トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

バンド・デシネ/グラフィックノベル

夏〜秋に読んだ世界文学

いつの間にか夏が終わり、9月1日からぐっと冷え込み、秋らしい秋を感じることのできないまま11月がやってきた。 我が家では9〜10月、コロナの影響で保育園休園、夫が不調でMRI(問題なしだった、よかった)、わたしは料理中に「彼女の体とその断片……薬指の標…

Girlsplaining: A (Sorta) Memoir / Katja Klengel(Nika Knight訳)

[Girlsplaining] どっぷりとはまってしまった自伝的グラフィックノベル。著者はドイツの方で、わたしが読んだのは英訳(原書は2018年、翻訳は2021年出版)。 Girlsplaining (English Edition) アーティスト:Klengel, Katja 作者:Klengel, Katja BOOM! - Arch…

夏に読んだ翻訳文学(WIT month)

いよいよ8月も最終日。皆様はどんな読書の夏を過ごしましたか? わたしは実に4年ぶりに、読書に没頭できる夏休みを堪能しました。いろんな方と本の話をする機会もあり、readathonにも挑戦したりして、それはそれは楽しい夏でした! さらに8月はwomen in tran…

『ブルーは熱い色』ジュリー・マロ

[Le bleu est une couleur chaude] わたし、レア・セドゥが大好きなんです。 『クレーヴの奥方』の現代版として撮影された映画『美しいひと』を観て、その魅力のとりこになってしまいました。 ルイ・ガレルのファンなので観ることにした映画なのに、気がつい…

Angel Catbird / マーガレット・アトウッド

(エンジェル・キャットバード) 『侍女の物語』の続編となるThe Testamentsだが、ついにAmazon上でも装丁を見ることができるようになった。侍女のシンボルカラー・赤ではなく、紺に明るい緑を効かせたデザイン。 The Testaments (The Handmaid’s Tale) 作者…

Cortazar / Jesus Marchamalo, Marc Torices Robledo

(コルタサル) ずっと読みたかったグラフィックノベル。フリオ・コルタサルの人生を描いた作品。Amazon.esでもGoodreadsでも驚くほど高評価がつけられていて、楽しみに積んでいた。そろそろ二巡目の『石蹴り遊び』をしようと思うので、手始めにこちらを読ん…

『スピン』 ティリー・ウォルデン

[Spinning] ワルツジャンプ 最初に習ったジャンプのひとつ 片足を振りあげた勢いで 体が持ち上がる感覚を今でも覚えている 女子ロッカー室に充満する汗や香水の匂い、スケートリンクのひんやりとした空気とどこまでも続く氷の静けさが目の前に広がるかのよう…

マルジャン・サトラピが大好き

ブッカー賞で初めてグラフィックノベル(ニック・ドルナソのSabrina)がノミネートされたりと、2018年はますますバンド・デシネ*1やグラフィックノベル*2に注目が集まる年だった気がする。 さて、私にとってバンド・デシネへの扉を開けてくれた、思い出の作…

Sabrina / ニック・ドルナソ

(サブリナ) ブッカー賞ロングリスト入りして、「おっ!」と思ったのはこの作品。グラフィックノベルがブッカー賞にノミネートされる日が来るなんて、誰が想像しただろうか。 Sabrina 作者: Nick Drnaso 出版社/メーカー: Drawn & Quarterly Pubns 発売日: …