トーキョーブックガール

海外文学・世界文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

The Coincidence Makers / ヨアブ・ブルーム

[מצרפי המקרים]

出張先の本屋さんで見つけて、「おっ!」となった作品。

このタイトルと、著者のユダヤ系の名前を見て思い出したのです。もう10年近く前にイスラエル系の友人(村上春樹好き、初めて読んだ村上作品はNorwegian Wood)からこの本が面白いと聞いていたことを。

その時は英語訳されるとは思ってもいなかったので嬉しい。 

ちなみに調べてみたところ、スペイン語やイタリア語などヨーロッパ言語の翻訳は一通り出回っていた。

The Coincidence Makers: A Novel (English Edition)

The Coincidence Makers: A Novel (English Edition)

 

そして著者名をググっていたら、来月日本語訳『偶然仕掛け人』も発売されることを発見。ヘブライ語からの翻訳、それとも英語からかな。

偶然仕掛け人

偶然仕掛け人

 

 

というわけで、私は友人から最後までのあらすじを教えてもらっていたので(涙)新鮮な読書というわけにはいかなかったけれど、聞いていた通り楽しめる本だった。でも、オチを知ってしまったら面白さが半減する類の小説ではある。

映画でいうと『スライディング・ドア』とか『セレンディピティ』のような感じ。地下鉄のドアが閉まる前に電車に乗れるか乗れないかで、人生が変わってしまう……。偶然出会った人に、『コレラの時代の愛』のペーパーバックがきっかけで再会する……。

スライディング・ドア(字幕版)
   
セレンディピティ~恋人たちのニューヨーク~ [DVD]

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Coincidence makers(「偶然仕掛け人」とは素敵な訳!)とはそういった「偶然」を故意に作り出す人々を指している。偶然を仕掛けることで、恋愛を成就させたり科学者に大発見をさせたり、歴史を作っているのだ。

舞台は明記されていない、どこにでもありそうな街。主人公のガイ(Guy)は今まで主に子供たちのための「イマジナリーフレンド(空想の友人)」になるという仕事をしてきた。友達が作れなかったり、過去に傷を負ったことのある特定の子供にだけ見えているという設定で、その子が世界へ出て行く勇気を手に入れるまで寄り添い続けるのだ。

そんなある日、突然"coincidence maker"にならないかというスカウトを受ける。研修があるというので待ち合わせ場所として指定された公園に向かうと、そこには美しく若い女性エミリー(Emily)と皮肉屋な男性エリック(Eric)がいた。二人も同じようにスカウトを受け、この仕事に挑戦することにしたのだ。

三人は同期として厳しい勉学やテストに耐え、晴れて"coincidence maker"となったのだった。過去に忘れられない恋愛をしたことがあるガイは、今後の人生を一人で生きることに何の不満もない。恋愛に対して期待や希望も抱いていない。そんな彼だからこそ向いているということで、ガイは主に恋愛にまつわる偶然を仕掛けるという仕事をしていたのだが、ある日大きいプロジェクトの一端を担うことになり……。

コスモポリタンな感じではあるものの、ちょっと会話が理屈っぽいところとかどことなくユダヤ風というかイスラエル風でくすりと笑ってしまった。

で、なんだかイスラエル料理が食べたくなって、読んでいる最中にTA-IM(タイーム)を訪れたのでした。

"The difference is simple: happy people look at their lives and see a series of choices. Miserable people see only a series of sacrifices. Before every action you take when making a coincidence, you must confirm which type of person you're working with--the hopeful or the feaful. They look similar. They are not."

 

突拍子もないテーマながら、すごく爽やかで読みやすい王道SFロマンス。

『夏への扉』や『ハローサマー、グッドバイ』が好きな方におすすめ。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

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ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

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まだ読んでいないからなんとも言えないけれど、『クロストーク』もこんな感じかな? 

クロストーク (新・ハヤカワ・SF・シリーズ)

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ちなみに映画化も決定している。バックグラウンドや情景描写など、映画らしいところが非常に多い。

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