トーキョーブックガール

海外文学や洋書レビューを中心に、好きなことをゆるゆると書いているブログです。

『サマルカンド年代記』アミン・マアルーフ

今年はウズベキスタンに行きたいなと考えている。美しい遺跡や霊廟を見てみたいし、夫婦揃ってラム好きなので楽しめそう。ちなみに、名物のラグマンは以前食べたことがあるがかなり美味しかった記憶がある。というわけで、この本を読んでみた。 レバノン出身…

『戦争は女の顔をしていない』と、終戦の日に読みたい本たち

2015年ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの一作目にして、作者自身が「もっとも大切に感じている」という作品『戦争は女の顔をしていない』を読んだ。 ウクライナ出身・ベラルーシ在住のジャーナリストが、第二次世界大戦時ソ連で…

Milk and Honey ルピ・クーア

ルピ・クーア(日本語表記はカウルとされていることもある。英語での発音は"core"に近い感じ)のことを知ったきっかけは、彼女がインスタグラムにあげた写真だった。 2015年に投稿された、「服に経血のしみがついた女性の後ろ姿」の写真。アーティストの顔も…

『ラテンアメリカ怪談集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス他(鼓直 編)

最近、絶版してしまったモダンクラシックな作品の復刊が相次いでいて嬉しい。 『ラテンアメリカ怪談集』は、1990年代に河出文庫にて発売されていたそうなのだけれど、私が読みたいと思った頃にはすでに絶版となって久しかった。 Amazonで古本を探してみても…

『ボルヘス怪奇譚集』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス / アドルフォ・ビオイ=カサーレス

[Cuentos Breves y Extraordinarios] あらゆる人食い鬼がセイロンに棲み、彼らの存在すべてがただ一個のレモンのなかにはいっていることは、よく知られている。盲人がそのレモンを切り刻むと、人食い鬼は残らず死ぬ。 ー『インドの好古家』第1巻(1872)より…

2018年のブッカー賞ロング・リスト

2018年のブッカー賞ロング・リストが発表された(7月23日)。 今年は、イギリス人作家6冊、アイルランド人作家2冊、カナダ人作家2冊、アメリカ人作家3冊と結構バランスが取れている印象。ちなみに女性作家は7人、男性作家は6人。 個人的には、アリ・スミスの…

ギリシャ神話から生まれたフェミニズム小説: Circe マデリーン・ミラー

When I was born, the name for what I was did not exist. They called me nymph, assuming I would be like my mother and aunts and thousand cousins. 出版前から気になっていたこの小説。 タイトル『キルケー(Circe)』通り、ギリシャ神話の魔女キルケ…

今時珍しい「大人」向けの物語: The Only Story ジュリアン・バーンズ

もうすぐ今年のブッカー賞ロングリストの発表、ということで、候補になりそうな作品をなんとなく読んでいる今日この頃。 まずはこちら。ジュリアン・バーンズの待望の新作。王道のラブストーリーである。 The Only Story 作者: Julian Barnes 出版社/メーカ…

生まれるべきか、生まれざるべきか。それが問題だ: 『憂鬱な10ヶ月』 イアン・マキューアン

[Nutshell]『波 6月号』の小山田浩子さんによる書評がとても面白かったので、発売日に購入したマキューアンの最新作。ようやく読む時間がとれた。 憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス) 作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,村松潔 出版社/メーカー: 新潮…

7月最後の日曜日には、この本を読もう: 『レクイエム』と『ポルトガルの海』

[Requiem] [Mar Portuguez] 7月が来るといつも読み返したくなる、タブッキの『レクイエム』。なぜかタブッキの作品は全て夏に読むのにぴったりな気がするのだけれど、その中でも特にこの小説は夏にこそ読みたい。ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアを心底…

支離滅裂でめちゃくちゃ、なのにとんでもなく面白い: Yo Era una Mujer Casada セサル・アイラ

[わたしは既婚女性だった] セサル・アイラの『わたしの物語』を読んだ時、巻末の訳者あとがきにYo Era una Mujer Casadaの紹介があったので、気になりKindleで購入して(たったの457円、Kindleだとかなりお買い得)読んだ。 ラテンアメリカ文学の中でも特に…

『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』 カズオ・イシグロ

[Nocturnes]これも、『わたしたちが孤児だったころ』とともに読み返した一冊。 イシグロ唯一の短編集で、注目すべきは「短編集を書くと決意して書かれた」作品ということ。フィッツジェラルドのように金を稼ぐため書き散らしたわけでもなければ(既にブッカ…

夏に何を読む?2018年サマー・リーディング・リスト色々

Twitterを眺めていると、そろそろ各誌や著名人の2018年Beach Readsやサマー・リーディング・リストが出揃いつつあるようなので、まとめてみた。 皆様、夏休みの計画はもう立てていますか?旅行に行く方も、おうちで過ごす方も、リラックス時間のお供にどうぞ…

The Year of The Flood(マッドアダム・シリーズ) マーガレット・アトウッド

[洪水の年] MaddAddam(マッドアダム)シリーズ第二作目の"The Year of The Flood"を読んだ。 もう、傑作!後を引く面白さ。 The Year Of The Flood 作者: Margaret Atwood 出版社/メーカー: Virago Press Ltd 発売日: 2013/08/20 メディア: ペーパーバック …