トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

イギリス文学

Exit West / モーシン・ハミッド: イスラム文化圏の難民事情・ミーツ・村上春樹なのか

(西への出口) 2017年のブッカー賞にノミネートされていた、この小説。 読んでみたいと書いてから半年経ってしまったが、ようやく読んだ。Penguinのカバーも素敵。オレンジのイスラム建築のドアの向こうに西洋の都市(ロンドン)が見えるというもので、まさ…

グレアム・グリーンの『情事の終り』と、江國香織 

[The End of the Affair] 『情事の終り』というタイトルから、いろいろと考えてしまった。原題は"The End of the Affair"。邦題もとても素敵。 情事の終り (新潮文庫) 作者: グレアムグリーン,Graham Greene,上岡伸雄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/…

34年後の『一九八四年』

[1984] ニュースは政府の見解を垂れ流し、一般市民の監視は警察の主要な活動となり、理性的な操作や差し押さえといったものは今やジョークに過ぎない。そんな例は枚挙にいとまがない。「ああ、政府が<ビッグ・ブラザー>に変わっちまった。オーウェルの予測…

Far Eastern Tales / サマセット・モーム

この夏の旅行のお供はサマセット・モームのFar Eastern Talesだった。Vintage Classicsの表紙もどことなくオリエンタル。 Far Eastern Tales 作者: W. Somerset Maugham 出版社/メーカー: Vintage Classics 発売日: 2000/07/25 メディア: ペーパーバック こ…

『高慢と偏見』はインスピレーションの泉

[Pride and Prejudice] 21世紀に生きる私たちをもとりこにするジェーン・オースティン作品。もちろん最も有名なのは『高慢と偏見』だろう。何度となく映画化&ドラマ化され、その度に人気を博している。 高慢と偏見〈上〉 (岩波文庫) 作者: ジェーンオーステ…

『テンペスト』 シェイクスピア(松岡和子・訳)

[Tempest] シェイクスピアは謎に包まれている。 ストラトフォード・アポン・エイヴォンで革手袋商人の息子として生まれ育ち、18歳の時に26歳の女性アン・ハサウェイと結婚。 その後ロンドンへ出て、空白の数年間ののち、俳優兼劇作家として名をはせるように…

『アリーテ姫の冒険』 ダイアナ・コールス

[The Clever Princess] Beauty Mythについて書きながら、この本を思い出したので今日はアリーテ姫について書いてみたいと思います。 物心つくかつかないかという頃から本が大好きだった私。 でも、読書に対する情熱を絶やすことなく今まで生きてきたのは、い…