トーキョーブックガール

世界文学・翻訳文学(海外文学)や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『海峡を渡る幽霊』 李昂(リー・アン)

[吹竹節的鬼] 「鹿港(ルーガン)では昔、どの通りでもお化けが出たもの」 家にあった『世界x現在x文学ー作家ファイル』の李昂(リー・アン)のページの見出しに確かそんな言葉が書いてあって、「この作家の作品は面白そうだな」と子供ながらに思ったものだ…

French Exit / パトリック・デウィット: 全てを失った大富豪未亡人はパリへ

表紙に一目惚れして(下記Amazonリンクに表示されている方ではなくて、白地にタイトルと著者名が赤と青で印刷されていて、むっとした表情の一家のイラストが描いてある方。かわいい……)購入。今年度のギラー賞にもノミネートされているパトリック・デウィッ…

『マンゴー通り、ときどきさよなら』 サンドラ・シスネロス: 出ていきたいと願っていたあの場所のことばかり思い出す

[The House on Mango Street] 白水社の新書として今年生まれ変わった『マンゴー通り、ときどきさよなら』。やっと読めた。 マンゴー通り、ときどきさよなら (白水Uブックス) 作者: サンドラ・シスネロス,くぼたのぞみ 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2018/…

『遊戯の終わり』 フリオ・コルタサル

[Final del Juego] コルタサルの最初の短編集『遊戯の終わり』を再読した。 遊戯の終わり (岩波文庫) 作者: コルタサル,木村榮一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2012/06/16 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 30回 この商品を含むブログ (23件) を見…

Girls Burn Brighter / Shobha Rao

(女の子は明るく燃える) 7歳の時インドからアメリカに移住したという新人作家Shobha Rao初の長編小説。タイトルに惹かれて購入。 Girls Burn Brighter 作者: Shobha Rao 出版社/メーカー: Flatiron Books 発売日: 2019/03/05 メディア: ペーパーバック こ…

MaddAddam(マッドアダム・シリーズ)/ マーガレット・アトウッド

(マッドアダム) 近未来を描いたディストピア、アトウッドの「マッドアダム・シリーズ」完結編。 MaddAddam 作者: Margaret Atwood 出版社/メーカー: Virago Press Ltd 発売日: 2014/08/07 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る Paramount …

『傾城の恋 / 封鎖』 張愛玲

[傾城之恋] ・張愛玲の『色、戒』*1が好き。 ・映画化された『ラスト、コーション』や香港映画『花様年華』にはまった。 ・『高慢と偏見』や『細雪』など、お見合い・結婚についてのドタバタ劇が好き。 ・『風と共に去りぬ』のスカーレットとレッド・バトラ…

Roman Fever(ローマ熱)/ イーディス・ウォートン

(ローマ熱) “I was just thinking,” she said slowly, “what different things Rome stands for to each generation of travelers. To our grandmothers, Roman fever; to our mothers, sentimental dangers—how we used to be guarded!—to our daughters,…

『夜のみだらな鳥』 ホセ・ドノソ(鼓直・訳)

[El Obsceno Pájaro de la Noche] 月夜になると、恐ろしい首が小麦色の長いながい髭をなびかせながら空を飛ぶ。その顔は主人の娘の美しい顔にそっくりで……不吉な鳥チョンチョンの身の毛もよだつトゥエ、トゥエ、トゥエという声をまねて歌うのだという。魔法…

2018年のブッカー賞はアンナ・バーンズのMilkman

イギリスの10月16日に発表になった2018年のマン・ブッカー賞。受賞したのはアンナ・バーンズのMilkmanだった。北アイルランド出身の作家がブッカー賞を受賞するのは初めてとのこと! ちなみに女性作家が受賞するのは2013年のエレノア・カットン以来5年ぶり。…

El gallo de oro(黄金の軍鶏)/ フアン・ルルフォ

(黄金の軍鶏) フアン・ルルフォのEl Gallo de Oroを読んだ。 2冊の本を出版した後、フィクションの執筆はやめてしまったルルフォだが、その後は映画やテレビの脚本を手がけるようになる。本作はルルフォ作の映画用プロット(原案)で、映画化の際にはカル…

トーキョーブックガールの読みたいリスト 2018年・秋の新刊

芸術の秋、食欲の秋ももちろんだけど、やっぱり読書の秋ですね。皆様は何を読んでいますかOR読む予定ですか? 秋の新刊について色々と見ていたら、どんどん読みたい新作が増えていってしまう……私のTBRリスト(主にフィクション)を簡単にまとめてみた。 The …

『小川』 キム・チュイ

[Ru] 今年のギラー賞ロング・リストやノーベル文学賞代わりのスウェーデンの文学賞にも新作Viがノミネートされていたヴェトナム系カナダ人作家キム・チュイ。 The Scotiabank Giller Prize Presents its 2018 Longlist - Scotiabank Giller Prize 村上春樹…

Warlight / マイケル・オンダーチェ

(戦下の淡き光) *日本語訳が2019年に発売に。 戦下の淡き光 作者:マイケル・オンダーチェ 発売日: 2019/09/13 メディア: 単行本 5月に発売された、オンダーチェの最新作。即購入し読み始めて、そうこうしている間にブッカー賞ロングリストにノミネートされ…