犬の数だけ文学が生まれる。
とはいえ、猫に比べると主役扱いされていることは少ない気がするのはどうしてだろう。犬好きの作家より猫好きの作家の方が多い気がするのはなぜだろう。
犬好きさんのために、「犬が登場する海外文学」をまとめてみた。
*あくまで犬好きのため、なので『夜中に犬に起こった奇妙な事件』など犬が虐待されたり殺されたりする作品は省いています(『夜中に〜』は素晴らしい作品です)。
- 『ダーシェンカ』カレル・チャペック
- 『ティンブクトゥ』ポール・オースター
- 『夜のみだらな鳥』ホセ・ドノソ
- 『クリスマスの思い出』トルーマン・カポーティ
- 『10月はたそがれの国(使者)』レイ・ブラッドベリ
- 『黄色い雨』フリオ・リャマサーレス
- 『燃える平原(犬の声は聞こえんか)』フアン・ルルフォ
- 『おやすみ、リリー』スティーヴン・ローリー
- 『ガルヴェイアスの犬』ジョゼ・ルイス・ペイショット
- 『犬の心臓』ミハイル・ブルガーコフ
- 『犬を連れた奥さん』アントン・チェーホフ
- 『虹をつかむ男(愛犬物語)』ジェイムズ・サーバー
- 『ムギと王さま(レモン色の子犬)』 エリナー・ファージョン
- 『フラッシュ』ヴァージニア・ウルフ
- 『野性の呼び声』ジャック・ロンドン
- 『まぼろしの小さい犬』フィリッパ・ピアス
- 『おいでフレック、ぼくのところに』
- 『冬の犬』アリステア・マクラウド
- 『犬の人生』マーク・ストランド
- 『白い犬とワルツを』テリー・ケイ
- 『カルメン・ドッグ』キャロル・エムシュウィラー
- 『ドリトル先生』ヒュー・ロフティング
- 『タンタンの冒険』エルジェ
- 『15匹の犬』アンドレ・アレクシス
- 『友だち』シーグリッド・ヌーネス
- 番外編(日本)
- おすすめBGM
『ダーシェンカ』カレル・チャペック
- 作者: カレルチャペック,Karel Capek,伴田良輔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/10/01
- メディア: 文庫
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作家が子犬のために作ったという、犬愛が炸裂しまくっている本書はなんといっても外せない。もじゃもじゃの子犬が産まれて、お母さんに甘え、昼寝をし、歩き出して……。
ダーシェンカが成長する様子、ワイヤーヘッド・フォックステリアの歴史、子犬のためのおとぎ話、チャペックのユーモラスなイラストと、盛りだくさんな内容。
「ねえダーシェや」と語りかける様子はまるでフアン・ラモン・ヒメネスの『プラテーロとわたし』みたいで心が和む。
『ティンブクトゥ』ポール・オースター
- 作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/06/29
- メディア: 文庫
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主人公のミスター・ボーンズは、ウィリーという男性と生活を共にしてきた犬である。ところがウィリーは病気で死んでしまう。ウィリー亡き後、ミスター・ボーンズは様々な人と出会う。中国系の男の子、お金持ちの家族。それでもずっと孤独のままだ。どうしてもウィリーのそばにいたいミスター・ボーンズは、ウィリーが言うところの「ティンブクトゥ=天国」を探してさまようことになる。
アメリカという国そのものを、犬の一生を通して覗き込むようなオースターの小説。このつかみどころのなさ、どこか寂しい後味を残す文体はオースターの得意技。
『夜のみだらな鳥』ホセ・ドノソ
ホセ・ドノソによるラテンアメリカ文学の名作にも繰り返し犬が登場する。黄色い牝犬だ。それはアスコイティア一族の運命を司る魔女が姿を変えたもので、時を超えて一族の女性を見守り続ける。タイトルの「鳥」よりもよっぽど心に残る、この犬。
*Amazonで販売していない水声社の本なので、リンクはありません。お買い求めの際は書店まで。「フィクションのエル・ドラード」シリーズ、3500円+税。
『夜のみだらな鳥』 ホセ・ドノソ - トーキョーブックガール
