トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

The Early Stories / トルーマン・カポーティ

(ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短編集) その名の通り、カポーティの初期の作品が収録された短編集。ニューヨーク公共図書館のアーカイブの中から発見され出版の運びとなったらしい。初期とはカポーティが10〜20代前半の頃を指すそうで…

『ラ・カテドラルでの対話』マリオ・バルガス=リョサ: 実験的な長編小説

[Conversación en La Catedral] 「ラテンアメリカの文学」シリーズで1984年に出版されていたリョサの『ラ・カテドラルでの対話』。2018年にめでたく岩波文庫から新訳が登場した。ということで、年末年始はこの一冊と濃密な時間を過ごすことができて満足して…

トーキョーブックガールの読みたいリスト 2019年の新刊

みなさま、あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。 早速ですが、今年の新刊で読みたいなと考えている作品をピックアップ。個人的なTBR(to be read)リストです。発売日順。 洋書(英語) Unmarriageable / Soniah Kamal Black …

2018年と2019年のReading Challenge(リーディングチャレンジ)

さて、今年もリーディングチャレンジを振り返る時がやってきました! 今年は簡単な目標を設定していたので、珍しいことに全部達成できていた。ちなみに毎年1ヶ月に1つを目安に、12個チャレンジを作っている。 2018年のReading Challenge 舞台や映画の原作を…

The Friend(『友だち』) / シーグリッド・ヌーネス

(友だち) 今年の全米図書賞受賞作品(フィクション部門)。 長年の友人が自殺した。残された妻(三人目の妻である)と会うと、犬を引き取ってほしいとお願いされる。もともと友人が拾ってきた犬で、犬好きでない妻は世話をしきれないのだという。それも、…

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン(市田泉・訳)

[We Have Always Lived in a Castle] 恐怖小説の女帝的存在のシャーリイ・ジャクスンによる『ずっとお城で暮らしてる』が、映画化(アメリカでは2019年5月公開予定)ということで、原作を再読した。 ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫) 作者: シャーリィ…

宝塚の原作を読んだログ 海外文学編

個人的な備忘録として、宝塚歌劇の原作となった海外文学の読書歴・感想をまとめてみた。 随時更新しています。 []内は宝塚で上演した際のタイトル、上演した組、最新の上演年。 『グレート・ギャツビー』 『ほんものの魔法使』 『ロミオとジュリエット』 『…

Lincoln in the Bardo / ジョージ・ソーンダーズ

(リンカーンとさまよえる霊魂たち) Lincoln in the Bardo: A Novel 作者: George Saunders 出版社/メーカー: Random House 発売日: 2017/10/16 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る この作品が出版された時、空見でタイトルをLincoln in …

『ぼくを燃やす炎』マイク・ライトウッド

[El fuego en el que aldo] 先日Frankenstein in Baghdadの記事をあげたら、Twitterで作者のAhmed Saadawiさんがリツイートしてくださって、びっくりした(Twitter、あまり見ないのだけれど、記事アップだけはブログと連携させている)。アラビア語で執筆さ…

『フランケンシュタイン』と『メアリーの総て』とFrankenstein in Baghdad(『バグダードのフランケンシュタイン』)

(バグダードのフランケンシュタイン) 大人になってから初めて『フランケンシュタイン』を読み返した。 子供の頃は、この話について、まあなんと理解できていなかったことか! 今だって理解できているのかと言われれば疑問が残るが、幼い時分はどこまでも追…

『スピン』 ティリー・ウォルデン

[Spinning] ワルツジャンプ 最初に習ったジャンプのひとつ 片足を振りあげた勢いで 体が持ち上がる感覚を今でも覚えている 女子ロッカー室に充満する汗や香水の匂い、スケートリンクのひんやりとした空気とどこまでも続く氷の静けさが目の前に広がるかのよう…

Las Manos Pequeñas / アンドレス・バルバ

(小さな手) 最近、アンドレス・バルバ(Andrés Barba)にはまっている。なんと、先日のヨーロッパ文芸フェスティバルで来日していたのですね。しかもヨーロッパハウスで講演していたのか〜! どのみち、この日は行けなかったのだけれど、是非話を聞いてみ…

『白痴』ドストエフスキー

[Идиот] この秋は、日本中に『白痴』を読んでいる人がいるのだろうなあと思いを馳せずにはいられない! 光文社古典新訳文庫で『白痴』の1巻が出てからはや数年、ついに最終巻が発売になったのだから。 光文社の亀山郁夫さんによる『カラマーゾフの兄弟』を読…

2018年のギラー賞はWashington Black

すっかり遅くなってしまったけれど、11月19日に発表されたカナダの文学賞・ギラー賞を受賞したのはEsi EdugyanによるWashington Blackでした。まだハードカバーしか出版されていおらず、ペーパーバックは予約受付中(来年の4月)。 Washington Black: Shortl…