トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

春に読む海外文学 9冊

春にこそ読みたい小説(海外文学)のリストを作ってみた。

暖かくなってきたので、日向ぼっこをしながら桜を待つ間にでもいかがでしょうか。

タイトルに「春」を含むものから。

 

 

『春にして君を離れ』

アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で執筆した小説。

イギリスの専業主婦として生活してきたジェーンが、娘家族の暮らすテヘランを訪れる。その一人旅における、ジェーンの心模様を繊細に描き出す。

ロマンス小説と紹介されることが多いが、どうだろうか。ある意味サスペンスだし、ミステリーでもある。

他の人の本当の気持ちを知ることは不可能だとしても、ここまで食い違ってしまうことはあるのだろうか?もしかして、自分が気付いていないだけで、自分も誰かにとってジェーンのような存在なのだろうか?

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

『春のめざめ』

何度もミュージカル化されている物語。思春期に差し掛かった少年少女の性の目覚めと、それを恐れ抑圧しようとする大人たちを描く。

生き生きとした少年少女は、まさに春そのもの。

出版された1891年当初には、さぞかし波紋を呼んだだろうと想像できる。

リア・ミシェル主演でミュージカル映画化される話が数年前にあったのだが、その後どうなったのだろう…。楽しみに待っているのですけれど。

春のめざめ―子どもたちの悲劇

春のめざめ―子どもたちの悲劇

 

 

青春期の持つ不安定な感じが、春にぴったりくる気がする本は他にもいくつかある。

 

『思春期病棟の少女たち』

『17歳のカルテ』と題して映画化。

麻薬中毒や精神疾患で入院するというのは、この小説が出版された当時(1993年)は今ほどよく聞く話ではなかった、はず。

映画では若かりし頃のアンジェリーナ・ジョリーが演じたリサという女の子がとにかくエキセントリック。女の子たちのキャラクターのおかげで、ともすれば暗くなりがちな物語がユーモラスに彩られている。

思春期病棟の少女たち (草思社文庫)

思春期病棟の少女たち (草思社文庫)

 

 こちらも、洋書が非常に読みやすいので英語で読むのもおすすめ。

Girl, Interrupted

Girl, Interrupted

 

 

『フラニーとゾーイー』

感じ方・受け取り方は変わると思うので10代、20代、30代と読み返したい一冊。

社会制度や環境の変化に混乱しているフラニー(妹)とゾーイー(兄)の会話。

フラニーの心に染み込んでゆく、ゾーイーの言葉の数々。言うことすべてにセンスがある。

「もしも制度相手に戦争しようというんなら、聡明な女の子らしい銃の撃ち方をしなくっちゃ、だって敵はそっちなんだろう。」

フラニーとゾーイー (新潮文庫)

フラニーとゾーイー (新潮文庫)

 

 村上春樹による翻訳もあり。こちらの方が分かりやすいかもしれない。

フラニーとズーイ (新潮文庫)

フラニーとズーイ (新潮文庫)

 

 

『桜の園』

19世紀ロシアの没落貴族の物語だが、 チェーホフがそこに描くのは人間の普遍性、ユーモア、皮肉、悲劇とコメディである。

だからこそ時を超えて、繰り返し世界中の人に読まれているのだろう。

太宰治の『斜陽』、吉田秋生の『櫻の園』など、『桜の園』に影響を受けて生まれた名作が多いことにも注目したい。

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫)

 
斜陽 他1篇 (岩波文庫)

斜陽 他1篇 (岩波文庫)

 

チェーホフの『桜の園』を毎年上演する女子校演劇部の生徒たちの物語。

櫻の園 (白泉社文庫)

櫻の園 (白泉社文庫)

 

 

『蝶の舌』

マヌエル・リバスはガリシア語で執筆するスペイン人作家。

スペインでは色々と出版されているようだが、日本語訳されているのはこれ一冊のみ。とにかくどの短編も素晴らしい!ので、今では入手しにくいのが残念。

春が来るといつも思い出すのが、「愛よ、僕にどうしろと?(¿Qué me quieres, amor?)」という作品。

僕は夏が来て最初に摘むサクランボの夢を見る。

という冒頭と、サクランボを口移しに食べ、軸を舌で結んでしまう可憐な恋人の描写が印象的(ちなみにスペインではサクランボが実るのは5月頃。バルセロナではサクランボ祭りも催される)。

蝶の舌 (BOOK PLUS)

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『大いなる遺産』

これはもう完全に映画の影響である。

アルフォンソ・キュアロン監督の『大いなる遺産』が素晴らしくて!

この監督は緑が大好きなようで、どの映画を見てもとにかく緑の使い方が美しいのだが、 『大いなる遺産』では登場人物が緑を着て登場する。

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グウィネス・パルトロー、瞳と衣裳の色が同じ。きれい…。

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様々なトーンの緑が、まるで春そのもの。

大いなる遺産 [DVD]

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 ディケンズの原作も、もちろん負けず劣らず面白い。

大いなる遺産 上 (河出文庫)

大いなる遺産 上 (河出文庫)

 
大いなる遺産 下 (河出文庫)

大いなる遺産 下 (河出文庫)

 

 

青春=人生の春。

『ミス・ブロウディの青春』

現代は『ミス・ブロウディの最良の時』というニュアンスなのだけれど、ブロウディ先生に「一流中の一流の女性」になるように教育された少女たちの思春期を描いた小説。

登場人物に対する風刺がなんともイギリス的。 

ミス・ブロウディの青春 (白水uブックス―海外小説 永遠の本棚)

ミス・ブロウディの青春 (白水uブックス―海外小説 永遠の本棚)

 

 

『わが青春の輝き』

子供の頃読んで、感想が言葉にならないほど感銘を受けた本。

オーストラリア人作家の自伝的小説。

主人公の少女シビルは貧しい両親のもとに生まれるが、10代になると裕福な祖母に引き取られ、新しい生活を始めることになる。傲慢な一面もあるものの素直でまっすぐな彼女は、ハリーという青年と出会い恋に落ちる。甘い生活、その後やってくる何年もの別離、果てしない喧嘩の末に、夢(作家になりたい)を追いかけたいから結婚はできないとハリーに告げるシビルだが…。

『風と共に去りぬ』のスカーレットに似た、熱い魂を持つ少女の物語。

わが青春の輝き (岩波少年文庫)

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  • 作者: マイルズフランクリン,一ノ関圭,Miles Franklin,井上章子
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2018年春の新作リスト

に関するページがpopsugarにあったので、ご紹介。

www.popsugar.com

みなさま、花粉症に負けずに春もhappy reading! 

 

夏、秋、冬のリストはこちらです。

(自分で読んだ本しかリストにしていないので)折に触れアップデート中。 

www.tokyobookgirl.com

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