『クリスマスの思い出』トルーマン・カポーティ
- 作者: トルーマンカポーティ,Truman Capote,村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
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カポーティが子供時代を過ごした南部をノスタルジックに描いた短編。子供の「ぼく」を可愛がってくれた遠縁のおばあちゃんは、クィーニーという名前の、オレンジのぶちがある白いラットテリアと一緒に暮らしていた。小さいけれど気が強い犬。
ケーキを作ったり、クィーニーと川遊びをしたり。最後に一緒に過ごしたクリスマスの思い出が語られ、「ぼく」は都会で青年になる。楽しい少年時代は終わってしまったのだ……。短いけれど、完璧な美しさがある作品。テリアのクィーニーが飛んだり跳ねたり、お肉をもらって喜んだりと、生き生きと描かれているのも印象的。
『10月はたそがれの国(使者)』レイ・ブラッドベリ
ブラッドベリ初期の短編集に含まれた、犬にまつわる作品。病気で家から出られない男の子の唯一の友達は、賢い犬。外を歩き回って秋の匂いを部屋に運んできてくれる。ところがある日、犬が連れてきたのは……。
ちょっとぞっとする結末が待っているのだが、外から帰ってきたばかりの犬のにおいが手にとって感じられるようなところが好きで、何度も読んでしまう。
『黄色い雨』フリオ・リャマサーレス
過疎のアイニェーリェ村に最後に残ったのは、とある夫婦と雌犬だけ。食事も乏しくなっていく中、夫婦は雌犬と食料を分け合って暮らす。
ひとつの村が滅びていく様子が淡々と語られるのだが、夫婦と同じように年老いて家の中で横たわる雌犬の視線が記憶に残る。レトリバーのような大きくて黄色い犬の気がする。
『燃える平原(犬の声は聞こえんか)』フアン・ルルフォ
ルルフォの短編「犬の声は聞こえんか」に、犬そのものは登場しない。
煌煌と辺りを照らす月明かりの下、負傷した息子を背負って年老いた父親が歩いていく。町を目指して。息子はだんだん意識も遠のき返事をしなくなるものの、父親は彼を相手に話を続ける。町に近づいたことを知らせるのは、犬が鳴く声だ。
犬の声は文明の印であり、救いのモチーフでもある。
『おやすみ、リリー』スティーヴン・ローリー
12歳のダックスフントのリリーと二人暮らしをしているテッドは長年の恋人と別れ、失意のどん底。ところがある日、リリーの頭に「タコ」が張り付いているのを見つけると、それどころではなくなってしまう。テッドはリリーを守るため、冒険に出る決心をするのだった。
ふたりでの楽しい暮らしから、年を取りがんを患った愛犬との別れまでを綴った自伝的小説。前半にはイーサン・ホークのインタビューを見ていると、「好きな音は?」と聞かれた彼が「子犬のため息」と答えて、テッドが「わ・か・る〜!(とは言ってないけど)」となる素敵なエピソードなんかもある。後半はもちろん愛犬家にとっては悲しい話ではあるのだけれど、だからといって尻込みしないで! リリーのおしゃべりの可愛らしさや希望にあふれるエンディングをきっと大好きになるはず。
『ガルヴェイアスの犬』ジョゼ・ルイス・ペイショット
1984年のある日、ポルトガルの小さな村に巨大な物体が落ちてきた。何の変哲もない村は、それ以来変わってしまう。その中で通常の暮らしを続ける犬たちの描写が心に残る。
そう、犬って決して忘れないんですよね。
『犬の心臓』ミハイル・ブルガーコフ
- 作者: ミハイルブルガーコフ,Valerij Gretchko,増本浩子,ヴァレリーグレチュコ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/11/28
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寒いモスクワでその日暮らしをしていた野良犬が、とある医者に拾われ、温かい寝床や食事を用意してもらったと思ったらなんと実験に使われ人間に変身することになって……。
