[Pride and Prejudice]
21世紀に生きる私たちをもとりこにするジェーン・オースティン作品。もちろん最も有名なのは『高慢と偏見』だろう。何度となく映画化&ドラマ化され、その度に人気を博している。
- 作者: ジェーンオースティン,Jane Austen,富田彬
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/07/01
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- 『高慢と偏見』あらすじ
- Eligible
- 『ブリジット・ジョーンズの日記』
- 『高慢と偏見とゾンビ』
- Epic Fail
- 『高慢と偏見、そして殺人』
- 1932
- Definitely, Maybe in Love
『高慢と偏見』あらすじ
田舎町ロンボーンに暮らすベネット家の子供は女ばかり、5人姉妹。女性には財産相続権がないため、父親であるベネット氏が亡くなると遺産は全て遠縁の従兄弟の手に渡ることになる。ベネット氏は特に気にしていないものの、妻のベネット夫人はどうにか娘たちをいい家庭へ嫁がせようと必死になっていた。
そこへ独身の資産家男性ピングリーが町にやってきて、長女ジェーンといい関係になる。ピングリーの友人で気難し屋のダーシーは、次女エリザベスに惹かれるものの、ベネット家が自分よりも格下であるということもあり、その気持ちとは裏腹に彼女を馬鹿にしたような高慢な態度を取ってしまう。エリザベスはそんなダーシーに反感を抱く。
しかし、財産や結婚にまつわる事件が次々と起きる中、エリザベスはダーシーに惹かれてゆき、彼に対して偏見を持っていたのだと悟るのだった……。
時はイギリス18-19世紀、女性の人権はほとんど無視され、財産相続権は男性にしかない。どれほどお金持ちの家庭に生まれても、お金持ちの男性と結婚しないと一文無しになってしまうということで、今よりさらに結婚=お金という結びつきが強かった時代。賢く、自由で、男性に媚びず生きるエリザベスは、読者の目にどれほど新鮮に映ったことだろう。この元祖ラブコメ的小説は、現代でも私たちを惹きつけてやまない。
さて、今日は『高慢と偏見』にインスパイアされた小説・アダプテーションを調べてみた。というのも、書店をウロウロしている時にこの本を見つけたから!
Eligible
こちらは現代アメリカ版『高慢と偏見』だそう。リズ・ベネットは30代後半の雑誌記者。ヨガインストラクターの姉ジェーンと、ニューヨークに住んでいる。父親の体調悪化に伴い故郷のシンシナティに帰ると、生まれ育った家は荒れた状態にあった。妹のキティとリディアはパレオダイエットやらクロスフィットワークアウトやら外見を磨くのに夢中で、働いていない始末。ジェーンの40歳の誕生日も目前に迫り、母親は独身5人姉妹をどうにか片付けようと必死になる。
そこへ、町に引っ越してきたばかりのチップ・ビングリーというイケメン医師が現れる。彼はテレビ番組 Eligible(結婚相手にふさわしいという意、おそらく『バチェラー』的番組)に出演したこともあるほどの独身貴族。チップとジェーンは良い仲になり、リズはチップの友人ダーシーを紹介される。しかし第一印象は最悪で……。登場人物の名前がそのままなのが良い!結婚平均年齢が上がった現代では、主人公の年齢も上がり、主人公らの抱える悩みも現代アメリカ的。まだ読んでいないのだが、面白そう。
これを見て、『高慢と偏見』のアダプテーションって本当にひっきりなしに出てくるなあと実感した次第。ちょっと頭を巡らせるだけでも、こんなに。
『ブリジット・ジョーンズの日記』
一大ヒット作は言わずもがな『ブリジット・ジョーンズの日記』。ブリジット・ジョーンズはロンドンの出版社に勤める32歳。エリザベスは姉妹に囲まれていたが、ブリジットは愉快な女友達(&ゲイ友達)と独身生活を楽しんでいる。もっぱら、テレビで見ているドラマ版『高慢と偏見』のダーシーや、チャラい上司ダニエルに夢中になる日々。
あるクリスマス、実家でマーク・ダーシーという男性に出会う。彼は弁護士だが、着ているトナカイ柄のセーターがダサすぎて話す気にもならない。ところがその後、マークを見直す出来事が次々と起こり……。
ブリジットのダサくてドジで、イケてないところが本当に可愛い。まさに等身大のヒロイン。
映画の素晴らしいところは、作中でブリジットがはまっているテレビドラマ『高慢と偏見』にダーシー役で出演していたコリン・ファースが、マーク・ダーシー役で出演したところ!
