Esquireの記事"The Best Books of 2017 (So Far)"が面白かったです。まだ7月(記事が出た時点では6月)なのに「2017年のベスト本」って言っちゃうなんて、なんて気が早いんだ……。
Esquireは毎年20-25冊を、今年出版されたベスト本と題打って紹介しているようなのですが、今年はすでにいい本をたくさん見つけてしまったのでしょうか。Lucky for them! でも、私も「これは今年のベスト10に入るな」って考えながら読むタイプだから、その気持ちはよく分かる。
- The Destroyers: A Novel / Christopher Bollen
- The Ministry of Utmost Happiness: A Novel アルンダティ・ロイ
- The Answers / Catherin Lacey
- Magpie Murders アンソニー・ホロヴィッツ
- The Windfall / Diksha Basu
- We Are Never Meeting in Real Life.: Essays / Samantha Irby
- The Dinner Party: And Other Stories ジョシュア・フェリス
- 『女のいない男たち』 村上春樹
- Rich People Problems ケヴィン・クワン
- The Awkward Thoughts of W. Kamau Bell: Tales of a 6'4", African American, Heterosexual, Cisgender, Left-Leaning, Asthmatic, Black and Proud Blerd, Mama's Boy, Dad, and Stand-Up Comedian / W. Kamau Bell
- Startup: A Novel / Doree Shafrir
- Marlena / Julie Buntin
- The Book of Joan / Lidia Yuknavitch
- American War / Omar El Akkad
- Anything is Possible エリザベス・ストラウト
- The Rules Do Not Apply / Ariel Levy
- Exit West / Mohsin Hamid
- Celine: A Novel ピーター・ヘラー
- The Arrangement: A Novel / Sarah Dunn
- The Refugees / Viet Thanh Nguyen
- Lincoln in the Bardo: A Novel / ジョージ・ソーンダース
- Running: A Novel / Cara Hoffman
- Pachinko / Min Jin Lee
The Destroyers: A Novel / Christopher Bollen
『リプリー』のような小説みたいです。
The Ministry of Utmost Happiness: A Novel アルンダティ・ロイ

The Ministry of Utmost Happiness: A novel
- 作者: Arundhati Roy
- 出版社/メーカー: Knopf
- 発売日: 2017/06/06
- メディア: ペーパーバック
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デビュー作『小さきものたちの神』が世界的ベストセラーとなったインド人女性作家の新作。両性具有者として生まれたAnjumの目を通して語られるインドの社会についてのお話、だそうです。これは是非読んでみたい。
The Answers / Catherin Lacey
有名な俳優のガールフレンドのふりをしてくれと言われた若い女性の小説。現代的な物語なのでしょうか。
Magpie Murders アンソニー・ホロヴィッツ

- 作者: Anthony Horowitz
- 出版社/メーカー: Orion (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd )
- 発売日: 2016/10/06
- メディア: ペーパーバック
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アンソニー・ホロヴィッツによるミステリー。
The Windfall / Diksha Basu
インドとアメリカを舞台にした、multi-culturalコメディ。すでにテレビドラマ化が決定しているそう。
We Are Never Meeting in Real Life.: Essays / Samantha Irby

We Are Never Meeting in Real Life.: Essays
- 作者: Samantha Irby
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2017/05/30
- メディア: ペーパーバック
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動物病院で働いていた頃書いた自伝がテレビドラマ化された著者による超爆笑エッセイ、とのこと。
The Dinner Party: And Other Stories ジョシュア・フェリス

The Dinner Party: And Other Stories: Library Edition
- 作者: Joshua Ferris,Chris Kayser,Eliana Marianes,David Nelson,Zach Roe
- 出版社/メーカー: Blackstone Audiobooks
- 発売日: 2017/05/02
- メディア: CD
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フェリスによる短編集。The New Yorkerに掲載されたものだそう。
『女のいない男たち』 村上春樹

