(エンジェル・キャットバード)
『侍女の物語』の続編となるThe Testamentsだが、ついにAmazon上でも装丁を見ることができるようになった。侍女のシンボルカラー・赤ではなく、紺に明るい緑を効かせたデザイン。
The Testaments (The Handmaid’s Tale)
- 作者: Margaret Atwood
- 出版社/メーカー: Chatto & Windus
- 発売日: 2019/09/10
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログを見る
これはこれで楽しみにしつつ、待っている間に過去の彼女の作品を再読したりする予定。具体的には私が初めて読んだアトウッド作品Bodily Harm(こちらは未だに日本語訳なし)と、The Blind Assassinの日本語訳『昏き目の暗殺者』(こちらは英語でしか読んだことがない。タイトルからして、秀逸だなあ……美しい……)を読むつもり。
さて、アトウッドが原作?脚本?を担当したグラフィックノベル、Angel Catbirdの一巻をようやく読んだので、今日はこちらの感想を。
Angel Catbird Volume 1 (Graphic Novel)
- 作者: Margaret Atwood,Johnnie Christmas,Various
- 出版社/メーカー: Dark Horse Books
- 発売日: 2016/09/06
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログを見る
グラフィックノベルという分類にはなっているものの、バリバリのアメコミといった趣。それもそのはず、アトウッドはウンベルト・エーコと同じく幼少時にアメコミを愛読していたらしい。
Why is a nice literary old lady like me-an award-winning nice literary old lady-a nice literary old lady who should be resting on her laurels in her rocking chair, being dignified and iconic-why is such a nice old lady messing around with flying cat-owl superheroes and nightclubs for cat people, not to mention giant rat men? Strange.
But I myself don't find it very strange. I was born in 1939, and was thus of a reading age when the war ended and colour comics made a booming comeback. Not only did I read masses of comics in magazine form, I could encounter many of the same characters in the weekend newspapers, which had big spreads of colour comics.
特にスーパーヒーローものが大好きで、自身も漫画を書いていた(!)とのこと。何年も猫を飼っているうちに、猫が捕まえてくる鳥にも興味を持つようになり、理系一家に育った影響もあって少し科学的なネコやフクロウが登場するスーパーヒーロー物を作り上げたくなったのだとか。
そして「1940年代カナダのスーパーヒーロー漫画を復活させる」というクラウドファンディングがKickstarterで行われていることをTwitterで知り、代表者に声をかけAngel Catbirdの原案を持ち込んだというのだから、ある意味これほどの大御所らしからぬエネルギーや熱意、ひたむきさには驚くばかり。
イラストを担当しているのはJohnnie Christmas(作画)とTamra Bonvillain(カラーリング)で、なんとも昔懐かしいアメコミの世界が楽しめる。
主人公はとあるラボで働いている男性で、自身が調合した薬でネコとフクロウのDNAが混ざった「キャットバード」(ネコフクロウ人間)に変身してしまう。
ネコ人間の世界に招き入れられ、美しい同僚がネコ女であることを知り、恋に落ちたり。ボスがネズミ男で、ネコ人間たちを滅ぼそうとしていることに気づいたり。そうこうしているうちに抗えない力によって、争いに巻き込まれていく。
というなんともベタな物語なのだけれど、これまた名前までベッタベタなキャラクターたちが個性豊かで楽しめる。アクションあり、ミステリーあり、ラブストーリーありで映画になっても楽しそうだし、「マッドアダム(MaddAddam)」のScalesというナイトクラブのシーン(踊子たちは鱗や羽根をまとい、鳥のような姿をしている)も、アトウッドの鳥への羨望から生まれたのだなと実感した。
さて、Angel Catbirdは三冊完結で、セットが販売されているので今購入するならこちらの方が良さそう。
- 作者: Margaret Atwood,Johnnie Christmas,Tamra Bonvillain
- 出版社/メーカー: Dark Horse Books
- 発売日: 2018/10/16
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
アトウッドは続けてWar Bearsという別のグラフィックノベルも発表していて(こちらもアメコミのよう)こちらも好評のようす。
War Bears #1 (English Edition)
- 作者: Margaret Atwood
- 出版社/メーカー: Dark Horse
- 発売日: 2018/09/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ちなみにアトウッドといえば、今Creative WritingのオンラインクラスをMasterclassにて受け持っている!!
レッスンは全てオンライン、全23回でレッスンプランも下記URLから参照可能。
このプランが魅力的すぎる。特に4回目のStructuring Your Novel: Layered Narratives and Other Variationsとか、8回目のCreating Compelling Charactersとか、今すぐにでも受けてみたい!
どうしても創作がしたいという訳ではない私ですが、これは読書時にも役立ちそうだし(仕事がもう少し落ち着いたら)受講してみたいなとウズウズしている始末……。体験したら、またレポを書きたいと思う。
それではみなさま、今週もhappy reading!