく敬遠していた作家など、色々な出会いがありました。

 

10. 2020年にデビューする作家の作品を読む。❌

 新しいお気に入りを見つけるところまではいかず。

 

11. 『ロミオとジュリエット』を再読する。❌

 祝・宝塚歌劇団星組、礼真琴と舞空瞳による『ロミオとジュリエット』上演決定! でも、これも上演が2021年に延期となったのでまだ読んでいない。

 

12. Instagramのリーディングタグに参加する。⭕️

 Instagramで読みたい本を見つけることも多くなってきたので、トーキョーブックガール名義のアカウントを作ってみた。

 #januaryinjapan や #februaryinfrance など、 #readtheworld 系に参加して、有意義な読書時間を過ごすことができた。肝心の写真を撮るのが面倒で、まだあんまり更新できていないけど。

 インスタでは主にcurrently reading系の情報を英語で綴ろうかなと思っています。

 Twitterも今までほとんど利用していなかったが、こちらは日本語で、特にブログを書く時間がなかなか取れない時に、もう少し何かしらつぶやいてみようかな。

 

 

2020年に日本語訳が出版された本

 振り返りです。過去にブログで感想を書いた洋書のうち、日本語訳が2020年に出版された作品は以下の通り。

 素敵な装丁を見比べたいので(わたしが)、リンクを貼っている。

(下の記事には他の年の分もまとめてあります) 

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『秋』(アリ・スミス、木原善彦・訳)

秋 (新潮クレスト・ブックス)

秋 (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者:スミス,アリ
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 読めば読むほど素晴らしさを実感する、アリ・スミスの四季シリーズ。

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『友だち』(シーグリッド・ヌーネス、村松潔・訳)

友だち (新潮クレスト・ブックス)

友だち (新潮クレスト・ブックス)

 

 最後の予測もつかない展開が心に残る。

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『獄中シェイクスピア劇団』(マーガレット・アトウッド、鴻巣友季子・訳)

 これはもう日本語訳は出ないのかと思っていたので、嬉しい驚き! わたしはまだ日本語で読めていないのだけれど、どちらも読んだ母は「鴻巣さんは神」としみじみ語っている(それはわたしも知ってる)。

 そしてこのシェイクスピアretoldシリーズも、Vinegar Girlなど続けて日本語訳が出版されるようす。楽しみです。

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『ワシントン・ブラック』 (エシ・エデュジアン、高見浩・訳)

ワシントン・ブラック

ワシントン・ブラック

 

 Esi Edugyanの大ファンになった。 

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『誓願』(マーガレット・アトウッド、鴻巣友希子・訳)

誓願

誓願

 

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『バグダードのフランケンシュタイン』(アフマド・サアダーウィー、柳谷あゆみ・訳)

 これも、日本語訳は出ないのだろうなあと思っていた一冊。それが、アラビア語からの翻訳で! 

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『ミルクマン』(アンナ・バーンズ、栩木玲子・訳) 

ミルクマン

ミルクマン

 

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2021年のリーディングチャレンジ

1. 『ロミオとジュリエット』を再読する。

 星組の『ロミオとジュリエット』に備えて。英語で読んでから、『深読みシェイクスピア』でのジュリエットの解釈にハッとした松岡和子さんによる訳を読む予定。

Romeo and Juliet (Annotated)

Romeo and Juliet (Annotated)

 

 

2. できるだけたくさんのブッカー賞ノミネート作品を読む(そして受賞作を予想してみる)

 今年は全然読めなかったので。よくばりすぎるとアレなので、とりあえずブッカー賞だけでも。

 

3. スペイン語で読む。

 縁遠くなってしまっている気がする……(シュウェブリンも、英語訳を読んじゃった!)ので、ちゃんと毎日スペイン語でフィクションを読もう。

 

4. 舞台となっている都市の地図が記載されている作品を読む。

 これはいくつか作品がもう念頭にあるので、ちょっとcheatだと思わなくもないけれど笑、行ったことのある場所もない場所も、地図を見て想像しながら読むのが好きなので。

 

5. 誰かが読んでいるのを見た本を読む。

 よくやる「おすすめされた本を読む」の上級者版(?)。ただし知り合いでなくてよし(ということにする)。ビデオ会議で友人や知人の背後の本棚にあった本とか、電車で誰かが読んでいて面白そうだと思った本だとか、映画やドラマで登場人物が読んでいた本だとか。

