トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

冬に読む海外文学 13冊

「夏」と「秋」のリストを作ったのに、「冬」は駆け足で過ぎ去ってしまい…。

今更だが、長く暗い冬に読むのにうってつけの海外文学をリストにしてみた。

 

 

『貧しき人びと』

厳しい寒さの中で生まれたロシア文学は、ぜひこの季節に味わいたい。

役人マカールと薄幸の美少女ワーレンカの間に交わされる書簡からは、貧困にあえぐ苦しみだけではなく、日常のかすかな喜びやお互いへの思いやりが感じられ、それはまるで晴れた冬の日に見つけた温かな光のよう。

短めなので、ドストエフスキー初心者の方にもおすすめである。彼の作家人生の初期に書かれたこともあり、社会文学ではあるものの情緒的で読みやすい。

貧しき人びと (新潮文庫)

貧しき人びと (新潮文庫)

 

 

『ドクトル・ジヴァゴ』

ノーベル賞作家ボリース・パステルナークによる長編小説。

ロマノフ王朝が終わりを告げ、ロシア革命が始まろうとしているモスクワ。主人公・ユーリ・ジヴァゴは学校を卒業し医師となったばかり。ある日、自身の婚約を発表するパーティーに若い娘が乱入し、客の一人を銃で撃ってしまう。娘の名前はラーラ。

二人は別々の相手と結婚するものの、人生の節目節目で巡り会い…革命や戦争の中でも死なない愛を描いた物語。 

読み応えがあるので、冬じゅう楽しめること間違いなし。

ドクトル・ジヴァゴ

ドクトル・ジヴァゴ

  • 作者: ボリースパステルナーク,イリーナザトゥロフスカヤ,工藤正廣
  • 出版社/メーカー: 未知谷
  • 発売日: 2013/03/14
  • メディア: 単行本
  • クリック: 7回
  • この商品を含むブログ (6件) を見る
 

 

続いては、タイトルに「冬」が入る小説をいくつか。

『冬の夜ひとりの旅人が』

「あなたはイタロ•カルヴィーノの新作『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている」という、出だしの文章が有名な一冊。パラレルワールドがいくつも繰り広げられる。

読書の喜び、面白さをじっくり噛み締めることができる。 

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス)

 

 

『冬の犬』

カナダ東部、ケープ・ブレトンが舞台の短編集。

氷に閉ざされ、1年のほとんどが厳しい寒さに覆われたような地域での人間と動物の物語。読んでいるだけで、髪の毛や涙まで凍ってしまいそう。

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

  • 作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/01/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 4人 クリック: 56回
  • この商品を含むブログ (68件) を見る
 

 

『マヨルカの冬』

ジョルジュ・サンドが、ショパンと過ごしたマヨルカでの冬についてのエッセイ(ノンフィクション)。恋人の体調が悪く、マヨルカは思いの外寒い。終わりも見えている恋が物悲しい。

マヨルカの冬

マヨルカの冬

 

 

『冬の夢』

冬の寒さ厳しいアメリカ東部をモチーフにした短編集。

「氷の宮殿」は、暖かなアメリカ南部の娘が北部の青年と結婚し、北部を訪れる物語。あまりの環境や人間性の違いに彼女は驚き、カルチャーショックを受ける。そして青年の街で訪れた氷の宮殿では、あっと驚くような出来事が…。

村上春樹翻訳ライブラリー - 冬の夢

村上春樹翻訳ライブラリー - 冬の夢

 

 

1年の半分は雪が降りしきる地方も多い国、カナダ。カナダ文学もぜひこの季節に。

『キャッツ・アイ』

トロントで少女時代を過ごした女性アーティスト(画家)が、大人になってから仕事の関係でその地に戻り、子供の頃の友人に思いをはせるという物語。

いじめなどに見る少女の残酷性や、それが人生にどう影響するかということを考えさせられる。

トロントの冬、凍った池での出来事が印象的。 

キャッツ・アイ

キャッツ・アイ

  • 作者: マーガレットアトウッド,Margaret Atwood,松田雅子,松田寿一,柴田千秋
  • 出版社/メーカー: 開文社出版
  • 発売日: 2016/12
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