レニー・ゼルウィガーの大幅増量&impeccableなイギリスアクセントに見る女優魂にも注目。続編はこちら。
『高慢と偏見とゾンビ』
18世紀末のイギリスでは、謎の疫病が蔓延し死者がゾンビとなり人間を襲っている。ベネット姉妹は少林拳を習い、戦士になろうと悪戦苦闘している。そこへ近所に資産家ビングリーが引っ越してきて、友人ダーシーとともにベネット家を訪問する。姉妹の中でも一番の戦士であるエリザベスは、高慢なダーシーにいい印象を抱かなかったが……。なんと流行のゾンビがまさかの『高慢と偏見』と華麗なマッシュアップ。
Epic Fail
こちらはYA小説。"Epic Fail*1"とは大失敗の意味で、若者が大失恋をしたりゲームで惨敗した時なんかによく使う言葉である。
舞台はロサンゼルス。デレクとエリーズは、セレブなエリートだらけのハイソな高校に通う少年少女。親の名前や職業で全てが判断されるような高校で、ハリウッドの大物俳優の息子デレクは王子様のように崇められている。一方、エリーズは新しい校長の娘だからこの学校に入ったものの、皆に馬鹿にされランチを食べる友人もおらず大変な目にあっている。ある日、エリーズの美しい姉がデレクの友人の目に止まり、エリーズとデレクも一緒に時を過ごすようになる。デレクに興味がないエリーズは冷たい態度を取り続けていたが……。
『高慢と偏見、そして殺人』
エリザベスとダーシーが結婚してから6年が経過した。2人が住むお屋敷では平和な日々が続いていたが、ある嵐の夜、一台の馬車が森を抜けてお屋敷へ暴走してくる。馬車に乗っていたのはエリザベスの妹リディアで、恐怖から半狂乱状態に。お屋敷の人々が森へ駆けつけると、そこには死体が。そしてその横にはリディアの夫ウィッカムが呆然と佇んでいた。ウィッカムはその後逮捕され、事件は法廷へ……。というミステリー仕立ての、いわば続編。本編では解決されなかった家族の課題が解決されるので、『高慢と偏見』ファンにも好評のよう。
高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: P・D・ジェイムズ,羽田詩津子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: ハードカバー
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1932
時代は1932年、アメリカの中西部。エリザベスは大学教授の父を持ち、裕福な家庭に生まれ育った。しかし経済危機の影響で家族は一気に貧困家庭となる。階級差別や貧困に苦しみながら、エリザベスが見つけた恋とは……。
18世紀末のイギリスがいかに階級社会で、女性蔑視だったかということが『高慢と偏見』からは読み取れるが、「いやいや、1930年代のアメリカも十分大変だったから!」という作者のアイディアから生まれた小説とのこと。
Definitely, Maybe in Love
スプリング・ハニーカットは卒論と格闘している大学生。ある日、教授が彼女の論文を出版できるかもしれないと持ちかける。しかしそれには条件があるらしい。「なんでもします」と答えるスプリングだが、その条件とはヘンリー・ナイトリーとパートナーシップを組んで発表すること、だった。ヘンリーは大金持ちのおぼっちゃま。第一印象は最悪で、意見も正反対のことが多い。彼に内心惹かれつつも、つんけんした態度をとるスプリング。しかしひょんなことからヘンリーの優しさに触れたスプリングは……。落ち込んでいる時に読んだら元気をもらえそうな一冊。
Definitely, Maybe in Love (Definitely Maybe series)
- 作者: Ophelia London
- 出版社/メーカー: Entangled: Embrace
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: Kindle版
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そして以前ブログに書いたCrazy Rich Asiansにも、『高慢と偏見』のオマージュとおぼしき箇所がいくつも出てくる。
いつの時代も大人気の『高慢と偏見』。アダプテーションも全て楽しく読めそうです。それではみなさま、happy reading!
*1:Epicはもう乱用されすぎていて、全然epicではなくなりつつありますね。最近では「すごい」くらいの意味しかない言葉になっています。