トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

イギリス文学

今時珍しい「大人」向けの物語: The Only Story ジュリアン・バーンズ

もうすぐ今年のブッカー賞ロングリストの発表、ということで、候補になりそうな作品をなんとなく読んでいる今日この頃。 まずはこちら。ジュリアン・バーンズの待望の新作。王道のラブストーリーである。 The Only Story 作者: Julian Barnes 出版社/メーカ…

生まれるべきか、生まれざるべきか。それが問題だ: 『憂鬱な10ヶ月』 イアン・マキューアン

『波 6月号』の小山田浩子さんによる書評がとても面白かったので、発売日に購入したマキューアンの最新作。ようやく読む時間がとれた。 憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) 作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,村松潔 出版社/メーカー: 新潮社 発売日:…

『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』 カズオ・イシグロ

これも、『わたしたちが孤児だったころ』とともに読み返した一冊。 イシグロ唯一の短編集で、注目すべきは「短編集を書くと決意して書かれた」作品ということ。フィッツジェラルドのように金を稼ぐため書き散らしたわけでもなければ(既にブッカー賞を受賞し…

『わたしたちが孤児だったころ』 カズオ・イシグロ

最近『わたしたちが孤児だったころ』を読んだばかりの母と話した。 私が読んだのはかなり前で、上海が舞台の探偵小説風小説…ということ以外思い出せず、まるで読んだことのない本のあらすじや感想を聞く気分で聞いていたのだけれど、これがとにかく面白くて…

イスラム文化圏の難民事情・ミーツ・村上春樹なのか: Exit West モーシン・ハミッド

2017年のブッカー賞にノミネートされていた、この小説。 読んでみたいと書いてから半年経ってしまったが、ようやく読んでみた。 Penguinのカバーも素敵。オレンジのイスラム建築のドアの向こうに西洋の都市(ロンドン)が見えるというもので、まさにこの物語…

グレアム・グリーンの『情事の終り』と、江國香織 

[The End of the Affair] 『情事の終り』というタイトルから、いろいろと考えてしまった。 原題は"The End of the Affair"。邦題もとても素敵。 情事の終り (新潮文庫) 作者: グレアムグリーン,Graham Greene,上岡伸雄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014…

34年後の『1984年』

[1984] ニュースは政府の見解を垂れ流し、一般市民の監視は警察の主要な活動となり、理性的な操作や差し押さえといったものは今やジョークに過ぎない。そんな例は枚挙にいとまがない。「ああ、政府が<ビッグ・ブラザー>に変わっちまった。オーウェルの予測…

Far Eastern Tales / サマセット・モーム

極東とは、東アジア、東北アジアと東南アジアの一部を指す言葉*1。 ということで、この夏の旅行のお供はサマセット・モームのFar Eastern Talesだった。Vintage Classicsの表紙もどことなくオリエンタル。 Far Eastern Tales 作者: W. Somerset Maugham 出版…

『高慢と偏見』はインスピレーションの泉

[Pride and Prejudice] こんにちは、トーキョーブックガールです。 さて、21世紀に生きる私たちをもとりこにするジェーン・オースティン作品。 もちろん最も有名なのは『高慢と偏見』だろう。 何度となく映画化&ドラマ化され、その度に人気を博している。 …

『テンペスト』 シェイクスピア

[Tempest] シェイクスピアは謎に包まれている。 ストラトフォード・アポン・エイヴォンで革手袋商人の息子として生まれ育ち、18歳の時に26歳の女性アン・ハサウェイと結婚。 その後ロンドンへ出て、空白の数年間ののち、俳優兼劇作家として名をはせるように…

『アリーテ姫の冒険』 ダイアナ・コールス

[The Clever Princess] Beauty Mythについて書きながら、この本を思い出したので今日はアリーテ姫について書いてみたいと思います。 物心つくかつかないかという頃から本が大好きだった私。 でも、読書に対する情熱を絶やすことなく今まで生きてきたのは、い…