トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

本を読んでいるときに、話しかけられるということ

こんにちは、トーキョーブックガールです。

宙組のお披露目公演は、『天は赤い河のほとり』なんですね!

きゃー、漫画買いに行かないと♪  子供の頃に一度読みましたが、その時は結構刺激的な内容でびっくりした覚えがあります。どういう舞台になるんでしょうか。

さて、夏休みは南の島でゆっくりしたと以前書いたのですが、その際すごくびっくりしたことがありました。

我々夫婦は、基本的に一歩もホテルから出ず、日がな一日プールサイドやお部屋でくつろぐことが好きなタイプです。というわけで、今年も本をたくさん持って旅立ったのですが、なんと! 海辺でも、プールサイドでも、紙の「本」を読んでいるのは我々だけだったのです。

皆何を読んでいるかというと、電子書籍。iPadやKindleで本を読んでいたのです。これには衝撃を受けました。たまたまかもしれませんが、去年までは(去年も同じところへ行ったので)紙の本を読んでいる人が大半だったように思います。書籍と電子書籍の割合は変わりつつあるのだなと改めて実感。

荷物もかさばりますから、重い本はパッキングしたくない。電子書籍であれば何冊でも読める! というのは分かります。

それでも仕事でPCを使い、目を酷使している日々から離れてヴァカンスとなれば、もう液晶画面は眺めたくないというのが私の正直な気持ちですが……。少数派なんでしょうか。

それはそうと、掲題について。

電子書籍が味気ないなあと思ってしまう個人的理由の一つに、「誰が何を読んでいるか」が全く分からなくなるというのもあります。

ちなみに日本ではブックカバーを使う人が多いので、そもそも分からないというのはありますが。

私は「本を読んでいるときに話しかけられる」、「気になる本を読んでいる人に話しかける」ことも読書の醍醐味だと思って育ちました。

そこから読書の幅も広がったり、新たな発見があったのです。

特に印象に残っている「話しかけられ本」をあげますと、、、

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Rosaura a las diez / Marco Denevi

アルゼンチン人作家によるミステリー。これは大学生の頃大好きだった本で、英語圏でもスペイン語圏でもたくさんの人に話しかけられました。私の人生の中で、話しかけられ率第1位の本。

「この本、すごく面白いよね〜!」、「私も学生の時読んだよ!」、「なんで英訳出ないんだろうね(映画化もされたことのある作品なのですが、英訳が出ていないのです)」などなど。

Rosaura a las diez

Rosaura a las diez

 

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The Wind-Up Bird Chronicle(ねじまき鳥クロニクル)/ 村上春樹

初めて読んだ村上春樹作品!

その文体(村上春樹は英語を意識して書いているので、英訳されても全く翻訳本だという感じがしない)に非常にびっくりしたのをよく覚えています。

日本だと上下巻に分かれていると思うのですが、英語はバーンと一冊。かなり分厚いので、行く先々で「そんな分厚い本初めて見た〜。あらすじ教えて」なんて言われたな……。 重いけれど、ペーパーバックの重さなんてたかがしれているし、どこへでも持ち運んでしまうくらい中毒性がありました。

The Wind-Up Bird Chronicle

The Wind-Up Bird Chronicle

 

 

Motherless Brooklyn(マザーレス・ブルックリン) / ジョナサン・レセム

出版されて間もない頃Indigo(本屋さん)であらすじを読んでいると、隣にいた人(多分同年代)が話しかけてきました。

「この本昨日まで読んでたんだけど、本当に面白いしめちゃくちゃオススメです! 主人公は○○な感じで、xxが△△しちゃうんだけど、それがすごくて……それで高速道路で……あ、ここまでしか言えない! これ以上言ったらネタバレになっちゃう!」と、かなり長く熱く語られたのです。笑

そんなに面白いのかな? と思って買って読んでみたら、本当にものすごく面白くて! 語ってくれた方に感謝しました。

Motherless Brooklyn: A Novel (Vintage Contemporaries)

Motherless Brooklyn: A Novel (Vintage Contemporaries)

 

この本は「ガーディアンの1000冊」にも選ばれていますし、日本語訳も出版されています。IT化が進みつつあった1999年にしか書けなかった小説ですね。

マザーレス・ブルックリン (ミステリアス・プレス文庫)

マザーレス・ブルックリン (ミステリアス・プレス文庫)

 

 

The Old Man and the Sea(老人と海)/ アーネスト・ヘミングウェイ

こちらの本を読んだのは社会人になってから、日本の新幹線の中。

たまたま神保町でかなり古い挿絵付きのものが手に入ったので読んでいると、隣に座ったおじいさんに話しかけられたのです。

「『老人と海』ですよね? それと全く同じ装丁のものを私も持っていました。懐かしいですね」と。聞くと、若い頃留学しており、よくヘミングウェイを読んでいたのだとか。1時間ほど、ヘミングウェイトークで盛り上がりました。

日本で読んでいる本について話しかけられたのは後にも先にもこれ1回のみ。珍しい体験だったので余計によく覚えています。

今でも『老人と海』を見ると、素敵な帽子をかぶってスーツを着込んでいたあのおじいさんのことを思い出します。

The Old Man and the Sea

The Old Man and the Sea

 

 

ちなみに

私がよく「話しかけた」のは、やっぱり日本人作家の本を読んでいる人でした!

2000年代の北米では、桐野夏生がすごく人気で、色々な都市で様々な年代の人が桐野夏生の小説を読んでいるのを目撃しましたね。

一番よく見かけたのは『OUT』でした。 評判もとてもよかったです。

Out

Out

 

 

それからもちろん村上春樹。最初の1冊として『ノルウェイの森』を読んでいる人が多かったような。

Norwegian Wood Movie Tie-In

Norwegian Wood Movie Tie-In

 

 村上春樹の本の表紙(英語圏)は『ノルウェイの森』あたりまでは「ザ・日本!」という感じの黒髪の女性の絵が描かれているものが多かったのですが、それ以降はコンテンポラリー作家だと認識されたのか、モダンなデザインが増えていった印象があります。

Kafka On The Shore (Vintage Magic)

Kafka On The Shore (Vintage Magic)

 

読書は大好きですが、本から始まる会話も大好きです。最近は読んだ本について誰かとお話しする機会があまりなくて、寂しい限りです(だからブログを始めたのですけれど)。

それではみなさま、今日もhappy reading!

 

 

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