トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2018年のブッカー賞ショート・リスト

 

あっというまに9月20日。

今年のブッカー賞ショート・リストの発表の日がやってきました!

7月に発表されたロング・リストはこちらの通り。

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今年もFacebookのライブストリームで、ショート・リストへ進んだ本が発表に。

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ショート・リストに残ったのはこちらの6作品。審査員いわく、「現代の社会が抱える問題を描いている」作品ばかりで、「すべて趣が異なる」。

 

The Long Take / ロビン・ロバートソン 

The Long Take: A noir narrative

The Long Take: A noir narrative

 

イギリス人作家によるデビュー作。

ウォーカーは、ノルマンディー上陸作戦に参加した経験のある元兵士。現在はPTSDを抱えており、故郷のノバスコシアに戻ることができないでいる。ニューヨークからロサンゼルス、サンフランシスコとウォーカーが移動を続ける中で、読者はフィルム・ノワールが反映した当時のアメリカの様子を感じることができる。

アメリカン・ドリームは消えつつあるものの、崩れてゆくアメリカ社会が映画のように美しく描写されている。

 

The Overstory / リチャード・パワーズ

The Overstory

The Overstory

 

アメリカのポストモダン文学界を牽引し、『舞踏会へ向かう三人の農夫』などで知られる作家パワーズによる新作。

ベトナム戦争にて撃ち落とされるが、ガジュマルの木に引っかかり命拾いするアメリカ空軍のロードマスター。100年分の栗の木の写真を相続する芸術家。1980年代後半に命を落とすが、「気と光の存在」によって生き返った大学生。聴覚および言語障害があるものの、木々が互いに会話をしているということを発見する科学者。

これらの人物の人生は、原生林を守るという目的のもとでつながってゆく。

 

The Mars Room / レイチェル・クシュナー

The Mars Room

The Mars Room

 

ロミー・ホールは終身刑をうけ、スタンヴィル女性刑務所に入っている。刑務所の外、サンフランシスコには、彼女がストリップダンサーとして勤務していたマーズ・ルームがある。そして、7歳の息子ジャクソンもサンフランシスコで暮らしている。

刑務所で、ロミーは新しい環境に慣れようと必死だ。時折起こる暴力、生活必需品を手に入れるための奮闘、独特のルール。

ロミーは刑務所にやってくる先生に教えを受け、次第に文学に救いを求めるようになるが……。

 

Everything Under / デイジー・ジョンソン 

Everything Under

Everything Under

 

 こちらも、若干27歳のイギリス人作家のデビュー作(下記にノミネートされているサリー・ルーニーも27歳で、二人は今年のリストで最年少の作家である)。

グレーテルは母親とともに、ボートで生活していた。二人は、二人にしか通じない言葉を生み出し会話していたが、グレーテルが16歳になった時母親はいなくなってしまう。

大人になったグレーテルは辞書編集者となり、一人静かに辞書のアップデートをして過ごすようになる。ところが、ある日病院から電話がかかってきて、グレーテルの昔の記憶が蘇ってくる。川での生活、ある冬にボートを訪ねてきた少年……。

 

Washington Black / Esi Edugyan 

Washington Black: A novel

Washington Black: A novel

 

カナダ人女性作家による小説。題名になっているワシントン・ブラックとは、19世紀のバルバドスに暮らす11歳の黒人奴隷の名前。英国人の兄弟がバルバドスのサトウキビ園を手に入れ、ワシントンはこの兄弟の1人、クリストファー・ティッチ・ワイルドに仕えるようになる。

ティッチは自然が大好きな探検家。しかしある日事件が起こり、ティッチとワシントンは一緒に島から逃げ出す。ワシントンはカナダや、イギリスのロンドン、モロッコといった場所まで行くことになるのだが……。 

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Milkman / アンナ・バーンズ  

Milkman (English Edition)

Milkman (English Edition)

 

 こちらはアイルランド人作家による作品。とある町でのゴシップや噂話にまつわるディストピア小説。主人公は3人姉妹の真ん中で(名前はなく、ただmiddle sisterと呼ばれる)、ボーイフレンドのような存在の男の子と会っていることを母親に知られないように必死。

ところがなぜか、主人公が41歳の牛乳配達人と付き合っているらしいという噂が立つ。「噂を立てられる」人物は"interesting"とされ、"interesting"とされると逮捕されることもある世の中。主人公は一生懸命、目立たないように努力するが……。

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今、オンダーチェのWarlightを読み進めているのだが、残念ながらショート・リスト入りせず。ゴールデン・ブッカー賞も受賞したし、ということかな。

Washington Blackも少しずつ読んでいます。これは、冒頭からめちゃくちゃ面白い!ちょっとディケンズのようなところもある。

Everything Underも読んでみたい。

 

ブッカー賞の発表は10月。楽しみですね!

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