トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『奪われた家 / 天国の扉 動物寓話集』 フリオ・コルタサル

大阪で大きい地震がありました。本ブログは基本的に自動更新なので反応が遅く恐縮ですが、関西の皆様ご無事でしたでしょうか。 雨が続き心も晴れないですね…安全第一、気をつけてお過ごし下さい。 今日は、大好きなコルタサルの新刊が光文社文庫から出たので…

自分の死ぬ日が分かったら、どう生きる? The Immortalists, Chloe Benjamin(クロエ・ベンジャミン)

ブックカバーが素敵。 ハードカバー発売当初に購入したのだが、しっとりとしてマットな質感の黒の背景に、カバラの「生命の樹」を思わせるような1本の木が描かれていて、周りにゴールドのキラキラが煌めいていて…。語彙力不足でもどかしいけれど、なんとも素…

『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』 アンジー・トーマス

メンバーの投票で決定した2018年5-6月のOur Shared Shelf(エマ・ワトソン主催のブッククラブ)お題本は2冊あるのだけれど、1冊目は『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』というYA小説! そろそろ読み始めようかなと思った頃、偶然書店で日本語訳を発見。今年の3月に出…

The Refugees, Viet Thanh Nguyen(ヴィエト・タン・ウェン)

ピューリッツァー賞のフィクション部門受賞作は、ブッカー賞と同じくどれも読み物として面白いので注目しているのだが、2016年のヴィエト・タン・ウェン『シンパサイザー*1』は個人的に苦手なスパイ小説ということで、手が伸びなかった…。 ピューリッツァー…

イスラム文化圏の難民事情・ミーツ・村上春樹なのか: Exit West モーシン・ハミッド

2017年のブッカー賞にノミネートされていた、この小説。 読んでみたいと書いてから半年経ってしまったが、ようやく読んでみた。 Penguinのカバーも素敵。オレンジのイスラム建築のドアの向こうに西洋の都市(ロンドン)が見えるというもので、まさにこの物語…

『ビッグ・リトル・ライズ』作者も絶賛。「香港のアメリカ人」を描いた物語: The Expatriates, Janice Y. K. Lee

久しぶりに香港に滞在しています。 香港を舞台にした本を読みたいなと思い、今回選んだのはこちら。 2009年に処女作The Piano Teacherがベストセラーとなったジャニス・Y・K・リーの2作目、The Expatriates。 タイトルの通り、香港に暮らす「外国人」・「駐…

映画化が決定『ベル・ジャー / The Bell Jar』 シルヴィア・プラス

[The Bell Jar] It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York. それはおかしな蒸し暑い夏だった、ローゼンバーグ夫妻の死刑が執行された夏で、私は自分がニューヨークで何…

『口のなかの小鳥たち』 サマンタ・シュウェブリン

[Pájaros en la boca] 最近ラテアメ文学の再読ばかりしていて気がついた。邦訳されているイスパノアメリカ文学は圧倒的に男性作家ばかりだなと。 もちろんラテンアメリカには男性作家しかいないのかというとそんなわけはなく、大学の頃授業で学んだ作品は男…

『アメリカにいる、きみ』 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

[Collected Stories] 著書が全て日本語に翻訳されている大人気作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ。 こちらは2007年に出版されているので、邦訳第1作目のはず。 アディーチェの翻訳をすべて手がけているくぼたのぞみさんが、こちらも翻訳している。その…

タイトルや表紙に騙されることなかれ: 『わたしの物語』 セサル・アイラ

[Como Me Hice Monja] セサル・アイラの『わたしの物語』は、読者が裏切られ続ける物語。 とにかくやられた感がすごいのだ。 わたしの物語 (創造するラテンアメリカ) 作者: セサル・アイラ,柳原孝敦 出版社/メーカー: 松籟社 発売日: 2012/07/27 メディア: …

雨の日に読みたい海外文学 9冊

先日、しとしとと一日中雨が降る日に『情事の終り』を再読した。 ロンドンを舞台にしたこの物語、最初の場面は主人公モーリスがかつての不倫相手の夫と偶然出会うところから始まる。 その夜は激しい雨が降っている。心の芯まで冷え込んでしまうような雨だ。…

『シルヴィ』 ジェラール・ド・ネルヴァル

[Sylvie]『シルヴィ』を読んだ。 プルーストが『失われた時を求めて』を書くきっかけになった小説とどこかで読んで以来、読みたかったのだ。 火の娘たち (ちくま文庫) 作者: ジェラール・ドネルヴァル,G´erard de Nerval,中村真一郎,入沢康夫 出版社/メーカ…

『通話』 ロベルト・ボラーニョ

[Llamadas Telefónicas] ボラーニョの短編集『通話』を読んだ。 昔売っていたものと若干表紙が変わったなと思ったら、改訳バージョンらしい。 2009年に出たものが改訳されて2014年に再発売なんて、売れに売れているのだろうな。収録されているのは全部で14作…

『島とクジラと女をめぐる断片』 アントニオ・タブッキ

[Donna di Porto Pim]真夏日が続いている。 こんなに暑くなると、なんだかタブッキが読みたくなりますねえ。 イタリアの作家と言えばタブッキとカルヴィーノが頭に浮かぶのだけれど、タブッキは夏、カルヴィーノは冬を連想させる作家(個人的に)なのが面白…