犬の視点から描かれるストーリーがなんともブルガーコフ的でユニーク。この新潮文庫の新訳はとてもいいと思う。一人称も旧訳の「おれ」から「ぼく」に変わっていて、「コロ」がより犬らしくなっている。印象が180度変わる。
『犬を連れた奥さん』アントン・チェーホフ
ヤルタで休暇を過ごしていた男が出会ったのは、ポメラニアンを連れた美しい既婚女性。とあることから不倫が始まり、二人の間で愛の炎が燃え盛るものの、女はサンクトペテルブルクへ、男はモスクワへと帰って行き情事は終わったかのように思われた。しかし、どうしても彼女のことが忘れられない男はサンクトペテルブルクに赴き……。
やるせない恋を描いた作品。
サンクトペテルブルクで女を探す男が、老女に連れられた女の愛犬を見かけて、犬に声をかけようか迷うシーンがあるのだが、犬種が家族思いで番犬気質のポメラニアンだけに、声をかけてみたとしても、激しく吠えたてられそうだと読むたびに思ってしまう。
この作品といい、『カシタンカ』といい、チェーホフは犬好きだったようだ。
『虹をつかむ男(愛犬物語)』ジェイムズ・サーバー
「愛犬物語」に登場する夫婦が飼うことになったのは雌のブルテリア。
もともと欲しかった犬種とは違うし、家にやってきた子犬は体が弱くてぐったりしているし……こんなの思い描いていた犬じゃない! で、やっぱり手放すことを決意するのだが(ひどい)、いつしか愛着が湧いていることに気づくのだった。
犬への愛情を全面に押し出してくる妻と、冷めた目で見ている割にいざとなったら犬のために命をかけちゃう(!)夫。
ジョセフィンと名付けられた犬を溺愛する飼い主ができあがるまで、のユーモラスな短編。ジョセフィンという名前の由来もまた笑える。
『ムギと王さま(レモン色の子犬)』 エリナー・ファージョン
- 作者: エリナーファージョン,エドワード・アーディゾーニ,Eleanor Farjeon,Edward Ardizzone,石井桃子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/05/18
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エリナー・ファージョンの素敵なおとぎ話が詰まったこの短編集の中でも、特にお気に入りなのが「レモン色の子犬」。
王さまの木こりの手伝いをしているジョーは、ある日レモン色の母犬と子犬を拾い、育てるようになる。その後ひょんなことから行方不明になっていた王女さまのネコを見つけ、ほうびをやろうと王さまに言われたジョーは……。
ファージョンらしい、幸せな気持ちに包まれるような恋愛譚。アーディゾーニの挿絵も素敵。
『フラッシュ』ヴァージニア・ウルフ
*2020-04-19
5月に白水Uブックスから新訳が発売されるようです。
ヴァージニア・ウルフが犬を主人公(語り手)として書いた詩人エリザベス・ブラウニングの伝記。フラッシュというのは、ブラウニングの飼い犬の名前。
復刊してほしい一冊。
『野性の呼び声』ジャック・ロンドン
- 作者: ジャックロンドン,Jack London,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/06
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以前は岩波から『荒野の呼び声』という題で出版されていて、2007年に光文社が古典新訳文庫を発売。
ゴールド・ラッシュの時代に沸きかえるカナダ・アラスカで、犬ぞり用に酷使されていた大型犬パック(セント・バーナードとシェパードのミックス)が次第に野生に目覚め、狼の群れと出会う。犬の視点から、人間と犬との絆も描かれている名作。
『まぼろしの小さい犬』フィリッパ・ピアス
- 作者: フィリパピアス,アントニー・メイトランド,Philippa Pearce,猪熊葉子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/07/06
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『トムは真夜中の庭で』の著者によるお話。
