トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

洋書レビュー

自分の死ぬ日が分かったら、どう生きる? The Immortalists, Chloe Benjamin(クロエ・ベンジャミン)

ブックカバーが素敵。 ハードカバー発売当初に購入したのだが、しっとりとしてマットな質感の黒の背景に、カバラの「生命の樹」を思わせるような1本の木が描かれていて、周りにゴールドのキラキラが煌めいていて…。語彙力不足でもどかしいけれど、なんとも素…

The Refugees, Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった…。 ピューリッツァー…

イスラム文化圏の難民事情・ミーツ・村上春樹なのか: Exit West モーシン・ハミッド

2017年のブッカー賞にノミネートされていた、この小説。 読んでみたいと書いてから半年経ってしまったが、ようやく読んでみた。 Penguinのカバーも素敵。オレンジのイスラム建築のドアの向こうに西洋の都市(ロンドン)が見えるというもので、まさにこの物語…

『ビッグ・リトル・ライズ』作者も絶賛。「香港のアメリカ人」を描いた物語: The Expatriates, Janice Y. K. Lee

久しぶりに香港に滞在しています。 香港を舞台にした本を読みたいなと思い、今回選んだのはこちら。 2009年に処女作The Piano Teacherがベストセラーとなったジャニス・Y・K・リーの2作目、The Expatriates。 タイトルの通り、香港に暮らす「外国人」・「駐…

映画化が決定『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス

[The Bell Jar] It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York. それはおかしな蒸し暑い夏だった、ローゼンバーグ夫妻の死刑が執行された夏で、私は自分がニューヨークで何…

Penguin Booksの新しいシリーズPenguin Modernが可愛い

先日久しぶりに神保町パトロールをして、仕上げの三省堂で見つけたPenguin Booksの新シリーズ(2018年発売)。 文庫サイズの可愛いPenguin Modernです。薄い青緑のカバーも美しくて思わずジャケ買い。シールもしくはブックマークのおまけつき。 三省堂には10…

ボリス・パステルナークの『ドクトル・ジバゴ / Doctor Zhivago』が宝塚にぴったりな理由

I also think that Russia is destined to become the first realm of socialism since the existence of the world. When that happens, it will stun us for a long time, and, coming to our senses, we will no longer get back the memory we have lost.…

Anything is Possible エリザベス・ストラウト

発売日: 2017年5月4日 ペーパーバック版の発売を待って読み始めたエリザベス・ストラウトの最新作。 むさぼるように読んでしまった。 舞台は前作『私の名前はルーシー・バートン』の主人公ルーシー・バートンの故郷、イリノイ州のアムギャッシュ(架空の町)…

フェミニストSF小説の勢いが止まらない: Red Clocks, Leni Zumas

発売日: 2018年1月16日(レニ・ズーマス) アメリカ・オレゴン州を舞台としたフェミニスト・ディストピア小説である。 本小説におけるアメリカでは、"Personhood Amendment"が施行されている。これはいわゆる「中絶禁止法」で、受精卵にも生きる権利があると…

自殺した幼馴染が抱えていた秘密とは: The Gunners, Rebecca Kauffman

発売日: 2018年3月15日 Rebecca Kauffman(レベッカ・カウフマン)の第2作目、The Gunnersを読んだ。 The Gunners: A Novel 作者: Rebecca Kauffman 出版社/メーカー: Counterpoint 発売日: 2018/03/15 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る Esqui…

Hunger / ロクサーヌ・ゲイ、そして『スイート・ヴァレー・ツイン』のこと

9-10月の"Our Shared Shelf*1"のお題本はこちら。 ロクサーヌ・ゲイの新作 Hunger: A Memoir of (My) Body 。 Hunger: A Memoir of (My) Body (English Edition) 作者: Roxane Gay 出版社/メーカー: Corsair 発売日: 2017/06/13 メディア: Kindle版 この商品…

10時のロサウラ:Rosaura a las diez, Marco Denevi

先日もちらっと書いた Rosaura a Las Diez*1。「10時のロサウラ」。 1955年に出版された、Marco Denevi(マルコ・デネヴィ)の処女作。 舞台やドラマ、映画化もされた大ヒット作である。 かなり昔の作品だが、日本のAmazonでもペーパーバックを良心的な価格…

