こんにちは、トーキョーブックガールです。
なんと!「ミチコ・カクタニがThe New York TimesのChief Book Criticの職を離れる」というニュースが飛び込んできましたよ!
一抹の寂しさと時代の流れを感じます……。
言わずと知れた一大文芸評論家、1955年生まれのミチコ・カクタニ(角谷美智子)さんは62歳。
ということなので、これからは政治・カルチャーについての考察記事を楽しみに待ちましょう。
トランプ政権下ということもあり、色々とカクタニさんもお考えのところがあったのでしょうか。
でもやっぱり、彼女の文芸批評の載っていないThe New York Timesなんて、The New York Timesじゃないよ! と言いたくなってしまいます……。
ミチコ・カクタニはコネチカット生まれの日系アメリカ人。
お父さんが日本生まれ、お母さんが日系2世ということです。
イェール大学を卒業し、ワシントン・ポスト、タイム誌を経てニューヨーク・タイムズで勤務します。
1983年から38年もの間、文芸批評家として活躍を始め、ピュリツァー賞も受賞。
その辛口の批評は作家からも注目を集めました。
批評家=カクタニ、カクタニ=批評家という方程式が成り立つほど、文芸批評といえば、の人となったカクタニ。
とにかく手厳しいことで有名で、作家からは恐れられ、読者からは絶対の信頼を得ている存在。
英語ではto be Kakutanied(カクタニされる)なんて、言葉ができてしまうくらい。
ドラマ Sex and the Cityにもこの名前は出てきたので、覚えていらっしゃる方も多いのでは?
Season 5のEpisode 6 "Critical Condition(恋愛に関する悪いウワサ)"。
本を出版したキャリー。なんだか落ち着かない様子。
一緒にレビューを観ていた友人スタンフォードが話しかけます。
Stanford: "You're not enjoying the revue?"
Carrie: "Frankly, I'm more concerned about my own review in the Times."
Stanford: "Ohmigod, right, your book's reviewed this week. You must be excited."
Carrie: "More like terrified. Michiko Kakutani. She's the Times' book critic."
Stanford: "Oh, I thought you were suggesting an appetizer."
Carrie: "She's brilliant, and she's really tough."
Stanford: "And impossible to announce."
「今週タイムズに私の本の批評が載る〜、ミチコ・カクタニは素晴らしい批評家だけどすごくタフなのよね……」という、ソワソワなシーン。
「カクタニってアペタイザーの名前かと思った、発音難しすぎ〜」とスタンフォード。
そしてそして、肝心のカクタニによるキャリーのSex and the Cityの批評は……
A Very Sexy City:
"...all in all, I enjoyed spending time with Ms. Bradshaw's sharp, funny, finely-drawn world where single women rule, and the men are disposable."
というもの。
男を使い捨てる独身女性が君臨するブラッドショーの世界を楽しんだ、という感じ。これを見たキャリーはがっくり……。
「男を使い捨てるって、なに? 私そんな風に書いてない! 書いてないよね!?」と、朝っぱらからミランダに電話をかけ、同意を求める始末(ミランダは子供が生まれたばかりだし、弁護士だから朝は忙しいのに〜笑)。
ちなみに実際のカクタニの批評はも〜っとも〜っと辛辣ですので、これはかなり良い評価をされているということなんですけどね。
まあその前に、カクタニはいわゆるliterary fictionの批評家ですので、キャリーのエッセイ集の書評を掲載するということはないでしょうが。
それでもキャリーの後にエイダンと付き合った女性の出現などで、「私ってサイテーな女かも」思考に陥っているキャリーにはただただ辛いだけ。
あ〜、この場面を見返そうとして結局エピソードまるまる全部見てしまった私です。
やっぱり面白い。会話がwittyで素敵です。
ミチコ・カクタニの批評はこちらで読めます。
こちらはハイライト版!
必見です。