『犬の人生』

詩人、マーク・ストランドが書いた幾分詩的な短編集。ストランドはアメリカ人だが、カナダ生まれ。カナダの都市もいくつか登場する。

コーヒーとドーナツにとても合う、気がする。

犬の人生 (中公文庫)

犬の人生 (中公文庫)

 

 

カナダ人作家、再び。マンローも、アトウッドに並び有名な作家である。

『ディア・ライフ』

音も無く深々と雪が降り積もり、翌朝起きたら家の窓は一面銀世界になっていた…というような静かな驚きに満ちた短編集。

静かに凍るトロントの道路も、美術館も、田舎の風景もなんということはないのに美しい。

タイトル通り、人生そのもののよう。なんでもない日々の暮らしに潜む驚きや感動を綴った作品。

ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス)

ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス)

 

 

『誕生日の子どもたち』

「クリスマスの思い出」は毎年クリスマスの時期が来ると読み返す物語。

鼻の奥がつーんとなるようなお話。

主人公は読者に「想像してみてほしい」と呼びかける。20年も前のクリスマスのこと。

おばちゃんとぼく、犬のクウィーニーが一緒に過ごした最後の日々。

ケーキを作り、ツリーを飾り、凧をプレゼントし合うだけなのに、2人と1匹のクリスマスは今でも思い出の中できらめく。

ニューヨークという都会に暮らし、時代の寵児となってもカポーティの心が帰って行く場所はいつだって南部の田舎町だったのだろう。そんなことを想像してしまう物語である。

誕生日の子どもたち (文春文庫)

誕生日の子どもたち (文春文庫)

 
クリスマスの思い出

クリスマスの思い出

 

  

『寒い国から帰ってきたスパイ』

冷戦時のイギリス。イギリスの情報機関・秘密情報部で勤務するリーマス。

東側諸国と戦っているはずなのに、いつしか自身の仕事が民主主義的であるとは言えないと気づいてしまう…。個人と組織、仕事と恋愛、イギリスの諜報機関と共産主義。

それぞれの拮抗が彼を悩ませ続ける。少しくたびれたスパイ像は、『007』とは一味違ってリアル。

寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)

寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)

 

 

『ペルセポリス: イランの少女マルジ』

1979年にイランで起こったイスラム革命以降続いた、イランにとっての「冬の時代」を少女の視点から描くB・D(バンド・デシネ、フランスの漫画)。

ユーモアを失わない家族の愛に囲まれて育ったマルジは、イスラム革命後、自身や母、周りの人びとの自由が奪われていくことを感じる。そしてオーストリアに留学(脱出)することが決まるが…。

ペルセポリスI イランの少女マルジ

ペルセポリスI イランの少女マルジ

 

 ちなみに続編では、ウィーンで寒い寒い冬を経験するマルジの姿も描かれている。

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

 

 

『キャロル』

冬の寒いニューヨークを舞台に、キャロルとテレーズという二人の女性の運命の恋を描く。デパートでの出会いのシーンがなんとも印象的でアメリカ東部的。 

結末は予想外で、ある意味衝撃的。春の訪れを感じさせる。

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

 

 

『シャイニング』 

新装版 シャイニング (上) (文春文庫)

新装版 シャイニング (上) (文春文庫)

 
新装版 シャイニング (下) (文春文庫)

新装版 シャイニング (下) (文春文庫)

 

こちらは、ぬくぬくとお家で過ごす時に読みたい作品。スティーブン・キングのホラー作品は陰鬱な天気の日に、安全な場所で読んだらより楽しめるような気がする。

舞台はマイナス25度という極限の寒さ、積雪に閉ざされたコロラドの山の奥に位置するホテル。一冬の管理人として作家とその家族(妻と息子)がやってくるのだが、ホテルは悪名高き幽霊屋敷だった…。

 

ELLEが選ぶこの冬読みたい小説

も素敵なものばかりだったので、リンクを貼ります。 

www.elle.com

 

春と夏と秋のリストはこちらです。

www.tokyobookgirl.com

www.tokyobookgirl.com

www.tokyobookgirl.com

 

春はすぐそこ。みなさま、happy reading!

保存保存

保存保存保存保存保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存