トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

国際ブッカー賞 受賞作品一覧

 国際ブッカー賞は、ブッカー賞の翻訳部門として2005年に創設された。当初の名称はマン・ブッカー国際賞[The Man Booker International Prize])で、隔年で優れた作品を生み出した「イギリス連邦・アイルランド以外の国の作家」が受賞対象となっていた。

 2016年からは毎年に変更され、さらに対象は作家ではなく英語に翻訳された作品(著者&英語への翻訳者の共同受賞)となった。名称も、2019年からは国際ブッカー賞(The International Booker Prize)に変更されている。

 作者のみならず翻訳者も受賞するという点が特徴的。また、アメリカ・オーストラリア・カナダ人作家による作品はブッカー賞に含まれることになったので、より多くの国に焦点が当たるようになっている。

 

 

歴代の受賞作品(2016年〜2020年)

2021年: At Night All Blood is Black / David Djop(フランス)、Anna Moschovakis 訳

At Night All Blood is Black

At Night All Blood is Black

  • 作者:Diop, David
  • 発売日: 2020/11/05
  • メディア: ハードカバー
 

 スモールプレス、Pushkin Pressからの1冊。セネガル育ちのフランス人、Djopによる2作目の小説で原題はFrère d'âme。

 第1次世界大戦にてフランス軍に参加し、ドイツと戦ったセネガル人のアルファとマデンバという2人の兵士を描いている。2人は助け合い、懸命に攻撃を続けるのだが、マデンバは負傷し亡くなってしまう。1人残されたアルファは呆然とし、孤独感に苛まれるものの、そのうち戦いにのめり込むようになり、暴力や死を求めてさまよう。

 翻訳者のMoschovakisは自身も作家&詩人として活動している。  

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2020年: The Discofort of Evening / Marieke Lucas Rijneveld(オランダ)、Michele Hutchison 訳

 著者(ちなみに一人称がtheyであることを公表している)のデビュー作で、主人公はJasという10歳の女の子。スケート中に弟が事故で亡くなり、家族が悲しみと向き合う姿を時にユーモアも交えて描いている。

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2019年: Celestial Bodies / Jokha al-Harthi(オマーン)、Marilyn Booth 訳

Celestial Bodies

Celestial Bodies

  • 作者:Alharthi, Jokha
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: ペーパーバック
 

 オマーン人の作家による、三姉妹と彼女たちを取り巻く人々の人生に関する物語。オマーンで石油の輸出が開始され国が豊かになるとともに、奴隷制が廃止される激動の1960年代を背景に、社会情勢とともに変わりゆく人々の関係性が浮き彫りにされる。人間とともに存在していた「ジン」(と魔法や魔術)が消え去り、現代化が進んでいく様子が印象的。翻訳者のMarilyn Boothは多くの現代アラブ人(特に女性)作家の翻訳を手がけている。

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2018年: 『逃亡派』/ オルガ・トカルチュク(ポーランド)、Jennifer Croft 訳

逃亡派 (EXLIBRIS)

逃亡派 (EXLIBRIS)

 

 ポーランド人作家トカルチュクによる作品。受賞時にはすでに日本語訳が出版されていた(嬉しい……)。散文で構成された、旅やアナロジーにまつわる小説。タイトルの『逃亡派(Bieguni)』はロシア正教のあるセクトの名前。そのセクトは「放浪すること」を正しい生き方と定めており、その教えに共感したトカルチュクは作品のタイトルをセクトの名前にすることにしたとのこと。

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2017年: A Horse Walks Into a Bar / デイヴィッド・グロスマン(イスラエル)、Jessica Cohen 訳 

A Horse Walks into a Bar: A novel (English Edition)

A Horse Walks into a Bar: A novel (English Edition)

 

 

2016年: 『菜食主義者』韓江、Deborah Smith 訳

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

  • 作者:ハン・ガン
  • 発売日: 2011/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 韓国での女性の生き方を描いたフェミニズム作品。「肉を食べない」と決心した主人公にどうにかこうにか肉を食らわせようとする周りの人々を通して、現代社会の息苦しさを描き出す。

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歴代の受賞者(2005年〜2015年)

2015年: クラスナホルカイ・ラースロー(ハンガリー)

ある一族の物語の終わり (東欧の想像力)

ある一族の物語の終わり (東欧の想像力)

 

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2013年: リディア・デイヴィス(アメリカ) 

話の終わり

話の終わり

 
ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス)
 

 

2011年: フィリップ・ロス(アメリカ)  

素晴らしいアメリカ野球 (新潮文庫)

素晴らしいアメリカ野球 (新潮文庫)

 

 

2009年: アリス・マンロー(カナダ) 

ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)

ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)

 

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2007年: チヌア・アチェべ(ナイジェリア) 

崩れゆく絆 (光文社古典新訳文庫)

崩れゆく絆 (光文社古典新訳文庫)

 

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2005年: イスマイル・カダレ(アルバニア)

夢宮殿 (創元ライブラリ)

夢宮殿 (創元ライブラリ)