現代におけるシェイクスピア:Hag-Seed / マーガレット・アトウッド

授業で出会ったアトウッド作品。アトウッドが私の大学で教えていたこともあり(入学した頃にはとっくに退職されていましたが)、文学専攻ではなかった私ですら本当によく読んだ記憶がある。Bodily Harmや『侍女の物語』が大好きになり、卒業してからも、新作…

クレイジーリッチな中国系シンガポール人物語最終章: Rich People Problems, Kevin Kwan

Crazy Rich Asians*1、China Rich Girlfriend*2に続く、Kevin Kwan(ケヴィン・クワン)による大金持ち・中国系一族シリーズ第3作目! 1作目のCrazy Rich Asiansは2010年の物語という設定になっていたが、Rich People Problemsではさらに時が経ち、2015年に…

Far Eastern Tales / サマセット・モーム

極東とは、東アジア、東北アジアと東南アジアの一部を指す言葉*1。 ということで、この夏の旅行のお供はサマセット・モームのFar Eastern Talesだった。Vintage Classicsの表紙もどことなくオリエンタル。 Far Eastern Tales 作者: W. Somerset Maugham 出版…

China Rich Girlfriend, Kevin Kwan

デビュー作 Crazy Rich Asiansが大ヒットしたシンガポール出身の作家Kevin Kwan(ケヴィン・クワン)。 *Crazy Rich Asiansのレビューはこちらから。 www.tokyobookgirl.com 2作目China Rich Girlfriendも、Crazy Rich Asiansに登場した一族を描いた物語。 C…

The Clothing of Books, Jhumpa Lahiri

こんにちは、トーキョーブックガールです。 大好きな作家の一人、ジュンパ・ラヒリ。新作が出たら必ず読みます。 『停電の夜に』を初めて読んだときの衝撃は今も忘れられない。 淡々とした文章は一見アメリカ的にからりとしているようで、どこかアジア的な湿…

美の神話とは: The Beauty Myth / Naomi Wolf

こんにちは! すっかり日常に戻りましたが、先週までの夏休みのことを思い出してぼんやりしているトーキョーブックガールです。 どうでもいい話なのですけれど、、、旅行先のホテルの部屋に支配人からのお手紙があって、末尾に「オーム・シャンティ・シャン…

Crazy Rich Asians, Kevin Kwan

ここ何年か忙しく働き通しで、久しぶりに取れた1ヶ月間の夏休み。 NYで同棲しているボーイフレンドが、「親友の結婚式があるから一緒にシンガポールへ行こうよ」と誘ってきた。 シンガポールは彼の故郷。ということは、彼のご両親にも会えるのかな? 初めて…

少女が大人になるまで: Nada / Carmen Laforet(カルメン・ラフォレー)

みなさま、こんにちは!トーキョーブックガールです。 南の島から東京に戻ってきました。 東京の方がよっぽど暑いことにびっくりでございます…。 今日は夏になると読み返したくなる小説について、書いてみたいと思う。 Carmen LaforetのNada。 スペイン文学…

エッセイストによる爆笑日記:Theft by finding / David Sedaris

発売されてすぐに購入し毎日少しずつ読んだこの本!のお話を今日は書きます。 David Sedarisの Theft by Finding: Diaries 1977-2002 。 Theft by Finding: Diaries (1977-2002) 作者: David Sedaris 出版社/メーカー: Little, Brown and Company 発売日: 20…

This Side of Paradise (楽園のこちら側) / F・スコット・フィッツジェラルド

唐突ですが…私には好きな本が沢山あって、お気に入りの作家も沢山いる。 大学ではスペイン/イスパノアメリカ文学を副専攻にしていたこともあり、ボルヘス、ガルシア・マルケス、イサベル・アジェンデが大好き。 オースティンやモームやカポーティー、サガン…

Everything, Everything / Nicola Yoon(ニコラ・ユン)

"Love is worth everything. Everything." 「愛こそがすべて。すべて。」 Everything, Everything 作者: Nicola Yoon 出版社/メーカー: Corgi Childrens 発売日: 2015/09/03 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る あらすじ 家から出たことの…