トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

タカラジェンヌと読書

 コロナウイルスの影響で、観劇できなくなって久しい。春から夏にかけて観る予定だった演劇、ミュージカル、オペラなどなどがすべて払い戻しされた上に、予定していた散財(主に靴とバッグ)を取りやめたので、なんとカードの残高がマイナスになっていた。マイナスって! 初めて見たよ。

 そんなこんなで『GRAPH』、『歌劇』(どちらも宝塚歌劇団に関する雑誌)はさぞペラペラになってしまうに違いないと危惧していたのだが、両誌の編集者さんはさすが! いろいろな新しい企画で、宝塚ファンの気持ちをなぐさめてくれている。特に目を引いたのが、コロナ禍で読んだ本・観た映画などなどについてタカラジェンヌが語るという特集。映画はともかく、上演作品の原作以外の本について語られる機会などほとんどないので、すごく興味深かった。

 読書の特集があったのは、たまさまが表紙の『歌劇』6月号。 

歌劇 2020年 06 月号 [雑誌]

歌劇 2020年 06 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: 雑誌
 

 

 

タカラジェンヌと世界文学

 最近読んで気に入った本に、世界文学を挙げていたジェンヌさんは2人。

和希そらさん

『ワンダー』R・J・パラシオ
ワンダー Wonder

ワンダー Wonder

 

 作者名、訳者名(中井はるのさん)まで出して、「素敵な言葉がたくさん」とのこと。原作も読んで映画も観ていらっしゃる。 

 

縣千さん

『O・ヘンリー短編集』O・ヘンリー
O・ヘンリー短編集1

O・ヘンリー短編集1

 

 タイトルだけではどれを指しているのかわからないのだけれど、もしかして光文社古典新訳文庫のほうかな? 

 どこからどう見ても正統派男役の縣さん、お好きな作品もクラシック。

 

柚香光さん

『フィフティ・ピープル』チョン・セラン

[Updated: 2020-07-11]

 そしてなんと! 『歌劇』7月号では花組のコーナーで、最近読んだ本について花組ジェンヌさんたちが語っているのだけれど、新たなトップスター柚香さんはチョン・セランの『フィフティ・ピープル』を読んだとのこと。

 突然、新しい、しかも映画化もされていない作品が登場したので、忙しいタカラジェンヌさんがどうやって本を選んでいるのか、とても気になってしまった。

フィフティ・ピープル となりの国のものがたり
 

www.tokyobookgirl.com

 

読書傾向に注目しているタカラジェンヌ

暁千星さん

 暁千星さんは、普段から読んでいる本について話していることも多く、個人的に注目しているジェンヌさん! 前は確か俳優論に関する本を何冊か読んでいて(なんだったか失念……)、ものすごく勉強熱心な方なんだなと思った記憶がある。

 暁さんって入団時から超「路線」*1で、なんでもできるし華はあるし、向かうところ敵なし感があるので、ちょっと意外だったというか。

 今読んでいるのは以下の2冊だそうで、暁さんにすすめられると読みたくなってしまいますよね。

『落日』湊かなえ
落日

落日

  • 作者:かなえ, 湊
  • 発売日: 2019/09/02
  • メディア: ハードカバー
 

 

『あずかりやさん 彼女の青い鳥』犬山淳子
あずかりやさん 彼女の青い鳥 (ポプラ文庫)

あずかりやさん 彼女の青い鳥 (ポプラ文庫)

 

 

華優希さん 

『菜根譚』
菜根譚 (岩波文庫)

菜根譚 (岩波文庫)

 

 これもなんだか意外でびっくりしたけれど、華ちゃんのとんでもない演技力はこういう言葉を大切にする姿勢からきているのかもしれないと納得。 

 

上田久美子先生のおすすめ

 上田久美子先生にすすめられて読んでいる、という本をタカラジェンヌさんが披露することもよくあって、これも個人的に注目しているトピック。作品があれほど独創的で素晴らしい上田久美子先生のおすすめなんて、面白いに決まってる。

 『GRAPH』7月号では、星風まどかさんが「上田久美子先生に薦めて頂いた」として、読んでいる本を2冊紹介。なんでまどかちゃんにこの2冊をすすめたんだろう? 『犬が星見た』は『アナスタシア』に備えて、かな? いや、それならもっと他にもありそうだし……。『私の浅草』は読んだことがないので、早速読みたい。

『私の浅草』 沢村貞子

私の浅草 (暮しの手帖エッセイライブラリー)

私の浅草 (暮しの手帖エッセイライブラリー)

  • 作者:沢村貞子
  • 発売日: 2010/11/19
  • メディア: 単行本
 

 

『犬が星見たーロシア旅行』武田百合子

 武田百合子のエッセイはどれも素晴らしいけれど、『犬が星見た』は特に、彼女の独特の感性を手に取るように感じられて、好き。

新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫)

新版-犬が星見た-ロシア旅行 (中公文庫)

 

 

*1:トップスターになるべく育成されること。「路線に乗る」という。