 

6. 日本文学を読んで読んで読みまくる。

 今まで一度も読んだことのなかった井原西鶴の『好色一代男』(島田雅彦・訳)を読んで、あまりの素晴らしさに感動したことがきっかけ。この日本文学全集は類稀なる訳者(作家)さんたちが揃い、翻訳文学としても記念碑的な全集ですね……。「翻訳文学としての『好色一代男』」、来年どこかで書こうと思う。

 ここ2年ほど離れていた気がする日本文学。宇佐美りんさんも遠野遥さんも素晴らしくて、新しいものもどんどん読みたい。ここはあくまで世界・翻訳文学ブログなので、感想用にはまた別の媒体を用意しようかなあと考えたりしています。

 

7. ゆっくりと味わって読む。

 あれもこれも読みたいのは読みたい、けれど今はじっくりと考えながら読みたい。ゆっくりと1冊の本と向き合いたい。

 

8. 2021年に映像化される作品を読む。

 なんと、2020年は映画を2本しか観なかった! しかもどちらも初めてではなく、見返した作品。『ロシュフォールの恋人たち』(これはもう100回以上は観ている)と、『メッセージ』。もちろん映画館には足を運んでいないし、新しいものにはまったく触れていない。

 来年こそは映画を観るぞ! という決意を込めて、原作をまず読みたい。

 

9. 紙で読む。

 何しろ起きた状態で本を読む時間がなかったので、ほとんどKindle Paperwhiteに頼りっぱなしだった今年。

 どこかに座って、最初のページから最後のページまで、紙の本をめくりたい……。

 

10. 縁もゆかりもない言語で書かれた本(の翻訳)を読む。

 日本語、英語、スペイン語、フランス語、ヘブライ語以外で。

 

11. Vultureの"100 Great Works of Dystopian Fiction"から何か読む。

 お気に入りのブックリストから何か読む、にしようかと思ったのだけれど、絞ってみる。2017年に発表され、いまだに語り継がれているVultureのリストから。今だからこそ、コロナ以前のディストピアを。

www.vulture.com

 

12. The New Yorkerの短編を全部読む。

 なかなか長編を読む時間が取れない気がするので、こちらに。毎年いくつか抜けちゃうので、今年は全部読みたい。

 年末には「特にお気に入りの12作品」リストでも作ろうかしら。

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過去のリーディングチャレンジ

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 みなさま、今年もお読みいただきありがとうございました。Happy holidays、そして今年も来年も、happy reading!

*1:宝塚卒業後もその類稀なる歌声を武器に、日本のミュージカル界で大活躍している安蘭けいさん。でも実は、男役としては身長が公表167cm(公表でこれということは、実際はもっと低い可能性大。今DVDを見返してもせいぜい165cmくらいに見えるんですよね)と体躯に恵まれず、宝塚受験も3度の不合格を乗り越え、4度目でやっと音楽学校に入学したという経歴の持ち主。音楽学校卒業時の成績は首席。人気もあったのになかなかトップには就任せず、ファンの間では「永遠の二番手」と呼ばれることもあったほど。ようやく星組でトップスターとなったのは、研16年目のことだった。退団後、安蘭けいさん本人も「なかなかトップになれず、もう辞めようと思ったことも何度もありました」と語っています。中卒で音楽学校に入っているならともかく、4年目に合格して研16年目でようやくトップスターということは、(すみれコードに触れるので詳しくは書きませんが)20代だけではなく30代のほとんども、団員である条件が「独身であること」という現代社会と相容れないルールが敷かれている宝塚歌劇団で過ごすということ。1つの夢を叶えるためにあきらめたことは、星の数ほどあったと思います。今や日本でも、梅芸と宝塚で上演され人気を博している『スカーレット・ピンパーネル』の初演で主人公のパーシーを演じたのも、安蘭さん。踊りと演技力もさることながら、やっぱりあの歌声。美しすぎる声で、今やヅカオタにとっては和央ようかさんの旦那様として親しまれているフランク・ワイルドホーンさんによる名曲の数々を歌い上げたのでした。なかでも「ひとかけらの勇気」はワイルドホーンさんが宝塚向けに書き下ろし、その後ブロードウェイでも使用されるようになった名曲。安蘭さんがたどった道のりや、インタビューからも感じられるその素敵な人柄を彷彿とさせる歌です。