トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

The Dangers of Smoking in Bed / マリアーナ・エンリケスの原点(Megan McDowell訳)

[Los peligros de fumar en la cama] 国際ブッカー賞のショートリストにノミネートされていた、マリアーナ・エンリケスのThe Dangers of Smoking in Bedを読んだ。エンリケスの初短編集。読みながら何度も、「いいなあ……好きだなあ……」としみじみ思う。何度…

2021年 国際ブッカー賞受賞作はAt Night All Blood is Black

6月2日、国際ブッカー賞の受賞作が発表に。フランス人作家の受賞は初めてとのこと。日本語にも翻訳されるかな? At Night All Blood is Black / David Djop(Anna Moschovakis 訳) フランス語から翻訳 At Night All Blood is Black 作者:Diop, David 発売日…

母と娘の世界文学 20冊

明日は母の日。いろいろな母と娘の形に思いを馳せて、大好きな「母と娘」文学をいくつか挙げてみました。もちろん母と娘文学は山のようにあるので、今本棚に入っている本(=絶対に手放すもんかと思ってる本)限定で! 母の視点 『パウラ、水泡なすもろき命…

『肉体の悪魔』ラディゲ(中条省平・訳): いつ読んでも印象がまったく変わらない不思議な小説

[Le diable au corps] 僕は愛などなくてもいられるように早く強くなりたかった。そうすれば、自分の欲望をひとつも犠牲にする必要がなくなる。 Je souhaitais d'être assez fort pour me passer d'amour et, ainsi, n'avoir à sacrifier aucun de mes désirs…

『恥さらし』パウリーナ・フローレス(松本健二・訳): こういうラテンアメリカ文学が読みたかったんだよ、わたし

[Qué Vergüenza] 2021年の読みたいリストに入れていた1冊。 恥さらし (エクス・リブリス) 作者:パウリーナ・フローレス 発売日: 2021/01/06 メディア: 単行本 恥さらし。なんて強い言葉。「恥」を「さらす」。 恥さらしと聞いて思い浮かぶのは……寒さの厳しい…

2021年 Women's Prize for Fiction ショートリスト

いよいよゴールデンウィークですね! お休みの方は何を読む予定ですか? わたしはメインのお仕事は休みだけど、サブのお仕事はあるのであまりいつもと変わらないような……だけど、この機会に、4月に入ってからグダグダになっていた今年の目標の1つを仕切り直…

『フィーメール・マン』とか『女の国の門』とか

『フィーメール・マン / Female Man』ジョアナ・ラス(友枝康子訳) 数年前、『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んだときに「あ、あれ再読しよう」と思い、先日ついに発売されたよしながふみの漫画『大奥』の最終巻を読んで「あ、今度こそあれ読もう」と思っ…

2021年 国際ブッカー賞ショートリスト

今日は、全然関係ない話から始めましょう。このページを見てくださっているみなさまは、Chromeユーザーですか? Chromeってすごくおもしろい拡張機能があるんです。わたしがたまたま最近発見しただけで、数年前からあるので、ご存知の方も多いかも。その名も…

『ロミオとジュリエット』シェイクスピア(小田島雄志・訳、松岡和子・訳、宝塚歌劇団星組): 疾走する命

[Romeo and Juliet] このブログには本のことだけ書こうと思っているのですが、東京宝塚劇場での上演が始まったばかりの星組『ロミオとジュリエット』を観劇(&感激……)したところなので、今日は星担による星組礼賛日記になってしまいそう。 さて、宝塚歌劇…

Chicas Muertas / セルバ・アルマダ: 女性だったから殺された女の子たち、フェミサイドについて

[Dead Girls] 「わたし、絶対にぜーったいにアルゼンチンの男の人とは結婚しないんだ。ていうか、イスパノアメリカの男の人とは結婚しない*1」 16歳のころ、アルゼンチン出身の友人がそう言った。「どうして?」と問うわたしたちに、彼女はいまだに根強いマ…

春夏秋冬の世界文学 100冊

数年前に公開して以来、ぼちぼちと更新を続けていた「季節の海外文学」リスト。どれも最初に公開したときは大体15〜20冊程度だったので、「いつかそれぞれ25冊まで増やして、全部で100冊になるといいな〜」と考えていたのだが、けっこうあっという間に100冊…

Normal People / サリー・ルーニー: フツーのひとって、どんなひと

(ふつうのひと) 2018年のブッカー賞にもノミネートされた、サリー・ルーニーの長編2作目。2020年には映像化もされた(下にApple TVのリンクを貼りました。ドラマもよかったですね〜!)。描かれるのは2011年から2015年にかけて起こったできごと。高校から…

2021年 国際ブッカー賞ロングリスト

*この記事では「国際ブッカー賞」について書いています。2021年の「ブッカー賞」の記事はこちら(↓)です。 www.tokyobookgirl.com www.tokyobookgirl.com www.tokyobookgirl.com 2021年の国際ブッカー賞ロングリストが発表された。今年も多様な作品がノミネ…

3月に読んだ韓国文学 #koreanmarch

去年に引き続き、インスタでは世界文学読みさんたちが「#koreanmarch」を開催していたので、これ幸いと韓国文学三昧な日々を過ごした。色々な方が読んだ本や積読している本を眺めているだけで、幸せな気分に……。 わたしはといえば、新しいものは購入せずに積…