トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『わたしの修業時代』 コレット

[Mes Apprentissages] 二十歳のころには、法外な贈り物も、王侯のごとく平然とうけとってしまうものなのだ。 表紙からして素敵なデザインで見とれてしまう、コレットの回想録。 わたしの修業時代 (ちくま文庫) 作者: シドニー=ガブリエルコレット,Sidonie‐Ga…

2019年 ブッカー賞ショートリスト

えっもうそんな時期!? と、驚いてしまう。 今年もあっという間にブッカー賞のショートリストの発表日がやってきた。 ロングリストはこちらから。 www.tokyobookgirl.com ロングリストにノミネートされた13作品のうち、ショートリストに残ったのはこちら。 …

『ディファレンス・エンジン』ウィリアム・ギブスン & ブルース・スターリング

[The Difference Engine] 黒丸尚さん。漢字にルビをふるという独特のやり方や個性的な文体で、SF翻訳の歴史に名を残した翻訳家である。 去年スチームパンクやサイバーパンクをわりと読んだのだけれど(YA含む)、どれもこれもめちゃくちゃ面白かったので、こ…

『オルノーコ / 美しい浮気女』 アフラ・ベイン(アフラ・ベーン)土井治訳

[Oroonoko] ガーディアンの1000冊("State of the Nation"部門)に選ばれている『オルノーコ』を読んだ。『美しい浮気女』と同時収録されている岩波文庫で。 1988年出版でもう絶版になっているのだけれど、数年前に神保町から連れて帰ったのだった。積ん読の…

『第三の男』グレアム・グリーン

[The Third Man] 例えば飛行機や新幹線の移動、カフェでの時間つぶし、あるいは予定のない土曜日。 ぱっと数時間で読了できて、ストーリーも面白く、かつ文学的な小説が読みたいと思う日がある。変に感情移入してしまい泣いたり笑ったりしたくない、ただただ…

『カラーパープル』 アリス・ウォーカー

[The Color Purple] 1985年にスピルバーグによって映画化された『カラーパープル』は2005年ブロードウェイミュージカルにもなった。そしてなんと、このミュージカル版を映画化するというニュースが昨年末に発表された。 プロデューサーは1985年の映画を手が…

2019年 ブッカー賞ロングリスト

【Update: 2019-09-07】 9月に発表となったショートリストはこちら。 www.tokyobookgirl.com ついにやってきた7月24日。今年のブッカー賞ロングリストが発表された。 https://thebookerprizes.com/booker-prize/news/2019-booker-prize-longlist-announced …

『グルブ消息不明』エデゥアルド・メンドサ: すごく奇妙で、夏のバルセロナを感じる1冊

[Sin noticias de Gurb] この本を読むのにおすすめなのは ・うだるように暑い夏 ・とにかく何も考えたくない日 ・1人でゆるりと過ごしながら、時折えへえへと笑いたい時 です。 グルブ消息不明 (はじめて出逢う世界のおはなし―スペイン編) 作者: エドゥアル…

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー

[Picnic at Hanging Rock] なんと、50年以上前にオーストラリアで出版された(1967年)この小説が日本語訳されるのはこれが初めてとのこと。すごくいい小説なのにどうして今まで翻訳されなかったのだろうという気もするけれど、何はともあれよかった。 ピク…

The Dialogue of Two Snails / フェデリコ・ガルシーア・ロルカ

(二匹のかたつむりの会話) なぜわざわざ英語で……という感じがしなくもないが、以前ブログに書いた文庫サイズのPenguin Modernシリーズからロルカの作品集が出ていたので衝動買いしてしまった。 衝動買いしたくもなるよ、この値段なら(イギリスでは1ポンド…

『シェリの最後』 コレット

[La Fin de Chéri] 以前『シェリ』を読んだらとても面白かったので、次々にコレットの作品を購入してしまった。『シェリの最後』はタイトル通り、『シェリ』の続編。 結婚してから6年後、30歳を迎えようとするシェリが主人公だ。 シェリの最後 (岩波文庫) 作…

『ダロウェイ夫人』 ヴァージニア・ウルフ

[Mrs Dalloway] どんな本も、出会うタイミングというものがあるのだなと最近とみに感じる。 昨年『100分で名著』で、『赤毛のアン』を紹介していた茂木健一郎さんの話を聞いていたときも、そう実感したのだった。茂木さんは、11歳の時に図書館で『赤毛のアン…

『カルメン・ドッグ』 キャロル・エムシュウィラー: SF+フェミニズム+オペラ+犬!

[Carmen Dog] ネビュラ賞を二度受賞し、フェミニズムSFの書き手として知られたキャロル・エムシュウィラーが亡くなった(2019年2月2日)。 こちらは、表紙に描かれた犬(カルメンよろしく、真っ赤な薔薇を口にくわえた白いワンさん)に惹かれて購入した一冊…

The Diamond as Big as the Ritz / F・スコット・フィッツジェラルド

(リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド) 宝塚歌劇団・期待の98期の一人、瑠風輝さんのバウ主演が決定したのが今年の3月。演目はフィッツジェラルド原作の『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』ということでちょっとびっくりした。 フィッツジ…