トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

2018年のブッカー国際賞はオルガ・トカルチュクの『逃亡派』

イギリスの5月22日、日本時間の昨夜発表になったブッカー国際賞。

受賞したのはオルガ・トカルチュクの『逃亡派』。翻訳者はジェニファー・クロフト(Jennifer Croft)。ポーランド人作家として初めての受賞となる。

ノミネート作品の中では唯一邦訳が出版済みの作品だったというのも嬉しいですね。邦訳が英訳より何年も早かったという。

タイトルの『逃亡派(Bieguni)』はロシア正教のあるセクトの名前だそう。そのセクトは「放浪すること」を正しい生き方と定めており、その教えに共感したトカルチュクは作品のタイトルをセクトの名前にすることにしたとのこと。

散文で構成された小説も、旅やアナロジーにまつわるもの。

逃亡派 (EXLIBRIS)

逃亡派 (EXLIBRIS)

 

オルガ・トカルチュクはポーランドの作家で、大学では心理学を学んでいたこともありインスピレーション源はカール・ユングのユング心理学だとか。

下記ブッカー国際賞ページのトップ画像がトカルチュクさんとクロフトさんに変わっているのだけれど、と〜ってもいい笑顔!

The Man Booker International Prize 2018 | The Man Booker Prizes

 

邦訳されているのは『逃亡派』と『昼の家、夜の家』の2冊。

ブッカー賞受賞で翻訳もさらに進むかもしれない。どちらも読んでいないので早く読みたい。

昼の家、夜の家 (エクス・リブリス)

昼の家、夜の家 (エクス・リブリス)

 

「広い地域から」「既存の社会に対して批判的」で「前衛的」な作家を選ぶというのがかつてのノーベル文学賞の意義だったが2016年にはミュージシャンのボブ・ディラン、2017年には既に作家として全世界で高い評価を受けているカズオ・イシグロと、「??」な選択が続き、あげくに2018年はセクハラや情報漏洩問題で見送りとなった今、ブッカー国際賞こそが以前のノーベル文学賞の役割を果たしているような気がしてならない。

ブッカー国際賞を受賞した作品の売り上げはイギリスをはじめとした英語圏で飛躍的に上昇するのが常で、2016年に受章した韓国人作家ハン・ガンの『菜食主義者』はイギリスでの売り上げが受賞後に400%も伸びたとか*1。2017年に受章したイスラエル人作家デイヴィッド・グロスマンのA Horse Walks Into a Barにいたってはなんと受賞の次の週の売り上げは前週の1,367%に!

なによりトカルチュクさんとクロフトさんの笑顔が、この賞の持つ意味を語っている気がする。

 

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