犬が欲しくてたまらない男の子に、祖父が「誕生日に犬をやろう」と約束する。楽しみに待っていると、祖父が持ってきたのは本物の犬ではなく、犬の刺繍……。トムは失望するものの、「チキティト・チワワ(とても小さいチワワ)」というその刺繍を大切に持ち歩き、想像の中で理想の犬を作り上げる。その後、本物の犬も飼うことになるのだが、頭の中にある理想の犬とのあまりの違いにトムはまたも失望してしまい……。
この作者の作品は粒ぞろいで、子供の頃読んだのだが今でも鮮明に記憶に残っている。犬好きにはとにかくおすすめ。トムが思い通りにならない「自分とは別の生命」としての犬を受け入れ、愛するようになるまでの過程に、うんうんとうなずいてしまう。
『おいでフレック、ぼくのところに』
こちらもフィリパ・ピアス同様、小学校高学年向け?(YA?)の児童文学。同じように犬がほしくてほしくてたまらない男の子、ハルのお話。
『まぼろしの小さい犬』がなんだか薄曇りのような雰囲気の漂う1冊だとしたら、こちらはカラッとした晴れの日のようなお話。雑種の中型犬、フレックがかわいいだけではない! 種類も性格も違う犬がたくさん登場して、どの子も愛おしく感じること間違いなし。登場人物も犬も、みんながみんな魅力的です。
お金持ちだから何不自由ない生活をさせていると決め込んで、ハルの気持ちをまったくわかっていない両親にハラハラしたり、思わずふふっと笑ってしまったり。
『冬の犬』アリステア・マクラウド
- 作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/01/30
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カナダのケープ・ブレトン島という寒さ厳しい土地で育った作家、マクラウド。その作品も、体の芯から凍えるような冷たさが感じられるものが多いのが特徴。
表題の短編「冬の犬」は、雪が降った朝、子供の頃に飼っていた犬のことを思い出す主人公の物語。自分の命を助けてくれた犬と、そのあとの自分の不甲斐なさ……。なんともいえない気持ちになる。
『犬の人生』マーク・ストランド
- 作者: マークストランド,Mark Strand,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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短編集。表題にもなっている「犬の人生」はたった数ページの、本当に短い物語なのだけれど、「実は僕は犬だったんだ」と打ち明け、犬としての生活の思い出を妻に語る男の話。なんということはない、結婚生活の一コマのようでいて、そこには愛も許しも慈しみもあって、なんだか救われる。
『白い犬とワルツを』テリー・ケイ
- 作者: テリーケイ,Terry Kay,兼武進
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/03/02
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映画化された作品。妻に先立たれ、自らも病を抱えるサムは一人で余生を生き抜くことを決心する。ところがそんなサムの前に白い犬が現れ、いつもそばに寄り添うようになる。白い犬は鳴くこともなく、サムの子供たちの前には決して姿を現さないのだが……。
独身の頃読んだ時は分からなかったサムの感情が、結婚してから理解できたような。もっと歳をとったら、また再読したいと思っている小説。
『カルメン・ドッグ』キャロル・エムシュウィラー
人間の女が獣のメスへ、獣のメスが人間の女へと、姿を変えるようになった世界。ご主人様と奥様、赤ちゃんを愛するセッターのプーチは人間へと変身しつつある。
カミツキガメに変わりつつある奥様をおいて、プーチは赤ちゃんを連れて荒廃した家庭から逃げ出す。その先々で待ち受けているのは今まで知らなかった世界。劇場で見るオペラ、同じように姿を変えていく仲間たち、人間の男たちの策略……。
カルメンみたいになりたいと願いつつも、従順でおとなしい自身の性格を変えることはできないプーチの冒険譚。荒唐無稽なところに引き込まれる!
