トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『密会』 ウィリアム・トレヴァー

[A Bit on the Side] ウィリアム・トレヴァーの短編集。 密会 (新潮クレスト・ブックス) 作者: ウィリアムトレヴァー,William Trevor,中野恵津子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2008/03/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 32回 この商品を含むブロ…

『オペラ座の怪人』 ガストン・ルルー(平岡敦・訳)

[Le Fantôme de l'Opéra] わたしはミュージカルが大好き。生まれて初めて観たミュージカルは確かThe Wizard of Oz(オズの魔法使い)で、生まれて初めて「これ、好きだな!」と思ったミュージカルはAnything Goesだったと記憶している。だからなのか、大人に…

Disoriental / Négar Djavadi: マザンダランの陰謀渦巻くハーレムから、パリの不妊治療クリニックまで

[Désorientale] 内容紹介をちらりと読んで、絶対に面白い&好みだぞ!と思って購入した一冊。 作者はパリ在住のイラン系移民(十一歳の時にフランスに移住)で、これがデビュー作とのこと。 Disoriental (English Edition) 作者: Négar Djavadi 出版社/メー…

『闇の左手』 アーシュラ・K・ル・グィン

[The Left Hand of Darkness] アーシュラ・K・ル・グィンの作品といえば、なんといっても「映像化にことごとく失敗している」ことが思い浮かぶ。 「失敗」の定義は色々あるので、あくまで私の個人的意見だが ・興行的に振るわない ・作者自身に酷評されてい…

Angel Catbird / マーガレット・アトウッド

(エンジェル・キャットバード) 『侍女の物語』の続編となるThe Testamentsだが、ついにAmazon上でも装丁を見ることができるようになった。侍女のシンボルカラー・赤ではなく、紺に明るい緑を効かせたデザイン。 The Testaments (The Handmaid’s Tale) 作者…

『大尉の娘』 アレクサンドル・プーシキン: 若い時から名は大事(ロシアの諺)

[Капитанская дочка] もう始まってしまいました、宝塚・宙組による『黒い瞳』の博多座公演が。このブログを見てくださる方は海外文学好きな方がほとんどだと思うので、「宝塚なんのこっちゃ」かもしれないけれど、この上演作品の原作は『大尉の娘』、主人公…

「燃える」海外文学 13冊

本棚をぼんやり見つめていて思った。「火」や「燃える」という言葉がタイトルになっている本のなんと多いことか。私はかなりの断捨離アンで(座右の銘は真風涼帆さんと同じく「部屋の乱れは心の乱れ」、こんまりさんも大好きです!)、読み終えた本は基本的…

『冬の夜ひとりの旅人が』イタロ・カルヴィーノ: 読書をめぐる冒険

[Se una notte d'inverno un viaggiatore] 初めてこの本を読んだときのことを、手に取るように覚えている。 なぜかというと、ひどくがっかりしたからだ。 大学に入って初めての長期休暇だった。受講していたクラスの期末試験が随分と遅い時期にスケジュール…

The Unhappiness of Being a Single Man / フランツ・カフカ

いただきものの、こちらの本。Pushkin Collection(Pushkin Press)から発売予定のカフカの短編集だ(発売日は2019年3月5日)。ドイツ語→英語の新訳。 The Unhappiness of Being a Single Man: Essential Stories (Pushkin Collection) 作者: Franz Kafka,Al…

『アンナ・カレーニナ』レフ・トルストイ: 決して終わらない物語

[Анна Каренина] 十年以上ぶりに、『アンナ・カレーニナ』を再読した。もちろんきっかけは、宝塚・月組にて『アンカレ』再演が決定したこと。観劇については下の方で詳しく書きたいと思うけれども、まずは(あらすじははっきりと覚えていたにもかかわらず)…

Cortazar / Jesus Marchamalo, Marc Torices Robledo

(コルタサル) ずっと読みたかったグラフィックノベル。フリオ・コルタサルの人生を描いた作品。Amazon.esでもGoodreadsでも驚くほど高評価がつけられていて、楽しみに積んでいた。そろそろ二巡目の『石蹴り遊び』をしようと思うので、手始めにこちらを読ん…

『北は山、南は湖、西は道、東は川』 クラスナホルカイ・ラースロー

[ÉSZAKRÓL HEGY, DÉLRŐL TÓ, NYUGATRÓL UTAK, KELETRŐL FOLYÓ] 現代ハンガリーを代表する作家の一人だというラースローの作品を初めて読んだ。初めて読む作家なのに、ちょっと変わり種に手を出してしまったかな〜というのが最初の感想。本作は、著者が京都に…

Winter / アリ・スミス

(冬) アリ・スミスのSeasonal Quartet、二作目。イギリスを含んだ多くの国では一年の始まりが秋からだから、このシリーズも秋から始まったのだろう。 Winter: from the Man Booker Prize-shortlisted author (Seasonal Quartet) 作者: Ali Smith 出版社/メ…

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ

[82년생 김지영] 『VERY』 1月号を読んでいて、「色々と話題になりそうだな」と思った記事があった。 「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」と将来息子がパートナーに言わないために今からできること、VERY1月号の記事が話題に - Togetter 案の定Twi…