- 作者: Haruki Murakami,Philip Gabriel,Ted Goossen
- 出版社/メーカー: Knopf
- 発売日: 2017/05/09
- メディア: ハードカバー
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村上春樹の『女のいない男たち』も入っています。翻訳はPihilip Gabrielさん。最近の村上作品はJay RubinさんやAlfred Birnbaumさんではなく、この方が翻訳されることが多いみたいですね。
妻や彼女に去られ、人生の折り返し地点に一人きりで立つ男たち。短編としては村上春樹が好んで使うモチーフがいくつも繰り返し出てくるなと思って読んだのですが、その後出版された長編『騎士団長殺し』はまさに村上春樹お得意のモチーフのオンパレード!で、ある意味、彼の集大成&『グレート・ギャツビー』のオマージュのようだったので、どのように「孤独な男」という題材を取り扱うか、この短編で実験をしていたのだなと思いました。
村上春樹もF・スコット・フィッツジェラルドと同じく、短編をいくつか書く→気に入ったモチーフを膨らませ、長編を書く、という過程を繰り返す作家ですよね。
Rich People Problems ケヴィン・クワン
シンガポール出身の作家ケヴィン・クワンによる3冊目の小説 Rich People Problems。 1,2冊目(Crazy Rich Asians、China Rich Girlfriend)と同じくとんでもなく裕福な中国系の一族を題材にしています。
私は、今この本を読んでいます! 非常に現代的で面白いです。また別途レビューを書きたいと思います。ちなみに彼のデビュー作Crazy Rich Asiansはすでに映画化も決定しているとか。レビューはこちら。
The Awkward Thoughts of W. Kamau Bell: Tales of a 6'4", African American, Heterosexual, Cisgender, Left-Leaning, Asthmatic, Black and Proud Blerd, Mama's Boy, Dad, and Stand-Up Comedian / W. Kamau Bell
なんつー長い題名なんだ! エミー賞にもノミネートされたことがあるコメディアンによる自伝兼エッセイ。背が高い(6'4"ということは193センチ!)のでバスケットボールプレイヤーによく間違えられるが、実はオタク(タイトルのBlerdとはBlack+Nerdで、黒人のオタクという意味)だという著者。
奥様は白人ということもあり、interracial marriageについても語っているとか。これも是非読んでみたいです。
Startup: A Novel / Doree Shafrir

Startup: A Novel (English Edition)
- 作者: Doree Shafrir
- 出版社/メーカー: Little, Brown and Company
- 発売日: 2017/04/25
- メディア: Kindle版
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ベンチャー企業、スタートアップ企業文化について皮肉とユーモアを交えて書かれた小説とのこと。IT業界出身者としては見逃せません……「あるある!」がたくさん出てきそう笑。
Marlena / Julie Buntin
北ミシガンの17歳と15歳の少女の友情についての物語。Buntinのデビュー作だそうです。
The Book of Joan / Lidia Yuknavitch
サイエンス・フィクション。
American War / Omar El Akkad
こちらもデビュー作。未来のアメリカ。気候変動を防ぐため石油の利用を禁止する「持続可能な未来法」を大統領が可決しようとしたことで、南部が反発し紛争が起こり、2074年から2093年にわたる第2次南北戦争が勃発した。そんな時代を生きる若い女性「Sarat」の視点で語られているそうです。めちゃくちゃ面白そう&あながちありえないとも言い切れないストーリーですね。
Anything is Possible エリザベス・ストラウト
ピュリツァー賞作家ストラウト(『オリーヴ・キタリッジの生活』、『私の名前はルーシー・バートン』)による新作。『私の名前はルーシー・バートン』の続編のような形だそうです。
The Rules Do Not Apply / Ariel Levy

The Rules Do Not Apply (English Edition)
- 作者: Ariel Levy
- 出版社/メーカー: Fleet
- 発売日: 2017/03/16
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The New Yorkerのジャーナリストによる、旅行や自身についてのエッセイ。
Exit West / Mohsin Hamid
冒頭が非常に印象的と紹介されています。こんな感じ。
In a city swollen by refugees but still mostly at peace, or at least not yet openly at war, a young man met a young woman in a classroom and did not speak to her.
難民で溢れかえっているがまだ平和な、というよりも、まだおおっぴらには戦争が始まっていない街の学校の教室で、少年は少女に出会った。少女とは話さなかった。(翻訳:tokyobookgirl)
NadiaとSaeedという少年少女の恋愛の物語。
Celine: A Novel ピーター・ヘラー
ニューヨーク生まれの作家による探偵小説。
Who Thought This Was a Good Idea? And Other Questions You Should Have Answers to When You Work in the White House / Alyssa Mastromonaco
これね〜、表紙が飛行機に乗っているオバマ元大統領と著者なんですよ。すごくユニーク。Amazonの方で表示されないのでコピペすると……こんなの。
The Arrangement: A Novel / Sarah Dunn
「オープン・マリッジ(他の人とも関係を持ってもいいとする結婚生活)」にトライした夫婦に関する小説。
The Refugees / Viet Thanh Nguyen
ベトナム戦争後難民としてアメリカに渡ったベトナム人ピュリツァー賞作家による小説。南カリフォルニアに住むベトナム系移民たちの物語だそうです。個人的に移民小説が大好きなので、気になります。ベトナム系の作家は、最近よく話題になりますね。
Lincoln in the Bardo: A Novel / ジョージ・ソーンダース
短編作家として知られているソーンダースの初の長編小説。
追記: ソーンダースは2017年のブッカー賞にノミネートされ、受賞しました。
Abandon Me: Memoirs / Melissa Febos
マンハッタンでSM嬢として働いた経験を持つ著者による自伝的エッセイ。
Running: A Novel / Cara Hoffman

Running: A Novel (English Edition)
- 作者: Cara Hoffman
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster
- 発売日: 2017/02/21
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テロリズムに巻き込まれていく若者の小説だそうです。
Pachinko / Min Jin Lee
構想30年だそう。韓国人作家による、在日韓国人への差別や歴史に関する物語。
どれも面白そうです。積ん読がまた増えてしまいそうな予感!