『ドリトル先生』ヒュー・ロフティング
動物大好きだったので、子供の頃の愛読書だったドリトル先生シリーズ。『アフリカゆき』はとくに、犬のジップが大活躍。翻訳は井伏鱒二さんだったんですね。
『タンタンの冒険』エルジェ
タンタンの相棒、真っ白いテリアのスノーウィ。どこへでも一緒に行くということに幼い頃憧れた。
『15匹の犬』アンドレ・アレクシス
トロントのバーで、ギリシアの神々アポロンとヘルメスが賭けをした。動物が人間の知性を持ったら、幸福になるか不幸になるか? そこで近くの動物病院にたまたま滞在していた十五匹の犬が対象に選ばれ、人間の知能を授けられる……という奇想天外なお話。
『友だち』シーグリッド・ヌーネス
The Friend: A Novel (English Edition)
- 作者: Sigrid Nunez
- 出版社/メーカー: Riverhead Books
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長年の友人が自殺し悲しみにくれている語り手の前に現れたのは、友人が残していった一匹のグレート・デーン。友人とは強固な信頼関係を築いていたようで、彼が急にいなくなったことに戸惑いを隠せず落ち込んでいる犬。
そんな犬と一緒に暮らしながら、語り手は友人の、そして自身の人生を振り返ることになる。犬だけではなく文学、出版業界、創作を教えること、友情や恋愛など、様々な出来事に思いを馳せる。
番外編(日本)
『デューク』、『雨はコーラが飲めない』江國香織
愛犬を失って辛い想いをしている全ての方に読んでいただきたい、江國香織さんによる名短編。単行本も出ているし、『つめたいよるに』という短編集にも収録されている。
ちなみに江國さんは雨ちゃんというアメリカンコッカースパニエル(本では「コッカスパニエル」と表記)の男の子と暮らしていらっしゃったようで、愛犬の話もエッセイに登場する。
こちらには「雨」が家にやってきた経緯が。
こちらは丸々一冊、「雨」についてのエッセイ。
『人生の旅をゆく 3』ほか 吉本ばなな
日本文学界で犬好き、といえば吉本ばななさん。彼女のエッセイや日記にも、代々一緒に暮らしてきた犬たちがさりげなく登場する。ペットの介護の話や辛い別れについても書かれている。
『女生徒』太宰治
2匹の犬の扱いを通して、10代の女子学生特有の意地悪な心、残酷さが描かれる(注意:犬は物理的に傷つくわけではないし、悲しい想いをしたまま終わりというわけでもない)。最初読んだときは同じ年頃だったので、はっとしたのをよく覚えている。この年頃にしかないこういう感情を、太宰治は巧みにすくい取っている。やっぱりすごい。
『謎のアジア納豆:そして帰ってきた<日本納豆>』高野秀行
納豆は、日本だけのものではない! ということで、アジア中を旅し、納豆の歴史や文化について著者がリサーチをすすめていく。高野秀行さんの大ファンで著書はほとんど全て読んでいるのだけれど、これはその中でも一、二を争う名作!
今回は奥様(下の本の著者、片野ゆかさん)とお二人の愛犬マドさんも登場。我が家の犬も、納豆大好きです。
『旅はワン連れ』片野ゆか
ビビリな保護犬マドさんを引き取り、一緒に暮らし始めた片野さんと高野さんご夫妻。愛犬を連れてあんなところやこんなところまで旅行! 片野さんは保護犬についての著書も出版しているジャーナリスト。
『動物のお医者さん』佐々木倫子
動物のお医者さん 愛蔵版 コミック 1-6巻セット (花とゆめコミックス)
- 作者: 佐々木倫子
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やっぱり、チョビは外せない! 恨めしそうな顔と、どこまでもハムテルを慕いついていく健気さ。ハスキーにしてはおっとりおとなしい女の子。可愛すぎます。
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最後におまけ。みなさま、わんちゃんと過ごす時は何を聴いていらっしゃいますか?
私は最近もっぱらボブ・マーリーです! きっかけはこの記事を読んだこと。
【犬と音楽】ワンコはレゲエがお好き!?〜ストレスレベルを引き下げる効果(研究) | the WOOF イヌメディア
スコットランド動物虐待防止協会(SSPCA)とグラスゴー大学の研究によると、犬はレゲエやソフトロックを聴くとストレスレベルが下がるそう。私の同居犬は基本的にリラックス感あふれるハッピードッグではあるのだが、確かにボブ・マーリーを聴くと気持ちよさそうに横たわり、CDを半分くらい聴いた頃には寝言を言いながら熟睡している(!)。
明らかに、ジャズやボサノバを流している時よりもリラックスしているのだ。多分声質や楽器の音も関係あるのだろうな〜。レゲエって、犬が好きな心臓の音(お母さんを思い出す)みたいな楽器の使い方もあるし、ボブ・マーリーの声は特に癒し効果にあふれているというか、彼自身が心の底からリラックスし楽しんで歌っているのがよく分かりますもんね。
というわけで、家で読書するときは、大抵レゲエが流れている今日この頃です。