トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

ゼルダ・フィッツジェラルドについて

私の今年のReading Challengeの1つは、F・スコット・フィッツジェラルドの書いたもの(エッセイや手紙を含む)を読み尽くすことである。

だが、読んでいると色々と派生して気になることや読みたいものが出てきて、なかなか思うように進みまない。

読書あるあるですね。今はゼルダ・フィッツジェラルドによる Save Me the Waltz(邦題は『ワルツは私と』)を読んでいる。

これは、This Side of Paradise(楽園のこちら側)を読んで、どうしても読みたくなってしまったもの。 

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 This Side of Paradise はフィッツジェラルドの半生を描いた自伝的小説。

そして Save Me the Waltz はゼルダの書いた、彼女の自伝的小説なのだ。同じエピソードをゼルダの視点から読みたいという気持ちで、手に取った。

なんと執筆当初、ゼルダは主人公が恋して結婚することになる男性をAmory Blaine(エイモリー・ブレイン)という名前にしていたそう! Amoryとは、そう、This Side of Paradiseの主人公の名前。これは出版前に本作を読んだフィッツジェラルドが難色を示したため別の名前に変更となったそうだが。

まだ読書途中なので感想は別途綴ることにして、今日はゼルダについて書いてみたいと思う。

 

フィッツジェラルドのミューズ、ゼルダ・セイヤー

アラバマ・モンゴメリーという南部の町出身のゼルダ。

少女の頃からその美しさと大胆な行動は町の噂の的だったという。

色々な男性と出歩き求婚され、若さを謳歌していたゼルダだったが、20歳の時にフィッツジェラルドと結婚。その後はニューヨークへ移り、フィッツジェラルドの小説がベストセラーとなったこともあり、一躍有名人となる。

戦争が終わり、騒がしいパーティーに明け暮れる若者でニューヨークが元気になった狂騒の1920年代、ジャズ・エイジの真っ只中で奔放な生活を送るフィッツジェラルドとゼルダはセレブリティという地位に押し上げられる。

ゼルダは特に、『楽園のこちら側』のヒロインのモデルとして人々の憧れの存在になり、"flapper(フラッパー、新しい女性たち)"という社会的現象の中心に。

しかしお金の管理が苦手なフィッツジェラルド&ゼルダはその日暮らしを続け、貯金も底をついてしまう。

子供が生まれたこともあり節約を兼ねて住居をフランスに移すが、それも二人に平安をもたらしてはくれなかった。双方の浮気もあり、夫婦関係は冷え切ったものへ。

フィッツジェラルドも元々酒飲みだったのがアルコール依存症にまでなり、彼の執筆中孤独をもてあましたゼルダは、ついには精神分裂病を発症。

1930年にはサナトリウムに入院し、その後アメリカへ帰るものの病院での暮らしを続ける。1948年、病院での火事が原因でゼルダはその短い生涯を閉じることとなる。

と、波乱万丈でとても幸せとは言えないような人生を送ったゼルダ。

フィッツジェラルドの執筆を邪魔し、無駄遣いを重ねて破滅に追い込んだ悪妻として名高いゼルダ。

それでも、フィッツジェラルドの小説の中の彼女(をモデルにしたヒロインたち)はとても美しく可憐で、ユーモアのセンスと生命力にあふれて…非常に魅力的である。

 

This side of story-ゼルダの視点

最近はフィッツジェラルドがゼルダの日記や言動から、小説のインスピレーションを受けたということが明らかになってきた。

それにより実際のゼルダはどのような人物だったのかというところにフォーカスした本が多く出版されているし、ゼルダを主人公とした映画やドラマも作られている。

2016年にも"Zelda"という映画を作るプロジェクトがあり、スカーレット・ヨハンソンとジェニファー・ローレンスが主役を射止めようと争っている……という記事があった。その後どうなったのか分からないのだが、是非映画館で観たい!

www.hollywoodreporter.com

いや〜おふたりとも美しく才能豊かな女優さんなので、どちらになるにしても楽しみ♡顔だけ見るとジェニファーの方がゼルダには似ているかなあ?

ただ、おふたりとも南部出身者ではないのです。ジェニファーはケンタッキー州出身、スカーレットにいたってはニューヨーク出身。

「ヤンキー(北部出身者、ニューヨーカーなど)には南部の者の気持ちは永遠に分からないと思う」なんて言っているゼルダなのに?

もちろん、アクセントも含めて素晴らしい演技をされるんだろうなとは思うのだが、ここは南部出身の女優さんにやっていただきたいなあという気持ちも否めない。

 

ゼルダのイメージ

私の個人的な意見だと、リース・ウィザースプーン!!

ルイジアナ州出身。北米では、南部出身の女優として一番に名前があがるのは今でもやっぱりリースだと思う。

可愛くて、お茶目で、優しく、男前なところもあり……まさにsouthern belle。

まあ40歳ですし(全然! 見えないですけど!)、南部にまつわる映画=リース、という感じのキャスティングが非常に多くあるので、この上ゼルダを演じるということはないのかなあ。

 これ(『メラニーは行く!』)なんかもそうだ。アラバマ出身のメラニーという女性キャスター役。訛りは完璧に棄て去りニューヨークで仕事をしているのだが、アラバマの男性から「お前のヤンキー(ニューヨーカー)ぶったところが嫌なんだよ!」とか言われたりして。

メラニーは行く! [DVD]

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 リースさんは、雑誌のインタビューなどでも南部愛を炸裂させていて、「y'all」とか言いまくったり、Draper Jamesというライフスタイルブランドのお店をなんと南部にだけ(!)作ったりしている。

お洋服も、ギンガムチェック多用で華やかなワンピース中心だったりして、南部的!

かわゆい♡

実店舗は南部に3店のみだが、オンラインショッピングは可能&日本にも配送してくれるとのこと。

www.draperjames.com

ご本人も北部出身の俳優ライアン・フィリップとご結婚されていたしね(のちに離婚)。若い頃のふたりなんて、まさにゼルダとフィッツジェラルドのイメージかも。

 

おすすめです!このドラマ

そしてそして、映画に先駆けてアマゾン・プライムでも『ゼルダ〜すべての始まり』がリリースされました。これも面白かったです!

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第1話はこちら。

ちょっと長くなるので、このお話はまた別の記事に。 

www.tokyobookgirl.com

 

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