[Le bleu est une couleur chaude]
わたし、レア・セドゥが大好きなんです。
『クレーヴの奥方』の現代版として撮影された映画『美しいひと』を観て、その魅力のとりこになってしまいました。
ルイ・ガレルのファンなので観ることにした映画なのに、気がついたらレアばかり追いかけてしまっている始末。
美しいだけではなく、とにかく瞳や唇が雄弁で、無言でも視線一つや唇の小さな動きだけで感情の揺れが分かるほど。稀有な女優だと思う。で、彼女の出ている映画はできるだけ観るようにしているのだけれど、まだ観ていなくて是非これから観たいと思っているのが『アデル、ブルーは熱い色』。ただ、原作のバンド・デシネと映画では登場人物の名前も結末も違うと聞いて、これは先に原作を読んでおこうと手に取った。
ブルーは熱い色 Le bleu est une couleur chaude
- 作者: ジュリー・マロ,関澄かおる
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (12件) を見る
フランス、1994年。高校生のクレモンティーヌは年上の男の子トマに誘われ、デートをすることになる。待ち合わせ場所に向かって歩いていると、明るいブルーの髪の毛をした女の人とすれ違う。その人のことがどうしても忘れられなくなったクレモンティーヌは、自身がレズビアンであることに気づくのだった。
その後偶然、水色の髪の女の人エマと再会したクレモンティーヌは、エマにサビーヌという長年の恋人がいると知りつつも関係を持つようになるのだが……。
現代がカラー、過去がモノクロで表現される世界。それは十代のクレモンティーヌの苦悩や焦燥感、絶望を表しているかのようでもある。モノクロの世界に生きていた彼女の目に飛び込んでくるのは「熱い」ブルーばかり。自分を偽らずに綴ることのできる大切なダイアリー、生まれて初めてクレモンティーヌのことが好きだと言ってくれた人・トマの着ている洋服、そしてエマの髪の色。
作者によるとブルーという色は単純に絵的な選択だったらしいが(巻末インタビュー参照)、「冷たい」はずの色が熱く感じられるようになるまでの過程が描かれていて良いし、赤い炎より青い炎の方が燃焼温度が高いということをふと思い出す。
人間を決して美化せずイラストにしているところ、表情がものすごく豊かなところが日本の漫画と大きく異なる点だ。そして、フランスらしい点でもある。フランス文学といえばやっぱり恋愛は外せない大きなテーマなわけで、バンド・デシネにおいても恋すること・愛することの喜びや哀しみが余すところなく表現されている。
ちょっと空気がすうすうし始めた、今の季節におすすめ。
映画も楽しみ!